ファイル91:ドッペルゲンガーと運命の歯車
警視庁−捜査1課
その日、警視庁捜査1課内は、慌ただしい空気に包まれていた。
そんな中、高木渉警部補が出勤してきた。
ちなみに彼は最近大手柄を上げて、巡査部長から警部補に昇進していた。
高木渉
「おはようございます!!・・・って、なんか慌ただしいなぁ・・・あ、由美さん。何かあったんですか?」
彼は由美に声をかけた。
宮本由美
「あ、高木君。実はね・・・」
由美の話すところでは、なんでも今日の早朝、事件の捜査をしていた刑事が、米花町で佐藤美和子警部補を見たというのだ。
ただ聞いているだけだと別に変には思えないが、捜査1課の刑事である高木はもちろんその話がおかしい事に気づいた。
渉
「ちょっと、待ってください。佐藤さんは確か、江戸川区で起きた事件の捜査本部に行っているんじゃ。」
由美
「そうなのよ。だからみんな不思議がっているのよ。」
と言ったところで、ウワサの佐藤美和子が入ってきた。
佐藤美和子
「おはよう。ああ、やっと片づいた。・・・って、なんか空気が慌ただしいわね。」
由美
「実はね、美和子・・・」
由美は同じ事を美和子にも言った。
美和子
「ええ!!私が米花町に?まさか・・・」
由美
「フーン、これはもしかしたらポルターガイストとかドッペルゲンガーだったりして。」
美和子
「ちょっとやめてよ由美、私これから米花町に行くのに。」
渉
「え、なんでですか?」
高木が聞いた。
美和子
「実はこの間の事件について、少年探偵団に話を聞きに行くのよ。」
由美
「そういえばその探偵団も、最近急に人数が増えていたわね・・・米花町で何か起こっているのかも。」
由美がワザと怖がらせるように言う。
美和子
「もう・・・こうなったら高木君、あなたもついて来て!!」
渉
「え!ボクですか。」
美和子
「そうよ。別にあなた、今日ヒマでしょ。それとも、イヤなの?」
その途端、高木は周りからの痛い視線を感じた。
一刻も早く、ここから出ねば・・・
渉
「はい、行きます。」
こうして、2人は米花町に向かった。
美和子
「あー由美ったらもう。余計な事持ち込んで・・・」
渉
「佐藤さん、怒らない、怒らない。それに由美さんのせいじゃないでしょ。」
愚痴る佐藤を、高木がなだめる。
2人はとにかく米花町にやってきたが、朝の事もあるからか佐藤の機嫌はよくない。
加えて、警視庁を出る間際、男性刑事がいらぬおせっかいをかけたのも原因の1つだった。
なんと霊媒師を勝手に呼ぼうとしたり、お札やお守りを机一杯に送ってきたのだ。
はっきりいって幽霊の類なんか考えないに限るのに、そんなもの見せられて良い気分なはずがない。
渉
「ま、ポルターガイストとかドッペルゲンガーなんて、そうそうありませんよ。」
美和子
「そうだといいけど。まったく、夜勤明けなのに・・・ちょっと止めて。自販機で缶コーヒーでも買うわ。」
渉
「あ、ボクの分もお願いします。」
というワケで、高木は車を止める。
そして佐藤は降りて、自販機の前に立った。
ところが、そこで小銭を落としてしまった。
美和子
「あ、いけない。」
慌てて拾う。
と、そこで別の人物の手が伸びた。
「大丈夫ですか?ここにも落ちてますよ。」
美和子
「あ、すいません。」
と、顔を上げて驚く。
なぜなら、目の前に自分と瓜二つの顔があったのだから・・・!!
美和子
「あああああ・・・!!!」
佐藤は言葉になってない声を上げる。
「あの、どうかしましたか?」
相手の女性が声をかけるが聞こえていないようだ。
渉
「佐藤さん、大丈夫ですか?」
固まってしまった彼女を見かねて、高木が車から降り声をかけた。
その彼に、佐藤刑事そっくりの女性が声をかけた。
「あ、たしかあなた高木さんでしたよね?」
渉
「え!!ボクあなたと会った事ありましたっけ?」
そう、高木には佐藤そっくりの女性に会った記憶などない。
すると・・・
「これで思い出しますか?」
そう言って彼女はバックからメガネケースを取り出し、メガネをかけた。
そして、高木刑事は彼女の事を思い出した。
渉
「あ、あなたは確か小林先生。」
そう、なんとコナンの担任である小林澄子先生であった。
美和子
「高木君、知ってるの?」
ようやく佐藤が復活した。
渉
「あ、佐藤さん。この人は・・・・」
高木刑事が説明する。
ようやく佐藤は澄子の事がわかった。
美和子
「あ、コナン君達の担任の先生でしたか。」
澄子
「はい。けど刑事さんに名前を覚えてもらえるなんて、コナン君達っていったい何してきたんですか?」
美和子
「はあ、興味ありますか?」
澄子
「もちろん。教師として。」
小林澄子、興味津々のようだ。
美和子
「だったら、私明日非番ですし、会いませんか?」
佐藤刑事が提案する。
澄子
「え!いいんですか?」
美和子
「もちろんです。これまでのコナン君達の活躍教えてあげますよ。」
こうして、2人はその翌日一緒に話をしたのであるが、その時小林先生がまたコンタクトで来て会ったため、それを見た警官が『佐藤さんが2人いた!!』などと言いふらし、また騒動を引き起こすのだが、それは別のお話である。
ちなみに、それを聞いて、事情を知っている高木と由美は苦笑していたという・・・
そして次の日、阿笠邸
コナン
「アッハッハッハッ!!」
刃
「そりゃあ傑作だわぁ!!」
高木から昨日と一昨日の話を聞いたコナンと刃は、あまりにもおかしくて爆笑していた。
哀
「2人とも、笑いすぎだって・・・」
刃
「だってぇ〜、おっかしいんだも〜ん!!アハハハハ・・・」
刃はまだ笑っている。
ユリ
「それにしても、小林先生をポルターガイストとかドッペルゲンガーとかだと思うとはねぇ・・・」
風月
「ポルターガイストっていうのは、家の中で大きな物音がしたり家具が倒れたりする心霊現象の事で・・・ドッペルゲンガーっていうのは自分そっくりの分身の事・・・心理学的には『自己像幻視』と言われているわ・・・この現象によって自分の分身を見た者は、数日のうちに必ず死ぬと言われているけど・・・小林先生はそのどちらでもないじゃない・・・」
風月もため息をつく。
ユリ
「そういえば、心霊現象って言葉で私、思い出したんだけど・・・」
コナン
「どうしたの?ユリちゃん。」
ユリ
「私ね、こないだ明美さんのお墓参りに行ったのよ。それで、手を合わせていたらなんだか変な感じがして・・・それで、墓石をどけてみたの。そうしたら・・・」
刃
「そ、そうしたら・・・?」
ユリ
「1つもなかったのよ!!宮野明美さんの骨が、どこにも・・・!!!」
コナン・哀・刃・風月
「ええええ〜っ!!?」
刃・風月
「ど、どういう事なの、それ・・・!?」
ユリ
「わかんないの・・・」
コナン
「どうやら・・・」
哀
「運命の歯車は回り出したようね・・・」
コナン達5人は、しばらく沈黙していた・・・
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