ファイル96:コナンと哀の恋運動会『前編』
秋と言えば運動会。
という訳で、帝丹小学校でも間もなく運動会が行われようとしていた。
子供達にとっては楽しみな行事である。
しかし、教師達にとっては怪我の心配や準備などで忙しい。
そんな中、教師達の間ではコナン達の事が話題になっていた。
季節外れにやって来た、妙な名前ばかりの子供達。
しかも、事件がお友達と言えるほど、良く巻き込まれている。
そして、遭遇したそれらの事件をいずれも見事解決に導いているのだ。
オマケに、コナンは転校初日の体育の時間にけったボールがゴールを突き破って後ろの木を倒したと言うし、ユリや刃、風月は素手で大人の犯人を倒したと言うし、哀はやたら大人びている。
全員そろって、『コイツら超人か!』と言える面々だから、彼らがどんな活躍をするか、教師達は話し合っていた。
ある教師は、『もしかしたら血の雨が降るかも』とか言っているが、あながち現実になりそうであるから恐ろしい。
運動会当日の朝、哀は朝早くから起きていた。
コナンのお弁当を作るためだ。
ここで、彼女はコナンとの中を大きく進展させたかった。
哀
「〜〜〜♪(今日こそ、コナン君との仲を一気に詰めたいわ。)」
そこには、恋に一途に突っ走る1人の乙女の姿しかなかった。
さて、別の事で燃えている子もいた。
剣野刃だ。
刃
「楽しみだわ、運動会。」
ユリ
「あら、どうして?」
隣にいたユリが聞いた。
刃
「だって、今日は全力を発揮できるのよ。」
そう、ご満悦そうに言う、刃。
しかし、ユリの心中は穏やかではなかった。
ユリ
「(アンタが全力を出したりなんかしたら、絶対に死人が出るわよ・・・これは私がなんとかしなくちゃ・・・)」
一方、あまり乗り気でない者もいた。
風月である。
風月
「運動会なんて退屈だから、休もうと思ったのに・・・なんでジンは参加しろなんて言うのよ・・・」
花鳥
「まぁ、そう言わないの、風月。こんな日はあの2人の事を探れる、いいチャンスでしょ?」
風月
「まぁ、そうだけどさ・・・」
花鳥
「それに、せっかくジンが参加しろって言ってくれたんだし・・・あまり運動会を楽しめてないんだから、精一杯楽しみなさい。」
風月
「はぁい・・・」
とまあ、様々な思惑の中、運動会は始まるのであった。
1年生最初の種目は、クラス対抗の玉入れであった。
「ヨーイ・・・」
パーン!
先生のピストル発射とともに、生徒達が一斉に投げ始めた。
しかし、なかなか入らない。
普通はそうである。
しかし、常識が通じない者もいた。
ユリと刃の2人である。
「!!」
観客の目が2人に釘付けになった。
なんと、2人とも他の生徒の5倍のスピードで投げている。
しかも、百発百中で。
さすがのコナン達も、開いた口が塞がらなかった。
そして終わってみると、コナン達のクラスだけ、玉がほとんど残っていなかった。
刃とユリの2人だけでほとんど入れてしまっていたからだ。
そんでもって2人とも、
刃
「こんなの、準備体操ね。」
ユリ
「刃には負けないわよ。」
とケロリとした顔で言うから、恐ろしい。
そんな2人を見てコナンは、
コナン
「(この2人は最強だな。絶対敵に回したくねぇ・・・)」
と思った。
もっとも、如月の話を聞いたらどう思っただろうか。
一方哀は、
哀
「(お願いだからから2人とも、目立つ事はあまりしないで!!)」
と自分の事は棚に上げて、心の中で呟いた。
異常な玉入れが終わった後は、普通に運動会は進んだ。
そして、1年生の次の競技となった。
障害物リレーである。
各クラスから2チームずつ、選ばれたペアがリレーに出る。
第1チームはコナンと哀、そして第2チームは急遽、刃とユリになった。
出るハズだった生徒2人が彼女達を推薦したからだ。
これを受けコナンと哀は、
コナン
「(あ、悪夢だ・・・)」
哀
「(じょ、冗談でしょ・・・)」
と思った。
一方、刃とユリは、
刃
「(コナン君、哀ちゃん。今回はアタシ、容赦しないわよ。)」
ユリ
「(勝ちは私達2人のものよ、コナン君、哀ちゃん。)」
と、もはや勝ったも同然の気分になっていた・・・
いよいよスタートとなった。
第1走者は哀とユリだ。
そして、スタートした。
2人は第1関門の網くぐり、第2関門の平均台を渡る。
しかし、じょじょに哀が遅れ始めた。
ユリが第2走者の刃にバトンを渡す。
少し遅れて、哀がコナンにバトンを渡した。
哀
「頼むわ、コナン君。」
コナン
「ああ、任せとけ、哀。」
とはいったものの、すでに刃は第3関門のアメ探しを終えていた。
刃
「フフフ、今回はアタシ達の勝ちね。」
もはや勝利はゆるぎなかった。
しかし現実はわからないものだ。
第4関門はクイズだ。
刃はその内の1枚を取って内容を見て固まった。
その内容は『仮面ヤイバーの放送時間は?』だった(ちなみに正解は夜7:30〜夜8:00)。
刃
「え、えええ!?(こ、こんなの、アタシ知らないわよ!!)」
確かに刃は知らないハズだ。
なぜなら、彼女はそんな番組など観ないからだ。
刃
「ど、どうしよう・・・」
そうこうしている内に、コナンが追いついた。
そしてあっという間にクイズを解いて、刃を抜き去っていってしまった。
刃
「(なっ・・・)」
ちなみにコナンのクイズは『168+19はいくつか?』だった(正解は187)。
彼にとっては、こんな問題など超楽勝であった。
そしてそのままゴールした。
その途端・・・
刃
「そんなぁぁぁ!!!」
刃が悲鳴を上げた。
そして、動かなくなった。
ユリ
「刃?」
ユリが近づくが、刃の反応がない。
そして、彼女は倒れた。
ユリ
「や、や、刃!!しっかりして!!」
どうやら刃、コナンに負けた事がよほどショックだったようだ。
先生に背負われ運ばれる彼女を見て、誰もがこう思った。
「かわいそうに・・・」
その後、3年生の競技の綱引き、2年生の競技の玉転がし、4年生の競技のムカデ競走が行われた。
午前の競技も終わり、昼食の時間となった。
哀お待ちかねの時間である。
哀
「(私の料理をコナンに。・・・って、あれ?)」
そのコナンがいない。
哀
「ねぇ、コナン君知らない?」
歩美達に声をかけてみる。
マリア
「コナン君なら、さっき血相変えて出ていったで。」
マリアが言った。
哀
「(血相変えて?)」
なぜと思いつつ、哀はコナンを探しに行った。
さて、一方のコナンはというと・・・
コナン
「なんで来たんだよ。」
文句を言っていた。
その文句を言う相手とは・・・
優作
「ひどいな新一、せっかく息子の立派な姿を見に来たというのに。」
父親の工藤優作だった。
「だって、父さんは有名人なんだぜ。いくら変装していても・・・」
とそれらしい理由を並べるが、彼の本心はというと・・・
コナン
「(ちくしょう、哀と一緒に弁当を楽しむハズだったのに・・・)」
やっぱり。
優作
「ほーう。新一、どうやら文句は私が来た事だけが原因ではないようだな。おそらく、これだろう?」
と言って小指を立てた。
さすが小説家、するどい。
それに対し、コナンは狼狽(あわてふためく事)してしまった。
コナン
「え!イヤ、あの、それは・・・」
優作
「どうやら図星のようだな。お相手はおそらく、そこにいる少女だな?」
その言葉に驚き振り向くと、哀がいた。
しかも、耳まで真っ赤にして。
コナン
「え!哀!?」
優作
「名前で呼んでいるところを見ると、どうやらまんざらでもないようだな。じゃあ、私はお邪魔になるので行くよ。」
そう言うと、優作は行ってしまった。
後にはコナンと哀の2人だけが残された。
コナン
「・・・」
哀
「・・・」
コナンと哀は、しばらく立ち尽くしていた。
最初に口を開いたのは、哀だった。
哀
「コナン君・・・」
コナン
「ん?」
哀
「一緒にお昼食べよう。」
コナン
「ああ、そうだな。」
哀
「2人きりで食べよ!」
コナン
「そうするか。」
コナンと哀は、笑いながら走っていった。
1−Bの教室
コナンと哀は、2人きりでお弁当を食べていた。
哀
「はい、コナン君。」
哀は玉子焼きを取り、コナンに差し出した。
コナン
「ああ、ありがとう。」
コナンは玉子焼きを口に入れた。
コナン
「あ、おいしいな。これ・・・」
哀
「本当!うれしい・・・」
コナン
「何か入れたか?」
哀
「うん、隠し味に明太子を入れたの。」
コナン
「いい感じじゃないか。」
哀
「ありがとう!」
コナンと哀はお弁当を食べ終わると、観客席に戻っていった。 |