第69話 検査
美衣子はちょうどその頃、自室のベッドで横になっていた。
何故だか最近いくら寝ても眠い。体がだるく、何をするのも億劫になってしまう。
起きる時間帯はとっくに過ぎている。
(そろそろ起きなくちゃ……)
美衣子はとりあえず体を起こし、テーブルの上の皿に置いてある梅干を口に運んだ。
「あー、おいしい……」
今までそんなに好きではなかった梅干が、近頃とても美味しく感じるようになった。それが何故なのかはよく分からないけれど。
食事を終えた美衣子は皿をテーブルに置いたまま、すぐにその場にごろりと寝転がった。
「うー……なんか、頭痛い……」
小さく呟いて、瞳を閉じる。だんだん意識が遠のき、まさに意識を手放しそうになった瞬間。
「!」
突然の吐き気が美衣子を襲った。慌てて跳ね起き、急いでトイレに向かう。
「っげほ、げほっ!」
美衣子は何度か嘔吐し、ようやく少し治まったところで息を吐いた。
実は、ここのところ突然激しい吐き気や目眩に襲われるようになったのだ。
「……」
美衣子はごくりと唾を飲み込んだ。
少し前から体に違和感を感じ始めていたが、やはり、この体調はおかしい。
あまり考えたくなかったが、もしかすると……。
美衣子はトイレから出て、押入れに手をのばした。……開くのが怖い。
それでも決意し、恐る恐る押入れを開けた。
押入れの中には、布団の他にたった1つだけ、ある物が入っていた。それは小さな長方形の箱。1週間ほど前に薬局で購入したものだ。
……妊娠検査薬。それがその物体の名前だった。
美衣子は大きく息を吐き、そして深く吸い込み、その箱を見つめた。
そして心の中で何度も何度も祈り続けた。
今自分が考えている事が、どうか思い過ごしでありますように、と。
美衣子は意を決して、検査薬を持ったまま再びトイレへと向かった。
扉を閉める最後の瞬間、美衣子はかたく両目を瞑った。
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