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あたしは悪くないもん
作:猫満月



第37話 うわさ


いくら次の日が来て欲しくなくても、必ず日は昇る。今日も朝がやってきた。
雪山は、朝日に照らされながら、重たい鞄を引き摺って、登校した。
校舎に入ってから廊下を歩いている間、周りの目が自分に突き刺さっていることに気がつくのにはそう時間はかからなかった。

「なんだよ、何見てんだよ」

凄みのある声でそう言うと、後輩達は首を横に振りながらにたにたと笑った。

「なんでもないっすよ」
「雪山先輩、せっかく停学あけたのに残念っすね」
「あ?」
「ははっ、俺たち、全部知ってるんすよ? ってか、多分先輩の事件知らない人、もうこの校舎内にはいないと思います」

昨日の出来事は、何故か全校の生徒達に知れ渡ってしまっているようだ。雪山はあからさまに不機嫌な顔をして、後輩達を睨みつけた。

「うるせぇな。どけよ」

後輩を突き飛ばし、教室に辿り着いて、扉を開く。……一瞬静まり返った教室内。
雪山が席に着いた途端、辺りから冷やかしの声が上がった。

「よぉ。 ストーカー雪山」
「今日も2年の葉山、ちゃんと登校してるぜ? 会いに行かなくていいのかよ」
「なんか、こんな真面目な雪山があんなことするなんて意外だよな」

笑い声をあげるクラスメイトたちの頭を叩いた雪山は、クラス内にいる全員を睨みつけた。

「黙れ! あんなのデマに決まってんだろ!」

雪山が叫んだ瞬間、スピーカーから放送が流れた。

『3年A組、雪山拓正くん。至急校長室まで来てください。繰り返します。3年A組雪山拓正くん。至急校長室まで……』

……最悪のタイミングだ。雪山は鞄を乱暴に机に置いて、その場から逃げ出すように教室を出た。
クラスメイトの笑い声が雪山の背中を追いかけてくる。歯を食いしばりながら、雪山は校長室へと走った。
しかしその間にも、後輩達の視線が気になった。みんなにたにたと気持ちの悪い笑みを浮かべて雪山を見ている。
雪山を指差して笑っている男子や、雪山の方を見て顔を顰めている女子。

やめろ。やめろ。やめろ。
そんなでまかせ、信じるんじゃねぇ!

気が狂いそうになって、雪山は自分自身の耳を強く塞ぎ、後輩たちを跳ね飛ばしながら廊下を駆けた。












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