もし、この世界に自分とあと一人だけがいるとする。
いつも二人は傍にいて支え合う、二人しかいないのだから。
でも人はいずれ死ぬわけでどちらが先かは解らないがどちらかが一人になる。
残してしまった者はどんな気持ちで天へと昇のだろうか、残された者はどんな気持ちで最期を見届けるのだろうか。
何とも単純な想像だ。
そう考えれば自分はまだ幸せなのだろうか。
自分がいる世界に人などたくさんいる。
己一人が死んでも残した人が一人になるわけではない。
己が死んでもまだまだ支え合っていけるのだ。
そう考えたら未練などない。
世界は広いのだ、己の代わりなど腐るほどいるに違いない。
そうだ、そうなんだ。
だから、泣かないでほしい。
真っ赤に染まっていく視界の中にいる仲間達よ。
泣かないで、己一人死んだところでお前達は支え合える。
一人ではないのだ。
これから死んでいく者に涙を見せるな、泣き顔を見せるな。
笑ってくれ、己のなかに未練を残さぬ様、不安を残さぬように。
「泣‥くな、よ……こ、んど……さん‥」
特に貴方は泣いてはいけない。
己の中にある貴方は泣いてはいけない、
大将だろう。
貴方は強くなくてはいけない、死んではいけない。
それに己が死んだところで貴方の周りにはたくさんの仲間がいる。
総悟だって、山崎だって、島崎だって、永倉もいる。
皆が貴方の隣にいた己の代わりに支えてくれる。
「副長!」
「副長ぉぉ!!」
そうだ、お前達も支えてやれるよな。いくら隊員クラスだとしても、仲間なんだから。
十分大将を、支えてやれるさ。
さぁ、仲間達よ。
笑顔を見せておくれ。
俺はもう、眠いから。
「トシィィィィィ!!」
END |