第22話 悲しみ
その頃、美衣子は携帯電話を握り締めて自室のベッドの上に座っていた。彼女の手は、じっとり汗ばんでいる。
先程から、非通知の電話が何件もかかってくる。……また、きた。これで40件目だ。
この嫌がらせ電話の犯人はわかっている。涙、瑠夏、京子、奈々の4人だろう。
美衣子は携帯電話の裏側を見つめた。そこには、仲良しだった頃の美衣子と涙、瑠夏のプリクラが貼ってある。
それを見つめる美衣子の瞳から、大粒の涙が溢れ出した。あの頃あんなに仲良しだった親友は、今はもう自分の傍にはいない。
その事実がとんでもなく悲しくて、美衣子は携帯電話を握り締めたまま泣いた。
美衣子の声は、あの日以来出なくなった。
1週間前先生と病院に行ったが原因が分からないと言われたので、明日は精神科に行ってみる予定だった。
だから今回の電話の対応には、以前録音しておいたテープを使った。
もしもの事があったときのために、慎重な美衣子はこうやって色々な言葉をテープに録音しているのだ。
でも……まさか、こんなカタチでこのテープを使うことになるとは思わなかった。
かかってくる電話の内容はわかっていた。絶対、嫌がらせの電話だと確信していた。
だけど少しだけ期待してしまった。もしかしたら涙が、瑠夏が、『ごめんね』『また一緒に笑おう』……そう言ってくれるかもしれないなんて、淡い期待を抱いてしまっていた。
(もう、無理……なのかな)
光を宿さない美衣子の瞳から、止め処なく涙が零れ落ちる。
(もう、友達に戻れないのかな)
美衣子は1人ひっそりと部屋で泣き続けた。
泣いている間、何度も何度も携帯電話の着メロが鳴り響いた。だけど、もう美衣子は電話に出る気になれなかった。
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