!警告!
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エロ描写、希薄です。期待していた方ごめんなさい。
後半に一部18禁描写があるので、こちらの枠をお借りしました。

女性向けの、肌の匂いを感じるようなお話、目指しています。
ぜひおつきあいください。
おれいろからー
作:やわた



第一話 不透明水彩 澄んでいるようで、その実、澄んでいない


 今晩はデートで、彼女はアパートにある一番大きい鏡、つまりユニットバスの鏡の前でため息をついていた。
「似合わない・・・・。」
黒いレースのキャミソールに、ヒップハングのブルージーンズ。長めのトップスをふわりと持ち上げると、赤いレースの見せパンが、彼女に言わせると"ちらり"というより"はみ出して"見えていた。
 少々肩幅のある身長165cm。"エロ可愛ぃ"路線よりも、シンプルなシャツとカーゴパンツが似合ってしまう体型。それでも今日は"いい加減決める!!"予定のおデートだ。
 何しろあと半年で大学も卒業。いつまでも惨めったらしく処女にしがみついていたくなかった。
 頑張らない訳にはいかない。
 バストはEカップだけど、体が細く着やせするらしく、というかがたいはそれなりに良いくせに胸下がえぐれていて、下着屋さんではいつも
「Bカップぐらいですよね?」
と言われる。これって損だと柏原藍かしわばらあいは思う。でかい分だけ肩はこるし、CカップよりEカップのブラの方が高いのだから。そのくせ見栄えがしないなんて。
 自分では絶対に選ばない様な、勧められるままに買ってしまった赤い25センチのエナメルミュールのヒールは6センチ。それを箱から取り出し、軽くガーゼで拭いてから足を通す。案の定、キツい。何しろ今までニューバランスのスニーカー、しかもEEE がご愛用だったのだから、こんな物はけるはずが無い。
 そこで彼女はまたしてもため息。
 このまま一生男女で人生を終わらせてなるものか。報われない思いにピリオド打って、バラ色の人生に踏み出さなくっちゃ。何しろこの夏に誓ったのだ、変身!!と。
 ずっと片思いだった男は、蝶の様にふらふらひらひら。無愛想なくせにどこで捕まえて来るのか、いつだって色とりどりの咲き乱れる花の様な女の子がついて回っている。まあ、彼のうわものは、中身云々を問う前にぱっと見上等だから仕方ないのだと毒づく。彼の見栄えの良さに騒ぐ女の子達をおばかさんだと思いつつ、そのくせ自分自身もそんな彼に目を奪われていた。その事が悲しい・・・・。
 やっぱり美形というものは得なのだ。
 そんな自分が格好悪いから、コッソリと言い訳を吐く。彼の目は、澄んでいて優しくって、だから、綺麗だ。だから、惹かれていただけだと。それに彼の良い所だったらいくらでも思いつく。そう、だからあれは正確に言えば恋というよりも憧れなのだ。カッコいい同級生にときめくのは学生にとっちゃある意味必須科目。
 とにもかくにも、例え彼に一番近い女友達とは言え、強いて言えば"ドクダミ"?って感じの自分なんかお呼びじゃない、それはよくわかる。
 だからこの気持ちは“若気のいたり”とラベルを貼って心の片隅にしまい込む。
 あの夏休み前の部室から漏れ聞こえた声が思い出される。
「子供、出来ちゃったみたいなの、橙貴とうき。どうしよう。」
それから、なんてこった!そこに同席していたらしい別の女の
「この、嘘つき!」
のののしり声。炸裂する打音。
 その直後に学食で会った彼はいつもと変わらぬポーカーフェイスで藍の頭をこずいた。
「卒論のレジメ、まだ出来てねぇだろ、その顔つきじゃ。」
あんたの所為で、頭痛いんだよ、こっちは。とさっぱりきっぱり言えれば良いのに言えない藍は、結局その時はそいつのふくらはぎを蹴飛ばすに留めた。
 こんな男に振り回されるなんて、もう嫌だ。
 いい加減、早く自分に釣り合う男、この場合見栄えは普通だけど、堅実で、どちらかっていうと地味なタイプ、を捕まえて、この想いとおさらばしようと切に願う。
 この22年間、男友達は数多くいたけれど、男と女の身の上でのおつきあいはした事が無かった藍だ。
 だから2学年下のしんが告って来た時にはふざけているかと思った。思いっきり笑い飛ばしてやろうとして、その表情に驚き、言葉を失う。
「俺、本気なんですよ、藍先輩。だから、からかっている、なんて言って欲しくないんです。」
うつむく彼が愛おしいと思った。本当の弟みたいに可愛がっていた子だったけど、緊張で上下するのど仏が、男なんだって感じた。
「友達以上、恋人未満ってとこからで、良い?」
慎には気が許せたから、信じて一緒に歩いてみるのも悪くないなって思ったから。
「俺、先輩以上に先輩の事、良く知ってるかもしれないんですよ?」
彼は少し上目を上げた。
「だから、今すぐ全部の答えが欲しいなんて言いませんよ。」
その一言で、慎は私の気持ちを知っていて、それでも良いと言ってくれているって、知った。
 真面目なこいつの事だから、お互い就職して3年ぐらいして落ち着いたら結婚、なんて未来が見えた気がした。
 それはほんわりと、ローズピンク。
 灼熱のカルメンみたいな、深紅の恋じゃない。

 その2ヶ月前の気持ちを思い出し、再び鏡に向かう。アレ以来、それなりにおしゃれというモノに努力は続けているのだ。
 せっかく私という女を選んでくれた彼に恥をかかせたくはなくって。
 しかも今日はかれ頃1時間もこれから着る服を選んでいた。普通前日までに準備するもんだよな、なんて自分をたしなめながら。

 さんざん悩んだくせに、着ているブラジャーの真っ白い肩紐がはみ出していて不細工。慌てて隠そうと肩ひも同士を合わせようとするけれど、どうしても上手くいかない。というより、キャミの紐が細すぎるのだ。
「めんど。」
彼女は唸りながらブラを外した。素肌に当たるポリエステルがさらさらして気持ちが悪い。でも、選んだ中ではこれが一番妥当な“勝負服”そうだった。
 まったく、女らしいって、厄介だ。
 今晩は慎の所にお泊まりの予定だから、勝負下着も必要だったかと思う。
 約束の時間まであと4時間。彼女は少し考えた後、その上に真っ白いカギ編みのカーデガンをはおり、財布の入ったバックをつかんだ。オフショルダーブラくらい駅前の下着屋さんで用は足りるだろう。
 馴染みのスニーカーを履きかけた時、朝子からのメールが届いた。
"忘れ物あり。今から届けに行く。早まるな。"
何のこっちゃと苦笑い。でもきっとこれは"友人を待て。話しを聞いてもらえ。"と言う神様の指令に違いない、と、彼女は朝子を待つ事にした。
 
 何だか独りファッションショーで疲れてしまい、咽が渇く。一つしか無いコンロに火をつけ彼女はコーヒーを入れる事にした。
 大きなグラスにキャラメルシロップを入れ冷凍庫に突っ込み用意をする。ロックアイスの在庫はたっぷりある。コンビニ限定の美味しいヤツだ。水道水より透明で、きめ細かく気泡の少ない舌触りは、貧乏学生の唯一の贅沢と自分に許していた事だった。最後にかけるシナモンシュガーはこの前買ってきたばかり。
 それは橙貴のバイト先でいつも飲ませてもらっていた藍のお気に入りの味。彼が一番始めにマスターしたとおごってくれたこの味。
 こんな所まであいつの影響を受けている自分が情けないとふとした瞬間に彼女は落ち込んでしまう。
 でも、と自分に言い訳をする。でも今じゃ、自分の方が上手にアイスコーヒーを入れられる。あいつは気づいていないと思うけれど・・・・・。それに、私はこの味が好きなのだ、純粋に。橙貴が好きだから、好きな訳じゃない。
 ヒートし過ぎた狭いキッチン。ドリッパーから落ちるコーヒーの一滴一滴が雨音のように響く。
 もうすぐだ。一口含めば、冷たくて甘くて。
「苦くて、美味し。」
誰も聞いてくれない独り言を呟く。
 朝子は中学からの腐れ縁で、藍が橙貴に寄せている気持ちを知っているたった1人の親友だった。その彼女は藍にいつでも言っていた。
「止めとけ。」
そのクールな口調で、
「例え付き合う様になっても、こんな自分でいいのかだとか、浮気されているんじゃないかとか、不安になる事、必至。女としての自分に自信を持てる様になるまでは、勧められないね。可能な限り他の男で手を打つべし、だ。」
ととどめを刺す。あいつが付き合う彼女達ってのが、いつだってフェロモン系だから、藍が自信を持てる日が来るなんて、ありえないって知っていて。そのくせ、慎と付き合う事になったと言った時、彼女はアサリ味のアイスを食べたかの様に変な顔をした。
「まあ、藍がそれで良いと言うのなら、止めはしないが。」
彼女は毒舌だけど、いつでも本音で話してくれる。そんな朝子を藍は大好きで、憧れてもしていた。

「コーヒーが美味いうちに早く来いよ、朝子。」
ひとすじの汗が滴りジーンズに落ち染みを作り、彼女はカーデガンを脱ぎ捨てた。            

                                おれいろからー つづく
        
補遺 季節、夏。寒くてスミマセン。← いろんな意味で、突っ込まないで〜


やわたネームで他にも色々書いています。お時間有りましたら、ぜひ見てやってください。結構変わったの、おいてます。






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