Act.07 花を咲かせ続ける少年
硝子の向こうを見つめる。
指に力を込める。
花が咲き、瞬く間に散る。
その繰り返し。
軍仕官だった父。
救護士だった母。
特務部隊隊長だった兄。
特秘計画の訓練生だった妹。
そして、落ちこぼれだった僕。
僕は昔から駄目な奴だった。
誰の役にも立てない人間だった。
僕は軍の学校に入っていた。
成績はいつも下から数えた方が早かった。
周りにはたくさんの子供がいた。
男も女も年上も年下もいた。
彼らは国のために戦う同胞だった。
課程を終えた同胞達は次々と戦場に送り出されていった。
そして戦争は終わった。
戦場からは誰も帰ってこなかった。
家族も同胞も消えてしまった。
僕一人だけが生き残った。
何故、僕なんかが生き残ってしまったのだろう?
僕なんかよりもっと生きるべき人間がいただろうに。
いや。まだ皆が死んだとは限らない。
いや。もう皆は死んでしまっているだろう。
矛盾している。
そう自覚していても消えてくれないどうしようもない虚しさ。
いくら否定しても抱いてしまう僅かな希望。
この空虚な気持ちを埋めてくれるのは硝子の向こうの真っ赤な花だけだった。
花を咲かせているうちは、全てを忘れる事ができた。
花が一輪咲くごとに、皆のいる場所に近づける気がした。
十字架の向こうに皆がいるわけじゃない。
それでも僕は皆が其処にいると確信している。
だから僕は十字の硝子に真っ赤な花を咲かせ続ける。
帰ってこない家族のためにも。
散っていった同胞のためにも。
|