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義勇艦隊奮戦録
作:山口多聞



敵艦隊見ユ!!


 中華民国海軍出撃す、の報告を受け、義勇艦隊もただちに出撃した。

 艦隊は軽巡の「海龍」を旗艦に、同「天龍」、そして「流星」級駆逐艦6隻という編成であった。黄海上という比較的近距離での任務であるため、補給艦はつかない。

 これらの艦隊を、義勇海軍総司令である白根以下居残りの将兵たちが見送った。

 「ついに出撃ですね、腕がなります。」

 参謀長の長野が待ってましたと言わんばかりの表情で言う。

 「そうだな。」

 大貫は勤めて冷静にそう言うが、彼自身も前回の戦いと違ってフル装備で一級の艦隊と手合わせできることに内心喜んでいた。

 艦隊は巡航速力12ノットで南下した。

 同時刻、遼東半島の義勇海軍航空基地と、満州海軍航空基地からは続々と偵察機が黄海上空に出撃しつつあった。

 義勇海軍航空隊は、1935年の8月に設立された組織で、渤海海戦で航空機の重要性が認められたために創設された。ただし、設立当初はパイロット育成に重点が置かれたために、保有していたのは日本から輸入した93式中間練習機、通称赤とんぼの水上機仕様6機のみであった。

 そしてパイロットの確保が出来た今年1月になってようやく90式艦上偵察機2機と90式水上偵察機4機が取得できた。

 今回飛び立ったのは艦上偵察機の方である。また、海軍航空隊の方は、奉天にある満州航空機製造公司でロールアウトしたばかりである3機の94式偵察機が発進した。

 計5機というのは心細い数ではあるが、ないよりマシである。

 しかし、結局この日は日が暮れてしまって発見するに至らなかった。

 翌朝、今度は艦載の偵察機が出撃することとなった。

 「海龍」と「天龍」に搭載されていた90式水上偵察機が射出される。

 「頼んだぞ!!」

 「がんばれ!!」

 多くの乗員の期待を胸に、2機は艦隊の目となるべく黄海上空へ舞った。

 その内の「天龍」搭載機の乗員は義勇海軍内でも話題のペアであった。なぜなら、その乗員は女性であったからだ。

 「雪江、なにか見える?」

 「だめよ五十鈴、全見つからない。」

 2人の搭乗員のうち、パイロットは大杉五十鈴、20歳。偵察員が同い年の衣笠雪江であった。

 義勇艦隊では、募集のさいに性に関しての制限を課してはいない。しかし、今まで女性が申し込んでくることは殆どなかった。

 そんな中、航空兵第一期生に彼女らが申し込んできたのだ。

 彼女らは満州在住で、女学校にあった飛行クラブで空に憧れ応募してきたのだ。

 航空兵は今回募集12人に対して国内外から実に200人近い応募があった。つまり彼女らは17倍の関門を突破したのだ。その後、練習機により実技訓練においても優秀な成績を収め、この度めでたく艦隊勤務となった。

 しかし、どんなに優秀でも今回が初出撃となったのには変わりはなかった。二人とも相当緊張しており、いつもどおりとはいかなかった。

 しかし、幸運とはどこで手に入るかわからない。

 突如、近くの空で爆発が起きた。

「キャ!!」

「対空砲!?」

 彼女らはいつのまにか敵艦隊上空に迷い込んでいたのだ。彼女らだけだったら見つからなかったも知れないが、中国艦が不用意に発砲したため、見つけることが出来た。

「すぐに艦隊に打電して!!」

「やってるわよ!!」

 こうして、義勇艦隊は敵の所在を知ることとなった。

 後日、帰還した二人には勲章が授与されることとなる。
 


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