2人はまだ、たった4才で
それでもやっぱり心はつながっていて
そんな2人の初恋の物語
昨日、○○保育園に入園した
組の名前は サクラ組
だいたい、20人位の少年少女がいる
そんな中に、1人で紙にクレヨンでお花の絵を描く女の子と
1人で車のおもちゃをブンブン走らせている男の子がいた
ほとんどの子は、2人や3人やそれ以上の人数で集まって遊んでいた
お互いに、知り合いで保育園に入った子が多いようだった
だけど、1人で紙にクレヨンでお花の絵を描く女の子、毛利 蘭と
1人で車のおもちゃをブンブン走らせている男の子、工藤 新一の2人には
まだ友達がいなかった
他の子から、「一緒に遊ぼう」と声をかけられるわけでもなく、自分から声をかけるわけでもない
ただ、まだ保育園に慣れていないだけ
ただ、まだ友達が出来ないだけ
たった、それだけ
工藤新一と毛利蘭が、1人で遊んでいることに気が付いた先生が寄ってきた
工藤新一のほうに
「新一君、お友達できた?」
「………………………」
「………そうだ!先生がお友達に声かけてこようか?」
先生は、新一の顔をのぞきこんだ
「し、新一君??」
「…………………」
新一は何も言わずに、先生の目も見ずに、無表情で車を走らせる
先生はそっと新一のそばから離れていった
気を取り戻したように、そのまま方向転換して蘭のほうへ向かう
「蘭ちゃん」
「ん?」
蘭は、動かしていた手をピタッと止めて先生の顔を見た
「お友達とあそばないの?声かければ、お友達できるよ?」
「うん」
蘭は少し顔を下に下げた
「先生が、声かけてこようか?」
「いい」
蘭は即答で答え、また手を動かし始めた
「そ、そう……分かったわ」
先生は、そっと蘭のそばから離れていった
先生がそばを離れていってから、蘭はそっとまわりをみわたす
すると、蘭の顔にはブルーの色が浮かぶ
そのまま、ジワジワ涙が浮かんできていた
「蘭も………お友達と遊びたい」
そう、小さく呟いた
すると、蘭の顔の前に自分と同じ位の小さな手が現れた
蘭はそっと顔を上げる
そこには、キラキラ輝く瞳を持った少年がいた
「え?」
「ん」
「何?」
「ん!」
蘭は、自分の前にいる少年が何をしたいのかが分からなかった
ただ、何を聞いても ん しか言わないのだ
「ん!!」
新一は、蘭にずっと出していた手をもっと近づける
蘭は あっ… と呟くと、新一の手に自分の手を重ねた
そのままギュッと手を握る
そう、新一は手をつなげ、と言いたかったのだ
新一は蘭をグイッと引っ張って立たせる
「キャッ」
蘭は思わず声を上げた
そのまま新一は、グイグイと蘭を引っ張っていく
「ねぇ、どこに行くの?」
「……………」
「ねぇ!」
蘭の問いかけにはまったく答えず、新一はどんどん蘭を引っ張っていく
ついには 外 まで
そして、保育園の裏側に到着した
「ねぇってばぁ!!」
「し〜!」
新一はクルッとらんの方を向き、口の前に人差し指をたてる
「そんな大声出すなよ、先生に見つかっちまうだろ……」
「え?う、うん」
こっち、と新一はまた蘭を引っ張っていく
大きな石の上に乗り、そこからまた大きな石に乗る
そして、新一は太くて丈夫そうな木の幹に手かける
「こ、こんなところに来ていいの?」
「………………」
「ねぇ!!あっ……」
新一は、蘭と握っていた手をパッと離す
蘭はビクッとした
(どうしよう……嫌われちゃったかなぁ)
そんな心配をする蘭をよそに、新一は太い幹に座って蘭に手を伸ばした
「え?」
蘭は新一の目を見てから、また新一の手に自分の手を重ねる
「気をつけろよ」
「うん」
キャッと言いながら、蘭も幹に手をかけて新一の隣にちょこんと座る
「なぁ、見てみろよ…………こっからの景色」
「え?」
蘭は真っ直ぐ前を見た
「そんなに高くないから、そこまで綺麗じゃないけど………なかなか良いだろ?」
「うん!とっても♪」
新一はホッと息をついた
(気に入ってくれて、良かった)
蘭は今も、景色を見つめている
色んなマンションが見える、家が見える、お店が見える
「スッゴーイ!」
「だろぉ♪昨日、見つけたんだ」
新一は、ほっぺたをほんのり赤くさせた
「えっ?でも、昨日は入園式だったよ?」
「でーも、見つけたの!」
「そっか♪」
蘭は笑う、可愛い笑顔でニッコリと
そんな蘭の顔を見て、新一もニッコリ笑った
「蘭と、お友達になろ?」
「えっ………」
新一は、ほっぺたをさっきまして赤く赤く、染めていた
「ダメ?」
「べ、別にいーよ」
蘭はまた、無邪気にニッコリと笑った
「やったぁぁぁぁぁ♪」
「し〜〜〜」
蘭が大声を上げたため、新一が口の前に人差し指をたてた
「あっ!ゴメンね?」
蘭はほっぺたをピンク色にに染めた
「あっそうだ!!名前、何て言うの?あたし、毛利蘭!蘭って呼んでネ」
「え、えっと……く、工藤新一」
新一は照れながら蘭に笑顔を見せた
「カッコイイ名前♪新一って呼んでいい?」
「い、いーよ」
蘭はキラキラと目を輝かせる
「宜しくね」
「あ、あぁ宜しく」
2人はニッコリ微笑んだ
新一は、ほっぺたを苺のように赤く染めながら
蘭は、ほっぺたを桃のようにピンク色に染めながら
そんな時、後ろから聞き覚えのある声がする
「コラッ!そんなところに登ったら危ないでしょ!それに、保育園の裏側には来ちゃダメよ」
2人はゆっくりと後ろに振り向いた
腰に手ほ当てながら、先生が新一と蘭を見上げている
「ヤ、ヤベーな」
「ど、どうするの?新一ぃ」
「ど、どうするって言われても………」
そんなことを言っている間に、先生がすぐ近くまで来ていた
先生は、大きな石に乗る
先生の背の高さなら、そこから軽々と2人を見ることが出来る
「降・り・て・き・な・さ・い」
「は、はぁ〜い」
新一と蘭は、手ほをつないでゆっくりと来幹から降りる
その後、2人が先生に怒られたことは、言うまでもない
でも、それから2人は仲良くなった
保育園では、いつも兄弟のように仲良く遊んでいた
砂場で遊んだり、三輪車に乗ったり、遊具で遊んだり
時にはまた、保育園の裏側のあの太い丈夫そうな木の幹にちょこんと座りに行ったり
どこに遊びに行く時も、必ず忘れずにやっていたことが2人にはあった
それは
お互いの手と手を重ね合わせて、手をつなぐこと
2人の桃色の恋は、ここから始まった
|