Act.09 遺志を継いだ子供
かちり、かちり。
時を刻む音が聞こえる。
歴史を刻む音が聞こえる。
かちり、かちり。
想いが刻む音が聞こえる。
言葉が刻む音が聞こえる。
この世界の時計は不安定。
止まったり、進んだり。
ぐらぐら、ぐらぐらと。
その針は今にも落ちてしまいそうで。
それでも最後には同じ場所に辿り着く。
其れは決まりきった事。
其れは定められた事。
世界が刻む物語は繰り返されるという事実。
時は繰り返している。
世界は繰り返している。
同じ場所をくるくると回り続けている。
戦争そして平和、そして戦争、そして平和、そしてまた戦争。
その様子はさながら自らの尾を追う犬のようで。
自らの尾を噛む蛇のようで。
傍から見る僕の目には滑稽なものとしか映らない。
くるくる回る世界の時計。
その内側で人は踊る。
くるくる、くるくると。
足元が無くなっているなんて気付きもせずに。
その先が奈落であるなんて考えもせずに。
くるくる、くるくる。
世界の時計は歴史を刻み、盤上の人々は逃げ惑う。
嗚呼。また世界は繰り返された。
終わる事の無い時の中に捕まった者達が見える。
繰り返す世界に囚われた者達が見える。
かくいう僕もその一人。
だから、僕は傍観者。
憎しみの連鎖を。『僕』達の生を。
この世界を見つめる。
この時間を見つめ続ける。
過ぎ去った日々を忘れないように。
今というこの時を忘れないように。
かちり、かちり。
時を刻む音が聞こえる。
歴史を刻む音が聞こえる。
かちり、かちり。
想いが刻む音が聞こえる。
言葉が刻む音が聞こえる。
そしてまた、物語は刻まれる。
何度も、何度でも。 |