Act.08 自分を見失った少女
僕達は自身の事を『僕』と呼んだ。
僕達は互いの事を『僕』と呼んだ。
幼い頃、僕達は叔母の家に預けられていた。
叔母の家には本がたくさんあった。
叔母の家には同年代の従姉妹がいた。
だから父がいなくても、僕達は寂しくなかった。
ある日、従姉妹が教えてくれた。
僕の名は『光』を意味している。
僕の名は『闇』を意味している。
僕達は文字通り表裏一体。二人で一人だ、と。
その当時は何の事なのか、よく分からなかった。
それでもなんだか嬉しかった。
その時の僕達は、確かに一つだった。
いつからだっただろう?
僕達の距離が徐々に離れていったのは。
『僕』が僕で無くなっていったのは。
それはきっと、あの日記のせいだ。
父の遺したあの日記の暗号を解いてから、『僕』は変わってしまった。
今の『僕』は父と同じ眼をしている。
父と同じ、どこか遠い場所を見つめ続ける眼を。
何故、変わってしまったのだろう。
何故、共に生きる事が出来なかったのだろう。
そして、僕は『僕』を見失った。
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