第21話 電話
あたしは机を両手で力一杯叩くと、眉を吊り上げて立ち上がった。
「あーもうっマジで腹立つ! 早く来いっつーの! こうなったら嫌でも学校に来させてやろ!」
「え? でも、どうやって?」
その言葉を聞いて、あたしは片方の手で机を叩き、瑠夏を睨みつけた。
「みんな忘れてるでしょ。すっごく王道ないじめがあるじゃん。それを脅しに使えばいいのよ」
みんな、顔を見合わせて首を傾げている。
……はぁ。何よ、こいつら。最近、てんで使い物にならないわ。
あたしは呆れ顔で溜息を吐き、スクールバッグを漁って携帯電話を取り出した。
「コレを使うの」
「えっ?」
「……電話?」
まだ分かっていないみたい。目を白黒させる3人に向かって、あたしは笑みを浮かべたまま、静かにこう告げる。
「次って数学だよね。……サボろ」
「え? 数学わかんないから、別にいいけど、どうして?」
「説明は後でするわ。……京子も、奈々も、いいよね?」
あたしが睨みつけると、京子と奈々は渋々頷いた。この2人は真面目だからきっと、“高校入試に響くかも”とか余計な心配をしているんだろう。
「じゃ、行こっか」
あたし達は予鈴が鳴る直前に、教室を飛び出した。
***
あたし達4人は学校を離れ、駅まで来ていた。駅に入って公衆電話の並ぶ道を無言で歩いていると、瑠夏が口を尖らせてあたしに詰め寄ってきた。
「ねえ、るぅってば、いい加減教えてよ! 何する気なの?」
あたしは胸ポケットからテレホンカードを取り出して不敵に微笑んだ。
「まぁ、見てなさいよ」
あたしは目の前にあった公衆電話にテレホンカードを差し込んだ。
「美衣子の携帯電話の番号覚えてるでしょ? イタズラ電話かけてやるのよ」
あたしは言うが早いか、テンポ良くボタンを押し始めた。
それを見て他の3人も、楽しそうな顔をして他の公衆電話から電話をかける準備を始めた。
……電話が、繋がった。あたしは口元に笑みを浮かべて美衣子の言葉を待つ。
『はい、もしもし』
美衣子の声。どこか機械的な気がする。なんだか、テープに録音されたような声。……気のせいかな?
暫く無言を続けていると、もう1度、美衣子の声が聞こえた。
『もしもし?』
「……」
あたしは、受話器を持っていないほうの手で髪の毛を払いながら、尚も無言を続けた。
とうとう美衣子が痺れをきらしたらしく、此方に向かって少し強めにこう尋ねてきた。
『どちらさまですか?』
その瞬間、あたしはこう言い放った。
「学校、来なさいよ。来ないと許さないから。あんたの大好きな雪山先輩にも、危害加えちゃおっかなぁ?」
美衣子が何かを言ってくる前に、あたしは乱暴に受話器を置いた。
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