挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマークする場合はログインしてください。

真理

作者:raki &竜司

 どんな問にも真実で答える霊能者がいた。
 霊能者は言った。
「私は毎日、零時一分零秒から十分間のみ問を受付け、その問が人知の及ばぬものであっても、真理のみを答える。但し十分間を過ぎた後のいかなる問の答えも真実とは保証しない」
 その霊能者の言葉の信憑性は確かであるという評判を聞き、文学者、数学者、物理学者、哲学者、宗教学者、生物学者、歴史学者、天文学者、化学者がある日に霊能者にアポイントメントを取ることに成功した。学者たちは、文学者、数学者、物理学者、哲学者、宗教学者、生物学者、歴史学者、天文学者、化学者という順番でそれぞれ一分ずつ霊能者の居る質問部屋に入り、質問をするという約束がされた。

 ある日、件の霊能者が居るという山奥の屋敷に学者たちはやってきた。規定の時刻になり、まずは予定通り文学者が質問部屋に入った。文学者が質問を終え部屋を出てくると、その後、数学者と物理学者も同じように質問を終えた。そして次に哲学者が質問部屋に入る。
 哲学者はこれまでの自己の人生の多くをかけて考え続けていた問の答えを問うた。
「この世界の誕生には何者の意志もなかったのであろうか?」
 霊能者はこう答えた。
「意志は存在した」
 哲学者は驚き、数秒間言葉を失った。
 哲学者は最後の質問をした。
「それでは、この世界は誰が作ったものなのか?」
 霊能者は答えた。
「神である」
 約束の時間が経ち、哲学者は部屋を出た。
 その後、宗教学者、生物学者、歴史学者、天文学者、化学者も質問を終えた。皆、それぞれ違った表情をして、中には霊能者を罵るものや、逆に崇めているものも居た。
 そんな中、哲学者は霊能者の言葉を疑い、一人急いで質問部屋に駆け込んだ。
 哲学者は再び霊能者に問うた。
「この世界を作ったのは誰だ? 本当に神なのか?」
 霊能者はこう答えた。
「この世界を作ったのは人間である」
 哲学者は混乱し、気が狂いそうになりながらも解答の真偽を問おうとした。しかし霊能者は一言「時間です」とだけ呟き、部屋を出てしまった。
 その時、すぐに哲学者が時計を見ると、時刻は零時十一分五秒であった。そこに、一人血相を変えて部屋に駆け込んでいった哲学者を呼びに、数学者がやって来た。
 哲学者は数学者に「時間切れで質問に対する解答が変わってしまい、解答の真偽を問えなかったのだ」と残念そうに話した。
 すると数学者は時計を観ながら首を捻り「それはおかしい」と言った。そして哲学者は数学者の言葉の意味に気付き、同時に霊能者の言葉の意味も悟った。哲学者は青ざめた顔をして、その場に嘔吐した。

 その後、それぞれの学者は帰路についた。学者たちが哲学者を見たのはそれが最後だった。その日、一人の哲学者が失踪した。





読了、感謝します。
解答、結末は複数考えられます。ぜひご自身の解答を選んでいただければと思います。
また、僕の想定した解答の内、説得力の高いものは2つありますが、片方は「明確な解答」、もう片方は「最後までぼやけた解答」になります。
複数の回答のうち一つは、ヒントをキーワードに入れておきました。調べていただければぼんやりと解るかなと思います。
・・・が、今回は基本的に解説なしで行こうと思います。
というのも、論理的な誤りが有った場合に対応できない可能性があるので。
その場合はあくまでも創作物という解答なんだと考えていただければ幸いです。
致命的なミスがあった場合は「雰囲気小説」とでも考えていただきたい(笑)

では、このへんで。
楽しんでいただけたならば嬉しいです。
最後に、どうしても観たい方だけに解説に近いヒントを。





僕個人の一つの解答としては「霊能者の言う真実」と「創造者の力」のどちらが強いかが最後にどの解答に導くか決めるでしょう。
霊能者のいう「人知の及ばぬものだとしても、真実」が正しいのか、そもそも霊能者自体が創造者によって作られたのだとしたら「人知の及ばぬものだとしても、真実」という発言さえも人為的なのか。
そのあたりが議論可能だと思います。
まあ、もしも創造者が作ったはずの霊能者が創造者よりも強い「ルール」を持つならば、この霊能者は一体何なのか? なぜ存在するのか? という点で得体のしれない不気味さが残るという感じですね。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項をご確認ください。

名前:

▼良い点
▼気になる点
▼一言
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ