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あたしは悪くないもん
作:猫満月



第52話 マンションにて



「はい、お茶入ったよー」

美衣子はお盆に乗せたお茶を、(自分の分も合わせて)4つテーブルに置いた。
ずっと黙り込んでいた3人は、そのお茶にそっと手を伸ばした。

「ありがと」
「ありがとう」
「……頂きます」

3人は美衣子に向かって深く頭を下げ、ゆっくりとそのお茶を飲んだ。
湯飲みを元の場所に戻した瑠夏が、再び大粒の涙をこぼした。
それを見た美衣子は酷く慌てて瑠夏の顔を覗き込み、首を傾げる。

「大丈夫? ご、ごめん、ちょっと熱かったかな。タオル取って来るね」
「……ううん、大丈夫。平気……」

お茶の温度が、熱かったせいなんかじゃない。美衣子の淹れてくれたお茶はまるで美衣子そのもののようにすごく温かくて安心して、何故か涙が零れ落ちてしまっただけ。
泣き腫らした目を美衣子に向けた京子は、深々と頭を下げた。

「本当にごめんね。謝って許されることじゃないけど、今までイジメなんてしてごめん」
「そ、そんな、別に、大丈夫だよ。気にしてないから」

美衣子は明るい笑顔を取り繕って微笑んだ。
……本当はたくさん傷ついた。何度も挫けそうになった。
でも、こんなに必死になって謝る3人を見ていたらそんな事どうでも良くなってしまった。
奈々が美衣子の傍にちょこちょこと近寄ってきて、泣きそうな顔をして深く頭を下げた。

「あの……、雪山先輩の事、ご愁傷さまでした。先輩にも……きちんと謝りたかったです」

しんみりとした空気になる。すると、瑠夏は突然何かを思い出したような顔をして、ぽんと膝を叩いた。

「ねぇ美衣子、これからさ、一緒にるぅをいじめようよ。るぅが美衣子にしてきたこと、全部やり返してやろう。あたしたちも協力するから、ね? 少し懲らしめてやらなくちゃ」

しかし、美衣子は悲しげな目をして、ふるふると首を横に振った。
瑠夏たちが顔を見合わせて首を傾げる。美衣子はそっと顔を上げて、静かに口を開いた。

「確かに、私、るぅちゃんたちに虐められて沢山傷ついたよ。怖かったよ。でもね、元はといえば私が悪いんだよ。雪ちゃんと付き合ってること言えなかった、私の責任。私が弱かったせいで、るぅちゃんを傷つけちゃったことが原因だから。……それに、虐められていても、あの頃の私には、雪ちゃんがいた」

涙を溜めた瞳を瑠夏たちに向け、美衣子は涙声で叫んだ。

「だけど、るぅちゃんには誰が居てくれるの? 親友の瑠夏ちゃんが傍に居なきゃ、るぅちゃん1人ぼっちになっちゃうよ。そしたら物凄く辛いよ? 悲しいよ? 苦しいよ? 私と同じ気持ちを、るぅちゃんに味わって欲しくない。それに、もう私は瑠夏ちゃんたちに人を傷つけて欲しくないの。だから、お願い。もう二度とそんなこと、言わないで……」

美衣子の澄んだ瞳から、涙が零れ落ちた。それを見た3人はもう何も言葉を発することが出来なかった。












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