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試作第3号 作者:やぽー
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第零話

 この世に不思議なことなんてないと思ってた。

 灰色のコンクリートで固められた町並み、汚染の進む大気、妙にドキツク強調された街頭AR広告……。
 通信技術の発達により、街でおしゃべりしている人などいななくなった。皆家に引きこもって、自分の仕事や趣味に没頭している。時々見かける人影は、家畜のように粛々と大型量販店に吸い込まれていく。

 街は静かだ。道を整然と流れていく電動車は、亡霊のように次々と掻き消える。建物の入れ替わりも、近年では極めて迅速かつ密やかに行われるようになった。息苦しいほどの人工物は、動植物の侵入さえ許さない。

 ここは、影絵劇だ。

 予定調和で動かされ、ごく単純な仕組みで操られている道化どもの街なのだ。
 それは、なんて無味乾燥で救われない世界なのだろう。

 そして、私は空に憧れた。
 誰もがうつむいて見上げようともしない、あの空に。
 『技術的に不可能』とか、『有用な資源がない』とか言われて、ずっと昔に人類進出が諦められた空に。
 機械も動物も人間もいない、完璧に無垢で自由な空に。
 地球の重力から逃れられる訳もないのに、それでも見上げるだけで救われるような気がして。周囲にバカにされようと、私は魅入られたように見上げ続けた。

 でも、私は馬鹿馬鹿しいほどに単純な事実に気づいていなかった。
 影絵には、操者がいるってことを。
 政治のなりたちとか、経済のしくみとか、そんな難しい話じゃなかった。
 影絵の舞台裏は、不思議で、理不尽で、滑稽で、時に無情で…………、異形のキャストたちが無秩序に我がままに跳ね回っていた。

 そしてあの日、私は唐突に影絵からそんな舞台裏にけり出されたのだ。

 これは、そんな混沌とした非日常のおはなし。
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