【side story】一方、獣人族の街では…。
「貴女たちはっ!何を考えてるの!」
マサルのいない間に執務室と化した神殿の一室で猫人族と犬人族、蜥蜴人の3人の獣人の女の子が座らされアデリナと獣人族のおばちゃん達に怒られていた。
「妊娠してるのを何で言わないのよ!しかも、ずっと狩りにまで出てたなんて信じられない!」
事は1人の犬人族のお腹が少し大きくなっていたのが発覚し、年頃の女の子全員の聞き取りと診察が行われたのだ。そして発覚した6組のカップルのうち3組の間に子供が授かっていたのが分かったのだ。
「おい、キバの野郎が吐いたぞ…ライム…お前たちはマサルに指摘されて報告するように言われてたんだってな?」
ノックもせずに入ってきた兎人族の狩人ハイトが別室で行われていた男性陣の事情聴取の内容の報告をする。
「ニャ!?」
「ライムちゃん〜?今まで全く気付かなかったってさっき言ってたよね?もう少しお姉さんとお話しましょうか………。」
「違うニャ!妊娠してたのは本当にさっき知ったたのニャ!マサルには子供が出来る前に報告し…ろって…ニャ?」
語るに落ちたなと笑うアデリナとおばちゃん達の迫力に口をパクパクさせながら言い訳を考えるライム。
「3人は勿論、狩りは子供が産まれて落ち着くまで禁止として、このこたちの旦那たちも何かしら罰として仕事をして貰いましょう。子供を養う為に!とか考えて馬鹿なことして怪我したり死んだりしたら困るのは彼女たちと子供だからね。」
何やら覚えがあったのかバツが悪そうに顔を背けて頭をかくハイト、そして昔を思い出したおばちゃんたちが苦笑する。
「取り敢えず、対象のメンバーは男共は1年間の門番と街の中での見回りの勤務とします。彼女たちはちゃんと療養をとりながら適当な運動とバランスの良い食事を心掛けて貰います。」
「狩りは……?」
「「「駄目です!」」」
狩猟系女子な3人はガックリと肩を落とす。
「えっと、ベビーベッドにベビーカーね…これはマサルが帰ってきたら作って貰わないと駄目ね。私たちにはわからないものね…。」
マサルの作ってあった資料を見ながらアデリナも溜め息をつく。
「子供かぁ…私もいい加減相手探さないとなぁ…叔父さんが文句言わない様な良い人その辺に落ちていないかしら…。」
「マサルは駄目なのかニャ?」
「………ライムちゃん?分かってて言ってるでしょ?」
何ともいえない威圧感にたじろぐライム…。
「あの人は一緒に2人旅をしてても全く女として私を見ないのよ?失礼だと思わない?」
「凄く失礼ニャ!!アデリナは美人なのニャ!!」
「故郷に好きな人がいたんだって…しかも他の人にとられて結婚したって…それでも好きなんだって。」
「切ないニャ………。」
「誰か良い女性があの人の力になってくれれば良いんだけどね…。」
「ニャ………。」
子供が産まれるって素敵ですよね。
親の責任…重い言葉です。
大切に想うのは当然で、何を成すかで親の価値が決まっていくんでしょうね。生物学上だけの親なんて優しいだけの他人より価値がない…そんな事件のニュースが胸に痛いです。