第73話 消えた美衣子
空を覆う黒い雲から、まるで何かを感じ取ったかのように雨が降り始めた。
瑠夏は激しく胸騒ぎを覚え、美衣子の電話番号に何度も電話をかけた。
しかし、呼び出し音が鳴るばかりで、美衣子は電話に出なかった。
瑠夏は乱暴に電話を切ると、慌ててその場から立ち上がった。
嫌な胸騒ぎがする。考えていてもどうしようもないと判断した瑠夏は、京子と奈々に声をかけた。
「京子、奈々! 美衣子のマンションに行こう!」
「え、今から?」
「何でですか?」
「さっき、美衣子から電話がかかってきたんだけど……」
瑠夏の話を聞いた2人は蒼ざめ、早くマンションへ向かおうと言った。
すぐさま校舎から飛び出した3人は、雨に濡れた道を駆けた。
数十分後マンションに着いた3人は階段を駆け上り、美衣子の部屋の前に立った。
「美衣子、美衣子! いる? いるなら返事して!」
何度も扉を叩くが、返事は無い。3人の背中に嫌な汗が流れていく。
「美衣子さん、美衣子さん!」
奈々が声を張り上げて扉を叩き、咄嗟にドアノブをまわした。
「……あっ」
なんと、扉はいとも簡単に開いてしまった。
「!」
3人は顔を見合わせた。
「鍵、開いてる……?」
「美衣子、ごめん。入るよ?」
3人は恐る恐る部屋の中に入った。雨が降っているせいか、室内は薄暗い。
京子が電気を点けてみた。部屋が瞬時に明るくなった。……しかし、美衣子の姿はどこにも無かった。
荷物や布団はそのままだ。先程食べたと思われる、汚れたままの食器も残っていた。
「どこ行ったの? こんな天気なのに」
雨音と不安は強くなるばかり。
3人は暫くその場に呆然と立ち尽くしていた。
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