第7話 同族嫌悪
現在、俺、もとい、姫香パーティーは三番目の四天王のいる部屋へ向かっていた。
ちなみに、姫香パーティーのメンバーは。
自己中心・他力本願・お姫様の柊姫香。
唯一の常識人・普通の高校生、俺、坂元健太。
自己愛者・優男・美しい物大好き・スーパーナルシストのシュウ。本名は知らん。
と、以上の少数メンバーで姫香パーティーが構成されている。
そして、俺の隣でにこやかに微笑みながら優男が何か話してる。
さっきまで、ずっと無視してたんで話の文脈は分からんが・・・・。
「うん。良く見てみると君も美しいよ。」
ぞくぅ、と俺の背中に悪寒が走った。走りまくった・・・・聞かなきゃよかった・・。
「やっぱり、あれだけ美しいことができる人物は何をしても美しいんだねぇ・・はぁ」
また俺に悪寒が走る。しかも、だんだん俺に擦り寄ってきやがる。
「おい、離れろ!気持ち悪いんだよ!!」
擦り寄ってくる優男を俺は押しのける。
「おい!姫香!!こいつをどうにかしろ!!」
俺は前を歩いている、姫香に話しかける。
姫かは振り返って首をかしげて不思議そうに言う。
「なぜ、私が下僕のために動かなければいかない?」
くそ!やっぱりこいつは俺のためには動かない奴か!!
優男が姫香の言葉を聞いて、俺から離れて姫香のほうへ行く。
「こら。お嬢様!そんな言葉遣いはダメです。」
言われて姫香は「ああ」と適当に返してる。
しかし、優男はあの戦いの時のような一面があるとは到底思えない・・。
今のこいつを見てると、あの戦いが嘘のようだ。
だが、今それ以上に気なるのが・・・
俺は思いっきり殴られたってのに、いつ間にか傷が治ってやがる・・・何故だ?
そんな素朴な疑問を考えながら歩いていると、前を歩いていた二人が立ち止まった。
どうやら、新たな四天王の部屋へ繋がるドアの前に着いたようだ。
二人ともドアを見つめて動かない、ドアを開けようとしない・・・。
「おい。早くあけろ」
姫香はやはり自分でドアを開ける気は毛頭内らしく、俺に命令する。
やれやれ・・・やっぱり俺がうごかなくちゃいけんのか・・・。
ってか、後ろにいる俺より、隣にいる優男にやらせれば良いだろ。
「お前に開けさせなくては意味がないだろ」
そこにどんな意味があるのか、ぜひ教えてくれ。
俺は少し急いで動いてドアの前まで行き、ドアを開けた。
今回の部屋も前回、前々回と同じ造りのようだ。
が、しかし。今回の部屋においてあるのは、筋トレ用の道具だった。
「ふぅ・・。ここはいつ来ても美しくない・・・」
優男が遠くを睨みながら言う。
「ふはははは。貴様が脱獄囚か?そして、裏切り者の“美のシュウ”よ!」
優男の睨んでいた方に大きな影が映る。
その姿を見て、俺と姫香は思わず言葉を失った。
影の正体は、ボディビルダーのように筋肉で固められた体の大男だった。
正直、いきなりこんな奴が目の前に現れると言葉を失ってしまう。
すると、大男は俺と姫香を見て言った。
「どうした、俺様の筋肉の美しさに言葉も出ないか?はははは!!!」
今度は思わず開いた口が閉じなくなった。
一体こいつは何を言ってるんだ?
「こいつは自分の筋肉が美しいと思っている、バカなんだよ。まったく、胸糞悪い」
どなたかこいつに『同族嫌悪』って言葉を教えてあげてくれ。
俺からしてみれば、自己愛者も自己筋肉愛者も大してかわらんぞ。
って、禁止ワードの『糞』を使ってるじゃねーか。
どんどん優男へのツッコミが生まれてくる、そんな時、大男が言った。
「ふはは。どうした、俺の筋肉に見惚れているのか?どうだ、美しかろう?」
そして、こっちの筋肉バカは空気を読まずにお馴染みのボディビルダーのポーズをして迫ってきてる。
「アホか!私がお前なんかの気持ち悪い筋肉なんぞに見惚れるか!!」
迫ってきている大男に姫香が怒鳴った。
「おお!お嬢様。よく言いました!!」
うれしそうに笑いながら、優男は言う。
言われて、大男・・・・さすがに他の呼び方にしようかな・・。
うーん、筋肉さんで良いや。つぅーことで、筋肉さんが立ち止まる。
そして、はき捨てるように言った。
「ふん。俺のこの筋肉の美しさが分からないのはお子様だけだ」
いやいや、確かにお子様はあんたの姿を見れば泣き出しそうだが、大人の方でもその美しさは分からんと思うぜ。
「ふん。そんなことはどうだって良い。私は早く先に進みたいんだ。鍵をよこせ」
姫香が筋肉さんに命令する、すると筋肉さんが高笑いを始めた。
「はーっははは!!残念だが、先に進むための鍵は俺があの辺に隠してるから俺は持ってないぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・。
「おい。せっかく隠したのに、場所を教えてしまって良いのか?」
ごもっともな正論だな。もしかして、こいつはバカなのか?
「この男は頭の中まで筋肉でできてるからね。バカなんだよ」
優男が肯定してくれた、うん、やっぱりか。
「まあ良い。早速、探すぞ。健太ついて来い」
そう言って姫香が筋肉さんに教えられた場所へ向かおうと走り出す。
俺もその後をついていく。あれ?こいつが俺に名前を呼ぶのは初めてじゃないか?どんな心変わりがあったのやら・・・。
そんな事を思っていたとき、俺と姫香の目の前に筋肉さんが立ちふさがった。
「ちょっとしたミスでお前らに隠し場所を教えてしまったが、そこへ行かせなければ問題はない!!よって、貴様らは吹き飛べ!」
叫びながら筋肉さんは拳を振り上げる。って、実況してる場合じゃねえぞ。避けねーと。
俺は姫香を掴んで横に飛ぶ。
良い音を立てて俺達が立っていた地面が砕け散る。
あそこにたっていたままだと確実に死んでたぞ・・おい。
そんな事を考えていると、俺の顔面に激痛と衝撃が・・・・。
「いってぇ!!なんだよ?!」
「“なんだよ”じゃないだろ?何、勝手に私に触れている」
「触れているって、あのままだったら危なかったから、俺が助けたんだろうが!?」
予想通り俺を殴ったのは姫香だった。
「お前なんかに助けられなくても、私は大丈夫だ」
こいつは感謝って言葉を知らないのだろうか?
「何を立ち止まっている!!?俺の筋肉の餌食になりたいのか!?」
振り返ると筋肉さんが、また拳を振り上げてる。
くそ!今度は避けられないぞ!?
俺は思わず目をつぶった。
一向に衝撃が来ない・・・。俺は恐る恐る目を開けてみた。
目の前には優男が立って、その筋肉さんの拳を止めていた。
「こいつは、貴方達では少し厳しいでしょう。ですので、ここは僕が足止めしますので、貴方達は先に鍵をお探しください。」
そう言って優男は笑った。
「おい。お前・・・本当に大丈夫なのか?」
「ええ。ここの四天王の力は大抵同じ。ですので、僕でも十分ですよ。そ・れ・に、せっかく見つけた美しいものに傷をつけたくないので☆」
そう言って、優男はウィンクをする。
「分かったよ。じゃあ、その筋肉さんはお前に任せるぜ!」
それだけ言って、俺は姫香の手を掴み、目的の場所へ走っていく。
急に掴まれた姫香は、何だか怒っているがここでまたタイムロスするのも面倒なんで無視することにする。
ちょっと心配になって後ろを振り返る。
「うわ!!」
思わず声が出た。なぜなら後わずかで姫香に拳が当たるところだったのだ。
だが、刹那の差って奴で、その拳を優男が蹴り飛ばしてくれていた。
よし、じゃあ俺達はさっさと鍵を見つけることにするか。
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