第4話 はぢめての四天王
ドアをあけると、そこには広々とした部屋が広がっていた。
そして、その広々した部屋の奥には、もう一つドアがある、その前には顔の怖いおじさんが座っている。
髪の毛はない、一言で言えばハゲって奴じゃないだろうか。
姫香はドアが開いたのを確認して、俺が入るより先に部屋に入り、奥に座っている顔の怖いおじさんの所までずかずかと歩いていっている。
俺もその後を追いかけていった。
「ふん。お前が脱獄を試みたバカ野郎だな。」
奥に座っていたハゲのおじさんが言った。
顔が怖い以外にも特徴があるのでこちらで呼ばせてもらうことにする。
「しかし、なんで嬢さんが協力してるかがわからんなぁ」
ハゲおじさんは本当に不思議そうに言った。
『嬢さん』という言葉が少し引っかかったが、まあ、聞かない事にする。触らぬ神に祟りなしって奴だ。
「違う。こいつは私の下僕だ。」
姫香はあっているのか良く分からない訂正をした。って、俺はついに協力者から下僕に格下げか?
「ま、どっちでもいい。ここから先に進みたければ、第1の四天王“笑いのゲン”を倒してすむんだな!!」
ハゲさん(名前を教えてもらってけどこっちの方が気に入ったからこっちで呼ばせてもらう)は立ち上がりながら言った。
格好良く言ったつもりなんだろうが、「なんだそのダサい二つ名は?」と姫香にばっさり切られて落ち込んでいた。
このままでは、話が進みそうにないので俺はハゲさんに話しかける。
「それで・・・俺達はどうやって貴方を倒せば良いのですか・・・?」
聞いてみるとハゲさんは復活して、叫ぶように言った。
「簡単な話だ!俺とお笑い勝負をしてもらうのだ!!!」
思わず、俺は『はぁ?』と聞き返してしまった。
だが、誰も俺を責められないはずだ。誰でも、こんな状況でこんな事を言われたらそういうだろ?
「良いだろう。受けてたつ!!」
あれ?姫香はノリノリだ。
「ふははは!それは良い心がけだ!!しかし、そんな物ではこの“笑いのゲン”には勝てん!!」
俺をおいて、二人は話を進めやがる・・・。しかし、本当にダサい名前だな・・・
「ふん!この男は、面白さで世界を救う男だぞ!そんな奴がお前ごときに負けるか!!」
ん・・・?チョット待て?
姫香が指差してるのは俺だよな、後ろー誰も居ない、右ー居ない、左ー勿論だれもいないー。
・ ・・・・・・・・・・・・・・・俺か?
「おいおいおいおい!!!!なんで、俺が笑いで世界を救うんだ!!?そんなスキル持ち合わしてねーぞ!!!」
俺は必死になって姫香に言ってみた、すると一言・・・・。
「下僕なら救え。命令だ。」
なんだそれはぁぁぁあぁあああぁぁぁあ!!!?
んな命令を実行できるか!!
「ふははは!良い自信だ。今から10分やる、その間にネタを作り上げろ!!」
ハゲさんは高笑いしながら言って、最初に座っていた場所へ戻っていく。
「必ず、私が勝つんだ!!覚悟しておけ!!」
ははは・・・二人は見事に俺を置いて話しを終わらせやがった・・・。
そして、俺と姫香はネタ作りとやらを開始した・・。
が、姫香が俺の意見を呑むわけはなく、最後はやっぱり姫香が決めた。
「アドリブだ。」
一言バッサリ・・・。
「おい、そんなので勝てると思ってるのか?」
ふざけているとしか思えず、一度確認してみた。
「勿論だ。」
自信満々だなーおい。その自信を少しだけでも俺にわけてくれるとうれしいのだが・・・。
「さて、こっちのネタ作りは終わった。あいつに伝えて来い、さっさと始めて終わらせるぞ。」
命令されハゲさんの所へ向かって、俺は歩いていった。
「なんだ、もう良いのか。それで俺に勝てるネタができたのか?」
ハゲさんはニヤリと笑って聞き返す。
正直言いますと。勝てる自信はまったくありません。
「ま、終わったのなら。さっさと始めるか」
ハゲさんはそう言って立ち上がった。ああ・・・勝てる自信がない時はどうすればいいのか。誰かここに来て教えてくれ・・・。
「あ、言い忘れたけど・・・・ここで負けたらお前は縛り上げて即刻売りだからな」
おいおいおい。今更そんな事を言うってのはありか?
どうするんだ?ここで負けたら俺は二度と日本に帰って来れないんだぞ。
「ふはは。今更怖気づいたか?」
ハゲさんが皮肉たっぷりに言って笑った。
ええ、まったくその通りですよ。俺は口に出すのはあれだったので心の中で言葉を返す。
そして、ここで少しだけ疑問を聞いてみた。
「ところで、ハゲじゃなくてゲンさんはどんなネタをするのですか・・?」
教えてもらえるわけないよな、と言った後に感じ姫香の場所へ戻ろうとした時
「良いだろう、一つだけ。ネタを見せてやる。」
ハゲさんが自信ありげに言って・・・・・・ネタを見せてくれた。
一瞬意識が飛んだ・・・・。
なぜかって?ほら、あまりに寒いと眠くなるじゃないか。そんな感じだ。
ハゲさんはネタを見せてくれた後、高笑いをして歩いていっていた。
ネタを見せてもらっての結論。『勝てる』
細かいところを少しだけ省いて言わせて貰う。
俺達からネタを見せることが決定し、服を着替える事を提案され、俺と姫香は服を着替えた。
俺はラフな格好、姫香は今時の女の子の格好に着替えた。
ちなみに、姫香の格好は反則なまでに似合っていた。
さっきとは違う意味で意識が飛びそうだった・・・・。
そして、ネタをどうやって見せるかを説明された。
目の前にはカメラがセットされていて、このカメラは一般人の観客が見ているモニターに繋がっていて、ネタを見せ、面白ければボタンを押してもらう。
で、ボタンを押した数が多かった方を勝ちとするのだそうだ。
ちなみに、観客の反応はカメラの上部にあるモニターで確認可能である。
俺はハゲさんのネタを見ていたので勝てると核心が持てていた。
ちなみに、やる気満々で自信満々の姫香は今現在も変わらずだ。
「ふっふっふ・・・。私の力で会場を笑いの渦に巻き込んでやる。」
ぶつぶつこんな事を言ってやがる。
「じゃあ!ネタを始めろ!!」
ハゲさんが高らかに宣言して、俺達のネタ発表が開始した。
「どもー!こんにちはー!!」
とりあえず、最初はテンションを高くしておこうと俺はテンション高めで言う。
その後についてきて、姫香が「どもー」と言っていた。
そして、姫香が最悪の一言を言った・・・・。
「ロシアの殺し屋、おそろしあ!!!!」
ええええ????
こいつも、ハゲさんと同じレベルかよ!!!
なんだ、このくだらんかつ面白くないギャグはっ!!?
俺は思わずいつもの癖で心の中でツッコンでしまった。
いそいで、口に出してツッコミ直してみると・・・・・腹にとてつもなく強いけりを食らった。
「がはっ・・・・。」
腹が痛い・・・・。俺は腹を押さえ、地面に倒れこむ。
「貴様は私のネタにケチをつけられる身分なのか?」
倒れこんでいる俺に追い討ちをかけるかのように姫香は俺を踏みつけた。
そんな事をいわれても、お前の言ったギャグのおかげで観客みんなの顔が凍ってるぞ。
俺は顔を上げた。そこで、あるものが目に入った・・・。
言ってなかったが、この時、姫香はミニスカをはいていた・・・。
俺の顔の位置は地面スレスレである。そして、姫香は足を上げて俺の背中を踏んでいる・・・。
さて、俺の目に入ったの何でしょうか?
答えは俺の発言から察してくれるとありがたい。
「あ・・・クマ」
言った瞬間俺の顔面に姫香の強力キックが突き刺さる。
「ぐはっ!!」
俺は顔を抑えてもがく。
「お前は・・・どれだけ、私を怒らせれば気が済むんだ?」
姫香がわなわなと震えながら聞いてくる。
あー・・・やばい・・・俺死ぬかも・・・。
思った刹那、俺は姫香の超連続コンボを食らった。
コンボを食らっている時に見えた姫香の顔が心なしか赤かった気がする・・・ちょっとだけ可愛かった。
ネタの方は俺がボコボコにされるという物で終わってしまった。
が、しかし、幸か不幸か観客のほとんどが笑っており、ボタンも結構押されていた。
これで勝ったも同然だ。
ハゲさんのネタというかギャグは確実に受けない。先の姫香のギャグでもそのことは分かる。
「ふははは!!中々やるではないか!!」
ハゲさんが『お前はすごいけど俺のほうがすごい!』と確信しているのかと思うくらい高らかに笑いながら言う。
しかし、ハゲさん。あなたのギャグはきっと受けませんよ。これだけは、賭けても良い。
と、言うわけで・・・・・。
ハゲさんのネタ発表会終了ー。はい、そこ拍手を上げて。
何故省いたかだって?
ハゲさんが最初からとばしてたもんだから、俺の意識が保てなくなったんだよ。
でも、とりあえず勝利は確定したようだ。
なぜなら、集まっていた観客が誰一人いないからだ。
ハゲさんはあまりのショックで固まってる・・・。
すると、姫香が俺の横を歩いてハゲさんのほうへ向かっていくので、俺もその後をついて行く。
何しに行ってるんだ?ああ、あのドアの鍵でも貰いに行ったのかな?
しかし、俺の予想は全然違っていた・・・。
姫香はハゲさんの横に立ち言った。
「面白かったぞ!」
んなっ?!
「お前はあんなギャグが、面白かったというのか?!」
俺が思わず聞くと、姫香がむっとした顔をしていった。
「お前には、この人の笑いが分からないのか!!?」
正直に言います。さっぱりです、はい。
「私は間違っていた!笑いで世界を救うのはお前ではなく、この方だ!!」
そう言って姫香がハゲさんを指差した。
おいおいおい。俺達の発表の時にも思ったがこいつはもしかしてではなく確実に笑いのセンスがおかしい?
それに少しだけ腹が立つ。確かに、俺には笑いで世界を救うスキルは持ち合わせちゃいないが、あんなネタ以下といわれて悔しいわけはないぞ。
そして、俺は固まっていたハゲさんの方を見てみた・・・泣いとる!
「嬢さん・・・。そんな風に言ってくれるなんて・・・・うう・・・」
何だか、俺が入れない領域でアホ二人の美しき友情物語が始まりそうだ・・・。
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