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  花火 作者:金弘 美樹
14.夜店巡り
「そういうの、あなたらしくて良いんじゃない?」
先程までのどこか棘のある言い方とは違う優しい口調で哀が呟く。いつも大人がたじろぐようなクールな台詞を吐く彼女の口から肯定的な言葉を聞けた事で、一先ず高木は安堵の息を吐いた。
とりあえず納得してくれたみたいだな。
緊張が解け、ほっと胸を撫で下ろした次の瞬間、
「あなたのそういうところが彼女も好きなんじゃないかしら?」
突然どきっとするような台詞をさらりと小声で吐いて、哀はちらりと佐藤を見上げた。
「なっ!ちょっ、哀ちゃん!?」
恐らく耳まで真っ赤になっているであろう高木は、酸欠の金魚よろしく口をパクパクさせた。
「ん?何?どうしたの?」
先程哀が発した言葉は佐藤の耳には届いていなかったらしい。自分に向けられた視線に気付いて、不思議そうに首を傾げる。
「何でもないわ。」
動揺を隠せない高木を他所に、哀は短く返事を返した。目の前で慌てふためく高木に再び視線を戻すと、哀はくすりと大人びた笑みを浮かべる。その様子をコナンが苦笑がちに見つめていた。
「そう。」
佐藤は一瞬怪訝な顔を覗かせたものの、さほど気にする様子も無く子供達の顔を見回す。
「ねぇ。花火が上がるまでまだ時間もあるし、みんなで夜店巡りでもしましょうか。」
佐藤が屈託の無い笑顔を向けると、
「賛成!」
子供達から歓声が上がった。
もともと子供好きな佐藤は、このまま彼らと一緒に夜店巡りをするつもりのようだ。久しぶりに二人きりでデート出来るのを楽しみにしていた事もあって、少々残念な気もしたが、無邪気にはしゃぐ子供達を見ているとそれもいいかと思えた。なんだかんだいって高木も子供が好きなのだ。
「俺、イカ焼き食いてえな。」
元太が満面の笑顔を浮かべて指差す先には、屋台が所狭しと並んでいる。そこから漂ってくる香ばしい匂いは、まだ夕食を済ませていなかった高木の腹を確実に刺激した。その途端、先程まで全くと言っていいほど感じなかった空腹感が一気に押し寄せる。
軽く腹ごしらえでもしておくか。
高木が心の中で呟いたその時、
「元太君、まだ食べるんですかぁ?さっきそこでクレープ食べたばっかりでしょう?」
呆れ顔の光彦が嘆息を吐いた。
「その前は確かフライドポテトだったな。」
冷めた声でコナンがつっこむと、
「あら、焼きそばも食べてたような気がするけど?」
哀が横目でちらりと元太の腹を睨む。
「だってよー。腹減ってるんだから仕方ねーじゃねーか。」
唇を尖らせて何とか反論の声を上げた元太に歩美が頬を膨らませ、とどめの一撃を刺した。
「元太君、お家で晩御飯、食べて来たんでしょ?食べすぎだよ。今度は金魚すくいしようって約束したじゃない。」
途端に元太は言葉に詰まる。
「まあまあ。確かに元太君は少し食べ過ぎかもしれないけど、僕もお腹が減っているからちょうど何か食べたいなぁと思ってたんだ。」
高木はなだめるようにしてその間に割って入ると子供達の顔を交互に見回した。
「だからさ。僕と元太君はイカ焼きを買いに行って来るから、みんなは佐藤さんと金魚すくいをしてきたらどうかな?」
高木の提案に、子供達は一様に顔を綻ばせ、頷いた。
その様子を見つめる穏やかな佐藤の笑顔が、まるで母親のそれのようで、高木の鼓動は静かに跳ねた。
相変わらずのスローペース更新で申し訳ありません。今回はコナン君&哀ちゃん、キャラ崩壊しないよう頑張りました(苦笑)もうしばらくこの絡みが続きますので(ということは、ラブコメ路線だな・・・)頑張りたいと思います。


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