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義勇艦隊奮戦録
作:山口多聞



米艦隊発見!!


 敵爆撃機に対して大勝を納めた戦闘機隊が帰還し、その戦果報告が旗艦「海龍」の木村中将の下へと送られてきた。

「来襲した爆撃機約30のうち、20機以上の撃墜確実か、幸先のいいスタートだな。」

「しかし、敵機は旧式の爆撃機で戦闘機の護衛なしでした。勝てて当然です。今後はより一層気を引き締めねばなりません。」

 そう言うのは、副司令官の蜂谷遼平大佐だ。彼は34歳で、「白虎」座乗の第一航空戦隊司令官の八島と並ぶエリートだ。ただし、彼の場合は帝国海軍からの転籍者ではなく大亜細亜通運から、海洋学院に入っている。

「確かにな。」

 木村中将は性格は昼行灯と呼ばれることが多い。停泊中に釣りをしていることが多く、普段はおっとりしているからだ。また、豪放磊落とも思える一面も持っている。しかし、いざ戦闘となれば果敢な士気と、優れた洞察力を発揮する。

「ところで、偵察機からの報告は何もないかな?」

「はい。現在の所偵察機、ならびに対潜哨戒機からの報告は皆無です。」

「そうか・・・・」

 木村が気に掛けているのは、米アジア艦隊の動向であった。

 この艦隊はハート中将に率いられ、マニラを母港にしている部隊である。しかし、そのアジア艦隊はここ数日その行方がわからない。今日のキャビテ軍港の空襲でも発見されていない。

「出来うることなら、先に航空機で一撃を掛けたいのだがな。」

 義勇艦隊はアジア艦隊に対して、航空機を運用できると言う大きな利点があった。艦隊決戦を行えば、戦力としては同等だが、空母や輸送船を守っている義勇艦隊の方が不利になる可能性の方が遥かに高い。

 その後潜水艦の襲撃も航空機の接触もなく、艦隊はフィリピンに接近した。

 そして木村が望んだ情報が入ったのは、日没3時間半前だった。

「日本海軍の偵察機より入電。本艦隊の南200kmの海域に敵艦隊。巡洋艦3、駆逐艦7.速力20ノット。」

 それは、高雄基地所属の零式陸上偵察機(100式司令部偵察機の海軍版)からの情報だった。

「南200kmか・・・・・」

 96式艦戦でも届く距離である。しかし、日没まで3時間半である。艦攻の巡航速300kmで飛ぶと片道40分。往復80分。これから雷装するのに60分。敵艦隊攻撃に30分とすると、余裕はわずか10分しかない。

 攻撃が長引いたりすれば夜間着艦になってしまうかもしれない。

「やるか・・・・・・・」

 そこへ、蜂谷が意見具申した。

「長官。今すぐなら間に合います。」

「よしやろう!!」

 直ちに、「白虎」に信号が出される。その命令は八島を喜ばせた。

「木村中将は決断したか。通信長、「蒼虎」にも転電!!飛行長、何機出せる?」

 すると、飛行長であるチェ大尉が整備長からの報告用紙をぱらぱらとめくりながらやって来た。

「使用できるのは、「飛龍」が11機。97艦攻が8機です。」

「よろしい。ただちに「飛龍」には爆装、97艦攻には雷装だ。「蒼虎」の方は何機だ?」

「96艦戦12機と、97艦攻9機だそうです。」

 航空戦力は計40機だ。相手が護衛もない小規模艦隊なら充分な数だ。

「準備出来次第発艦せよ!!」

 格納庫では、整備員たちが汗を流して走り回る。96艦戦と「飛龍」には60kg爆弾が。97艦攻には800kg魚雷と800kg爆弾が装備されていく。

 魚雷と爆弾の混合編成であるのは、魚雷のストックが少ないからだ。

 準備が出来た機体が次々とエレベーターで甲板に上げられる。

 偵察機からの報告を受けた55分後、発艦が可能になった。整備員の努力で時間を縮めれた。

「発艦準備完了!!」

「よろしい発艦だ!!」

「艦首風上へ!!」

 航空機を発進させるには揚力を生み出すために合成風力を起こさなければいけない。「白虎」と「蒼虎」は風上へ向けて最大速で走る。

 そして全ての準備が整った。

「発艦始め!!」

 信号旗が上げられる。

 多くの乗員に見送られながら、一番機の「飛龍」が滑走を始めた。

 「飛龍」は甲板を離れると一瞬沈み込んだが、その数秒後には上昇していく姿が見えた。

 約10分で、全機の発進が完了した。


 航空機の巡航速度は不正確です。申し訳ない。











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