第9話 何かに入るときは規約をきちんと読もう
しかし、あほ四天王達を見ていると、俺の置かれている状況がわからなくなってしまう。
まあ、でも。今の状況は見事に俺が置かれている状況を知らしめてくれたよ。はは。
今現在俺は、大勢の顔の怖いおじさん、お兄さんに追いかけられている。
なんで、こうなったかだって?
おいおいおい、この状況で俺に説明しろと、馬鹿いっちゃいけないよ!
こんな状況で、回想なんてできるかぁぁぁあ!!
だが、優しい俺がとってもわかりやすく短く回想してやる。感謝しろ。
筋肉さんの部屋から出た俺たちは、まっすぐ続く道を進んでいた。
そして、かなり歩いた頃、目の前に分かれ道が現れたんだ。
「おい。どっちが正解だ?」
「あ?俺が知るかよ・・・。おい、シュウ、お前は?」
「うーん・・・僕の美しさレーダーではこっちで反応があるよ」
優男のシュウがわけのわからんレーダーで得た情報を教えてくれる。
「じゃあ、こっちに行く」
そういって姫香は優男の行った方向へ歩き出す。
そのとき、前方から・・・・大勢の顔の怖いおじさん&お兄さんが走ってきたんだ。
「な・・・!?なんだ?!」
俺たちは一瞬言葉を失い固まったが、すぐさまわれに返り、振り返ってもうダッシュを開始した。
「おい!シュウ。なんで、追っ手がこんなところにいる?!」
「おそらく、僕たちの美しき快進撃に組長がお怒りになられたのでしょう!」
姫香と優男の話を隣で聞きながら走っていると、目の前にまた分かれ道が現れた。
俺は思わず右へ、そして姫香&シュウは左へ。
「な!おい!!健太!!どこに行く?!」
俺が別の道に入ったことに気がついた姫香が叫ぶが、俺は立ち止まれない。
「姫香!!後で必ず落ち合おう!!だから、お前はそいつと逃げ回ってろ!!」
と、かっこよく言って分かれたのだが・・・・。
逃げ回るのは俺のほうだった。
あの後からついてきた大勢のおじさん&お兄さんは見事に左には行かずに右に曲がり俺を追いかけてきてるわけだ。
よし、回想終わりだ!!
「おらーーー!!またんかい!?貴様がゲンザブロウさんをあんなんにした張本人やろうがぁぁぁ!!!!」
俺の後方からドスの聞いた怒声が聞こえてくる。
くそ、思わず泣きそうになるぞ?!俺は普通の高校生なんだぞ?!
それに、筋肉さんをあんな目にあわせたのは俺じゃなくて、姫香だっての!
「またんかいーーー!!」
だが、今はそんなことを言ってる場合じゃない。
どうにかして、こいつらをまかないと・・・・・・・。
俺は回りに何か助かる手立てはないかを探した。くそ、ない。
今度もまた曲がり道が現れた。俺が勢い好く曲がり道を回った。
そのとき、あるものが目に入った。
あれは使えるぞ!!!
俺は急いで、あるものに近づいた・・・。
ドタドタと騒がしく足音を立てて、目の前をおじさん&お兄さんたちがとおり過ぎていく。
どうやら、成功したみたいだな・・・・・。
おもわずほっと息を漏らした。
どうやって、隠れたかって?
簡単さ。曲がり道を曲がったとき、そこにあるドアがあったんだ。
で、そのドアに飛び込んでちょうど開いてる隙間から外を見ていたわけだ。
しかし、こんなに簡単に巻いてしまえるとは、ここの施設の人間たちはみんな馬鹿なのだろうか・・・?
そのとき、俺の背後から突然声が聞こえた。
「あのー?」
「うわぁぁああ!!!」
俺は大声で叫びながら、ドアを背中で開き、通路に飛び出す。
飛び出した部屋から、パタパタと足音が聞こえて少女が姿をあらわす。
少しパーマがかかったショートヘアー、すらっとした体形だが、出る所は出てる。
姫香が綺麗だというなら、この子はかわいいだろうか?
「あの、大丈夫ですか?」
その少女は心配そうに見下ろしながら聞く。
すぐに立ち上がって、大丈夫と答える。
「よかったです。あの、もしかしてあなたが怪しいと騒がれている、お方ですか?」
はっ?!
そう言われ、俺は身構え周りを見渡す。
そうだ、そうだった。
現在俺は脱獄した奴として狙われてる身だった。
だが、ここで否定しても俺にいい結果をもたらすだろうか?
だとすれば、ここは本当のことを言うべきか?
見た感じ、この少女は顔の怖いおじさんたちの仲間じゃなさそうだし・・・・
「ああ。きっと、君が言っている奴は俺だ」
考えた結果俺は本当のことを言うことにした。
さて、どういった反応が返ってくる?
俺は少し身構えながら少女の返事を待った。
「じゃあ、私と同じですね!ふふ」
少女はフワっとやさしくうれしそうに笑っていった。
ん?同じ?
「はい。私はこの施設の調査を任されて進入した者なんです」
少女はそういって話し始めた。
まあ、この子の話を手っ取り早くまとめると・・・。
彼女の所属する組織にこの施設の調査を命令され、命令に従い現在進行形で調査を進めている、とのことである。
っていうか、組織ってなんだ?
ここにきてまた俺を普通から引き離そうってのか?
「で、キミの所属する組織の名前は?」
「えーっと・・・・IBTです!!」
少女はにこっと笑って、どこかから取り出した書類を見て答える。
「えーっと・・・それは何の略称なんだ?」
「わかりません!」
今度もにっこり笑って答えてくれた。って、おい!なんで組織の正式名称しらねーんだ?!
「キミって本当にその組織に入ってるのか?」
さっきまでの答えを聞いて少し疑わしくなり聞いてみた。
「もちろんですよ!だって、ほら!さっき私の隣にこれが置いてあったんですから!!」
そういって少女はさっき取り出した書類を俺に突きつけてくる。
『おめでとう!坂上麗華さん。キミはこの組織『IBT』の一員に選ばれたのだ!というわけで早速君に任務を与えよう!
現在君のいる組織を調査してくれ!一緒に入っている地図に記録してくれ。じゃあ、頼んだぞ!』
坂上麗華ってのは、この子の名前なんだろうか・・・?
っていうか、全部目を通して思うが・・・・嘘くせぇ!!
これを信じる奴なんていないだろ・・・
いる!俺の隣にいる。この子はきっとこれを信じてるんだ。よし、目を覚まさせてやろう。
「あのー坂上さん。あなたはきっとだまされてるぞ?」
「な・・・なんで、私の名前を知ってるんですか?!」
坂上さんが驚きの声を上げる。
「いや、あなたが見せた書類にかかれてたけど?」
勘違いしてるようなので、とりあえず言ってみたが・・・・。
「も・・もしかして・・・あなたはストーカー?」
聞く耳もたず。俺からじりじりと離れていく。
「いや、俺はストーカーじゃないって!だから、あなたが俺に突き出した書類に書かれていたんだって!!」
そういうと、彼女は自分の持っている書類をもう一度見て。
「あ、本当だ!ごめんなさい。私が勘違いしてました、本当にすいません。」
そういって坂上さんはぺこぺこと頭を下げる。
「いや、別にいいよ。勘違いだったとわかったし」
俺は頭を下げ続ける彼女に言って、それをやめさせる。
ふぅ。しかし、この子と一緒にいるとなんだか和むなぁ・・・。
姫香は命令しかしないもんな・・・。ん?姫香?
「忘れてたぁあぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
思い出した。こんなところで和んでいる場合じゃなかった!!
俺は姫香と一緒に脱出真っ最中だったんだ。
俺が急に大声を出したもんだから、坂上さんは驚き、隣で震えている。
「あ・・・あのー・・・。何を忘れていたのですか・・・?」
震えながら恐る恐る聞いてくる。
「あ、いや、ごめん。実は俺、仲間とはぐれたんだ。それで、ある場所で落ち合う予定だったんだ。」
「そうだったのですか。じゃあ、私に任せてください」
そういって坂上さんは得意げに胸を張った。
「え?任せるって?」
聞き返すと坂上さんはかわいく「ふふふ」と笑って。
「私はね、この施設の調査を任されているのです!そして、その調査結果を記入するために地図も渡されているですよ!!」
おお。なるほど!
「ってことは、最後の四天王の部屋はわかるわけか?!」
俺は少し興奮して聞いた、すると。
「もちろんですよ。早速案内します!」
そういって坂上さんは歩き始める。
よかった、これで簡単に四天王の部屋について姫香と落ち合えるぜ。
姫香のほうがたどり着いてない可能性があるが、まあ、優男がついているし大丈夫だろ。
俺は前を歩く坂上さんのあとをついていくのだった・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「なぁ・・・ここじゃないだろ?」
俺は前を歩く坂上さんの背中に問いかけた。
「へ?これが最後の四天王の部屋ですよ」
坂上さんは振り返りきょとんとして、首かしげる。
「いや・・・だってここ・・・」
俺は現在筋肉さんのいた部屋の前にいる。
「え?でも、地図にはここが最後の四天王になってますよ?」
そういって坂上さんは自分の持っている地図をうなりながら見つめる
そして・・・・。
「あ・・・これ逆さでした☆」
「おい!!!!」
「ふわっ。すいません、すいません!!」
俺が大声を出したため、坂上さんは驚いて涙目になって謝り始める。
「あ、いや、違うんだ。君が悪いわけじゃないんだ、だから謝らなくていいぞ?なぁ?」
必死に慰める俺。
「本当ですか・・・?」
恐る恐る顔を上げて坂上さんは謝るのをやめる。
「ああ、だから。次は、な!ちゃんと最後の四天王の部屋へ頼むよ!」
そして、歩くこと数分・・・・。
「はい、では。ここをまっすぐ行けばつきますので」
坂上さんは通路の奥を指差して言う。
「お、ありがとな。」
「はい。では、私は調査の続きを行いますので、失礼します。」
勝手に別れを告げて進もうとする坂上さんを俺は呼び止める。
彼女はきょとんとした顔で振り返る。
「えっとさ・・・大丈夫なのか?」
思わず出た言葉だった。
そもそも、この施設の中にどれだけ人がいるかわからない。
それに四天王みたいな奴らがその辺にいるのであれば彼女の一人歩きは危険だ。
「ええ。大丈夫です。私も、あとひとつ部屋を調査すれば終わりなので。それに、その部屋はとても安全な部屋です。大丈夫ですよ」
そういって坂上さんはふわりと笑って、前を向きなおし歩き始めた。
もう一度呼び止めようとしたが、なんだか呼び止められず、俺は通路を進むことにする。
俺の心配が杞憂であってほしいねぇ・・・。
ま、確認にいければ問題ないんだが、お姫様のほうも気になるからな・・・。
俺は最後にもう一度振り返った。
しかし、すでに彼女の姿は消えていた・・・。
で、坂上さんと別れた場所から数分歩き。
俺はついに最後の四天王の部屋の前に着いた。
部屋の前にはすでに姫香が立っていた。
「無事だったか・・・」
そういってなんだか安心したような顔をする。
「お前もな・・・ん?」
優男の姿がない・・・・。
「おい、シュウはどうした?」
姫香に聞いてみた、すると・・・。
「あいつは、私を逃がすために男たちに向かっていった・・・。」
思わず言葉を失う・・・・。
「そうか・・・。でも、無事だよな?」
俺は自分に言い聞かせるつもりと姫香に言い聞かせるつもりで言った。
すると姫香は顔を上げて自信満々で言うのだ。
「当たり前だ!」
なんだか、こいつの言うことはなんでも本当だと思えてしまうよ。
なんでだろうなぁ?
「よし!最後の四天王だ。行くぞ!健太!!」
「おう!!」
こんな風にかっこよく二人で言うが、結局ドアを開けるのは俺の役目だった。
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