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海の幸

ご指摘して頂き一部修正致しました。

あの歌って…結構新しい歌だったんですね。

「はい、今日は地引き網をします!騎士団の皆さん、元気に頑張りましょう。」


「………地引き網って何だ?」


ランスロットが首を傾げている。


「漁の手法の一つで遠浅になっていたりする海岸で行うものです。」


「ほぅ、新しい技術だな!気合い入るぜ!」


騎士団が漁に駆り出されている事には何故か疑問は起きないみたいだ。


「方法は簡単で小舟でこの網をU字に海に広げ、両端を皆さんに引っ張って貰います。まぁ、見れば解りますのですぐそこの砂浜に行きましょう。」


まるで遠足気分で列を作り砂浜へ降りていく騎士団の一行。挙げ句にマサルが「海〜♪海〜♪大きいな〜♪」と突然歌い始めたのを聴き、騎士団の野郎共による野太い声の謎のオリジナルソング『大きい海』が大合唱される。

実はマサルが歌を歌っても聴いているうちは何故か自然に《言語翻訳》のスキルが働きごく自然に理解出来るのだが殆どの場合、歌おうとすると文法も言葉も全く違うのでメロディーと歌詞がどうしても合わないという不思議現象に陥ってしまうのだ。しかし今回の『大きい海』は何故かピタリとハマって大ウケしたのだ。


「何処から出てきたんだこの巨体な網は…それにその小舟も…。」


「気にすんな!ハゲるぞ!」


「うるせぇ!ハゲる言うな、本当にハゲたらどうすんだ!」


後日聞いたところによると歴代登頂部が薄くなる家系らしく本人は凄く気にしているらしい。(現在はまだ髪たちは元気に在住している。)


「…………………えっと、じゃあ俺は小舟で網広げてくるから2つに別れて片方のチームはこっちの綱をしっかり持っていてね!」


「ちょっと!変な気の使い方すんじゃねぇ!」


無視をして小舟に楽に乗り網をどんどん伸ばしていく。


「懐かしいなぁ…小学生の時以来なんだよな地引き網♪いっぱい獲れたら嬉しいんだけどな♪」


30分をかけて網は綺麗に伸ばされ半円状に海に広がっている。騎士団の野郎共は気合いの入った顔で両端の綱を握って、今か今かと合図を待っている。


「じゃあ、そろそろ引っ張って貰いますよ〜早く引かないで下さいね!網が痛みますから!丁寧に確実に引っ張って下さい。では、始め!」


「「「「「「応っ!!!」」」」」」


力強く網が引っ張られている中、マサルは小舟の上で網が何処かに引っ掛かったりしないかを監視する意味も含めて、まったり眺めていたのだが…。…何かが網の内側で大きな影を作っていた。


「うわぁ…なんか7〜8mくらいに見えたんだけど…騎士団大丈夫かな…150人もいるし何とかなるかな?」


気付いても止める気が全くない監視役。直径180mにも及び伸ばされていた網も既に残り僅かでいつ影の主が出て来てもおかしくない状態になってきている…。


「お〜い!みんな〜その中にデカいのが入ってるから騎士団の底力見せてやってくれ!」


「兄ちゃん…鬼だな。ここで煽るのかい。」


ツッコミを入れたのは操船をしてくれていた漁師のおっちゃんである。基本的には危ないのでこの世界の漁師は竿釣りである。


「網破れないと良いなぁ…もう一回くらいやりたいしなぁ…。」


マサルの呟きに漁師のおっちゃんドン引きである。


「おい、兄ちゃん!見えてきたぞ!って、ありゃあ!!?」


地引き網に追い詰められ姿を現したのは丸々としたフォルムの青いロブスターだった。


「兄ちゃん早くアレを網の外に!網が全部やられちまうぞ!」


「逃がしてたまるか!おっちゃん小舟寄せて!俺の獲物だ!」


「知らんからなっ!兄ちゃん死ぬなよっ!」


寄せられた小舟から身を乗りだして棍でそっと巨大ロブスターの甲殻に触れる。


電撃(エレキショック)っ!」


ビクンと小さく震えて浮き上がる周囲の生物たち………地引き網?


「おっちゃん、そこの網で水面の魚すくって!地引き網の外のヤツ!そう、その網っ!みんなはもう少し引っ張って!このロブスターまだ生きてるから回収出来ないから!早くっ!」


まだロブスターはアイテムボックスに入らないので砂浜に上げて再度電撃魔法でトドメをささないといけないだろう…が何だか本気で大量の生物が浮き上がってきた。ロブスターを片付けて仕分けしていると見たことの無い生物がわんさか出てくる。


「何だコレ………ちっちゃいワニに、足のはえたタツノオトシゴに…ヒレのついた貝?、左右対称のヒラメ?カレイ?…こっちは………………巻いた甲羅の亀…。今日が1番もしかしたら異世界って実感したかもな…何か気持ち悪いわ。」


「何か大漁だな!だが殆ど見たことないものばかりだな…本当に食えるのかコレ?」


「俺も聞きたいわ…あ、因みにランスロットが今持ってるカエルは毒ないぞ?」


「よしっ!これはオレの晩メシだな!」


この世界ではカエルまでも海にいるらしい。しかも司令の晩メシって…40cmくらいあるから食いごたえは有るかも知れないけど。


「あれ?さっきのデカい虫は??」


「俺が回収したぞ。どうかしたか?」


「食べれるのかなぁって気になって…。駄目でしょうか?」


「い、いや…一応、用途は決まってるんだけど…。」


「……………………………………。」


何だよ平騎士A君…粘るじゃないか!しかし、旨い食い物に鼻の良い輩がいた場合にある取り決めをしておいたのだ!


「うちが貰えるのは魚だけだぞ?」


ランスロットが予め行っていた取り決めを話す。


「…という訳なんで。一応、準備と技術提供は俺って事で欲しい物は優先的に貰えるし、今回は食料に向いた魚を優先的に譲る契約だから。」


「………旨いんですね?」


「………………………どうだろね?」


何だかんだと騙し騙しでその日あと2回地引き網をしてロブスターの3匹追加を含め大量の海の幸をゲットしたのであった。



******

《新着のメッセージがあります》

みんなでパーティーしたいのでまた後日食事の準備をお願いします。食材はあの青いカニを期待しています。〜ビクティニアスより

******



「………こっちにもいたか。」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 食い意地は世界も文化も繋ぐね…。そういえば既に女神様も虜だったわ。
[一言] 後日聞いたところによると歴代登頂部が薄くなる家系らしく本人は凄く気にしているらしい。→頭頂部。ある意味間違ってもいないかな?
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