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あたしは悪くないもん
作:猫満月



第51話 謝罪


火葬場にて、美衣子は再び涙を流していた。雪山の体は小さな白い箱に収まるほど小さな物体に姿を変えてしまった。
煙突からは白い煙が上へ、上へと昇っていくのが見える。それを見て涙を流さないはずが無かった。我慢できるはずが無かった。
大切だった人が、たった1人の、支えになってくれた人が、本当に姿形もなく消えてしまったのだ。

あの力強い腕も、整った顔も、大きな背中も、全部消えてしまったのだ。
もう二度と見ることはできない。記憶の中でしか思い出すことが出来ない。
ほんの1週間前まではすぐ隣にいたのに、今はどこにもいない。
まだ若い美衣子にとって、それは心の中に抱え切れないほどの悲しみだった。

涙で濡れた砂。雪山の為に流した涙。……でもその涙を拭ってくれる愛しい人は、もう居ない。

その濡れた砂に、誰かの影が映った。目線を上に上げた美衣子は、驚いて両目を見開いた。

「美衣子」

そこに立っていたのは、瑠夏、京子、奈々の3人だった。いつも美衣子をいじめていた、あの3人だったのだ。
あまりの驚きで、涙が止まってしまった。言葉を発することの出来ない美衣子の手を、突然瑠夏が握り締めて、泣き始めた。

「ごめんね。美衣子……」
「え、え?」
「るぅの事、ちゃんと止められなくて……、雪山先輩が、こんなことになるなんて、思わなくて……」
「ちょ、ちょっと待って。一体、どういう……こと?」
「ごめん……っごめん、美衣子……!」

美衣子は口をあんぐりと開けたまま、目を白黒させた。
今まで敵だった人達が突然、涙を流しながら自分に謝っているその光景が信じられなかった。

「み、美衣子、どうしたの? この子たちは?」

美衣子の母がやってきて、首を傾げながらそう言った。怪訝そうな顔をして3人を見つめている。美衣子は慌てて笑みを浮かべ、母に駆け寄った。

「あ、えっと、私のお友達だよ! あのね、お母さんはお婆ちゃんちに帰っていいよ? 私はこの子たちと一緒にマンションに帰るから」
「……そう? わかったわ。それじゃあ……。お母さん帰るわね。今日は、ゆっくり休むのよ?」
「うん! わかってる。ばいばい」

美衣子の母は心配そうに、何度も後ろを振り返りながら去っていった。
母が視界から居なくなったのを確認した美衣子は、急いで3人のもとに駆け戻る。

「ええと、3人とも、どうしたの?」
「本当にごめん……。ずっと苦しめたよね、傷つけたよね」

瑠夏の後に続いて、京子と奈々も泣きながら美衣子に深々と頭を下げた。

「あたし、友達の事絶対に傷つけないようにしようって心の中で決めてたのに……。それなのに、るぅの為って言い訳作って美衣子を苦しめた。あたし最低だよね……ごめんね……」
「ヴァーチャルの世界でだって、いじめはいけない事だって、決まってるのに……。奈々、知ってたのに、……ちゃんと、知ってたのに……奈々は美衣子さんをいじめました。沢山傷つけました……。許してもらえなくてもしょうがないです。でも、言わせてください。ごめんなさい……」

大声を上げて、ひたすら美衣子に謝罪を続ける3人。
3人の気持ちは真っ直ぐで、とても嘘をついているようには見えなかった。
美衣子は黙って頷き、そっと顔を上げて小さく微笑んだ。

「……ねぇ、3人とも。こんなところじゃなんだから、家に来ない? お茶も出すから」












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