第67話 癒えていく傷跡
目を覚ますと、3人は何事も無かったかのように雑談していた。
美衣子が目を覚ましたことに気づいた3人は、美衣子ににっこりと笑いかけた。
「おはよう!」
3人は血だらけの衣服を身に纏った美衣子の姿を目の前で見ている。
しかし、恐怖の感情なんて全く無いかのように、美衣子に対しての3人の態度はいつもと変わらなかった。
「あ 美衣子さん、ちょっと台所借りちゃったんですけど、良かったですか?」
「え? う、うん」
「美衣子は知らないかもしれないけど、奈々は料理得意なんだよ! ほら、美衣子の分も」
京子が、なんともおいしそうなシチューを目の前に差し出した。
美衣子驚きながらも、そっとスプーンを手に取り、スプーンで皿の液体を掬って口に運んだ。
……その瞬間、口の中でとろけていったにんじんやたまねぎたちは、美衣子に笑顔を与えた。
「すごくおいしいね、これ! どうやったらこんなおいしくできるの?」
「ありがとうございます。ええと、これはですね、少しコツがあるんです。まず煮込む前に隠し味として……」
美衣子は奈々の説明を笑顔で聞きながら、おいしそうにシチューを口に運んだ。一口、そしてまた一口。
シチューを全て食べ終わった美衣子は、奈々にお礼を言った後、3人の目を真っ直ぐ見つめて、恐る恐る尋ねた。
「ねえ、みんな気づいてるんだよね? 私が……どんな最低なこと、したのか」
3人は気まずそうに顔を見合わせあった後、すぐに美衣子の方を向いて、小さく頷いた。
「うん……、わかってる。でもあたしたちは、美衣子を責めるつもりは無いよ。例えそれを隠すことが犯罪でも、あたしたちは美衣子の味方でいるから……」
美衣子は俯いたまま、微かに頷いた。3人の気持ちが嬉しすぎて、言葉にならなかった。
突然京子が明るい笑みを浮かべ、両手を叩いて美衣子に向き直った。
「美衣子、これから学校はどうするの?」
「……えっとね、暫く行かないことにするよ。今、人と会うの、ちょっと怖いから」
「そうですか……わかりました。奈々たちが、涙さんにちゃんと言っておきますからね。美衣子さんに危害を加えたりしたら承知しないって」
「うん。……ありがとう」
美衣子はにっこりと微笑み、ふと自分の服に目を落とした。……血まみれの服。早く着替えなければ。
……だけど、服を着替えても自分自身の罪が消え去るわけではない。美衣子は両手で自分の服を掴んで、苦しそうに両目を瞑った。 |