ファイル09:回想シーン・・・バトルゲームの罠『刃編』
大阪・・・ゲームセンター『GAME IN GAME』
山部時人
「アハハ、ヤダー!!これサイコー!!」
服部平次
「さすが時人一押しのプリクラやな!」
時人
「やろ?ここ、学校から遠いし穴場やねんなー!」
剣野刃
「ハハハ・・・」
平次
「あ、見て!タキシードバージョンなんてのもあるで!」
時人
「ウソ・・・昨日はこんなのなかったのに・・・」
平次
「次は3人でこれ撮ろ!」
時人
「あ、待って・・・たまにはさ、別々に撮った方がええんやない?ホラ、気分も変わるし・・・」
ニマッ!
平次
「あー、ひょっとしてそのプリクラ、紺屋先輩に出す手紙に貼る気なんやろー?」
時人
「え?」
平次
「この前、伊出先生が男子からのファンレター見ながら言ってたもん、『最近、手紙にプリクラ貼るのがはやっているんですか?』って・・・」
時人
「はやってるて・・・それやってないの和葉ちゃんとオマエぐらいやで、平次・・・それにしても伊出先生も大変やなー、バレー部のコーチから解放されたと思ったら今度は演劇部・・・まああのカッコつけのリアン先輩が卒業した今、彼女に人気が集中すんのも無理ないけどな・・・」
平次
「あれ、そんな事ないで!ホラ、今度来た英語のユーリ先生も評判ええやない!」
時人
「あれは女子連中だけやろー?妙に露出の高い服でフェロモンごっつ出しよって・・・日本人をバカにしてんねや、あの外人さん!」
刃
「(ハハ・・・アンタらかて変わらへんやないか・・・)」
平次
「でも授業は丁寧でわかりやすいよ!」
時人
「マジメすぎてつまらへんのや!普段は無口で澄ましてるし、放課後、お茶に誘ってもつれないし・・・なんか名家の箱入り息子って感じー・・・せっかく本場のアメリカ人なんだから、もっとジョークを交えてさー・・・」
「Hey!」
時人
「え?」
「Come on Come on・・・」
BANG!
BANG!!
BANG!!
シュルルル・・・
パシッ!
BANG!!!
パッパパパァン!!
「フッ・・・」
オオオオオ!!
平次
「ユ、ユーリ先生・・・」
時人
「どうしたんですか?こんな所で・・・」
「オー、服部君と山部君!」
「え?先生?」
「おい、あれ改方の制服やんな?」
「って事は高校教師?」
「マジかよ?」
「ノーノー、人違いでーす!」
平次・時人
「?」
時人
「え〜、放課後毎日このゲーセンに通ってたー?」
ユーリ・マラスキーノ(ゆーり・まらすきーの)28『英語教師』
「イエッス!日本のゲームはとても美しくてエキサイティング!!もちろんアメリカに入ってくる日本のゲームも大人気!いつもいつも並んでいて、順番が回ってこないねー!だからオレ、英語教師になったのさ!毎日本場のゲームをエンジョイできるからねー!」
平次・時人
「へー・・・」
刃
「(ゲ、ゲーマーだったのね・・・)」
時人
「じゃあまさか、あのマジメな授業は・・・」
ユーリ
「問題起こしてクビになったらジ・エンド!外国人の日本の就職はとてもとても難しいから・・・だからオレがここで遊んでいた事はシークレット!内緒にしといてくださいねー!」
平次
「でもとってもカッコよかったですよ!」
時人
「そうそう、ワイルドウエストキッドみたいで!」
ユーリ
「オー!だったらもっとエキサイティングなゲーム、やってみるかい?今、ナンバーワンのファイティングゲームを!!」
ってなワケで、なりゆきで格闘ゲーム『スピリットファイター2』をする事になった平次。
蘭に少し空手を教わっていたので、とりあえず1回戦に勝ちました。
そしたら・・・
平次
「あれ、途中で誰か入ってきた・・・」
ユーリ
「乱入だね・・・他のプレイヤーが君に挑戦してきたんだ・・・気をつけて・・・He is terrific・・・凄腕だよ・・・」
乱入者との対戦になった平次でしたが、初心者がプロに勝てるはずもなく、完敗してしまいました。
時人
「あーん、負けちゃった・・・」
平次
「くやし〜・・・」
江藤千吾(22)『無職』
「さあ、負けたならさっさとそこをどきな、ボウズ・・・そのゴールドの席は、オレの指定席やからな・・・」
時人は、平次にリベンジしようと言ったのですが、店員の出川浩(23)に止められ、やむなく席を譲りました。
時人
「むっかつく!なんやねんアイツ!」
尾藤次道(42)『タクシー運転手』
「『寝屋川のカエサル』って呼ばれてイキがってるただのチンピラや・・・最近どこかの大きな組に入れてもらったらしくますます態度がでかくなって、こっちはいい迷惑しとるよ・・・それと君、アンタのフリはでかすぎる・・・格闘って言うてもあれはゲーム、力は必要ない・・・ホラ、ヤツは体を小刻みに揺らすだけで、戦ってる風には見えんやろ?あそこにある大きなモニターで、アンタらのファイトを見てたんや・・・まあ、ヤツを倒せるとしたら、枚方市で無敵を誇った・・・」
越水幹康(31)『ゲーム雑誌ライター』
「枚方のブルータスの、このオレぐらいやろ?」
千吾
「おう、待ってたでアニキ・・・ケリつけようや・・・」
幹康
「まあ待て、一本ぐらいは吸わせろよ・・・」
平次と時人は、ユーリに外に出ようと言いましたが、ユーリは自動車ゲームをやり始めました。
同じ頃、あの2人も試合を開始しました。
ユーリは自動車ゲームでぶっちぎっています。
2人の対戦は、千吾の方が一歩リード・・・
そして、後もう少しで勝ちという時に、攻撃をやめて動かなくなり、試合はドローになりました。
刃が駆け寄ってみると、千吾はグッタリとして死んでいたのです!!
大滝が来て、現場検証を始めました。
大滝
「しかし、なんやこのカッコは・・・まるでSFやな・・・」
出川
「バーチャルリアリティーゲームですよ。相手から受けたダメージが、そのまま画面とシンクロしてプレイヤーに伝わるようになっているんです・・・」
大滝
「まさか死因は、そのダメージが強すぎて・・・」
幹康
「それは万に一つもないよ・・・ダメージって言ったって、軽く振動するだけや・・・携帯電話に点いてるバイブ音と一緒さ、あんなんじゃ人は殺せへんやろ?ちなみにオレは、千吾が死ぬまでファイトしてた相手ですよ。それに言いたかないが、ボコにされたのはオレの方・・・ガムまでかんでゲンかついだってのに、ザマないで・・・」
大滝
「となると、わからんのは死因やな・・・」
刃
「毒じゃないの?この人、息が詰まって死んだみたいだけど、絞殺された跡がないよ?それに、ここはゲームセンターだから、普段は話ができないぐらいうるさいし、この人はゲームの機械に手足がつながってて自由に動かせなかったし、ゲーセンって薄暗くしてあるし・・・」
大滝
「なるほど、被害者は無防備同然で、多少声を上げたとしてもゲーム音にかき消されたワケか・・・」
着々と推理をする刃。
その後ろで、ユーリが不適な笑みを浮かべていた。
ユーリ
「Uh-huh・・・」
刃
「私、死んだ江藤さんに近づいた人知ってるよ!店員の出川さんと、対戦相手の越水さん・・・そして、私達4人。だよね、ユーリ先生?」
ユーリ
「イエス!でも見てたのはこのレディーだけじゃないよね?あの監視カメラもその1人・・・」
監視カメラを確認した結果、尾藤の姿も確認され、オフィスに呼ばれました。
尾藤
「自販機でコーヒーを買おうと思ったら、小銭を床にバラまいちまったんですよ・・・それにイヤな男やったが、私は彼にゲーマーとしては一目置いてた・・・その彼を私が殺す理由はないよ・・・」
越水
「よう言うわ・・・レースゲームでヘマった所をヤツに見られて、赤っ恥をかかされていたやないか・・・『死にたくなきゃこの運ちゃんのタクシーには乗るなよ』ってね・・・」
尾藤
「それならアンタの方が、よっぽど強い動機があるやないか!なんたってあの男は、早く別れてくれと願っていた、アンタの大事な妹の男なんだからねぇ・・・それにそこの店員の兄ちゃんもそうやろ?アンタも彼にいなくなってほしかったハズや・・・半年前まで『寝屋川のジェイソン』って呼ばれてたアンタが、あの男にコテンパンにのされて行方知れずになっとった・・・まさかゲーセンのバイトをやっていたとは思わなかったがね・・・」
そして、毒物が検出され、その名前が判明した。
毒物名はテトロドトキシン、フグの毒・・・
刃は、1人の男に目星をつけたが、証拠がまだない・・・しかし、店員の出川が歩くたびにさせる妙な音で、ついに殺害方法を見抜いた。
刃
「(あの人だ・・・江藤さんを毒殺したのは、あの人にまちがいない!!)」
ついに犯人を見破った刃は、平次に話しかけた。
刃
「平次!アタシ、犯人わかっちゃった!」
平次
「なに!それで、誰が・・・?」
刃からすべてを聞いた平次は、大滝達の前で推理を始めた。
平次
「大滝ハン!やっとわかったで・・・江藤さんを毒殺した犯人が・・・毒の刺入部は右上腕内側で、被害者の左側にしか近づいていない尾藤さんは犯行不可能・・・対戦前に被害者と接触した出川さんも、その後で被害者が越水さんと話しているから対象外・・・もちろんその間中自動車ゲームに夢中だったユーリ先生も、それを見ていたオレらもムリ・・・となると残る犯人は、直前に被害者と話し込んでた対戦相手の越水さん・・・アンタしか残らへんよな?」
その後、平次の推理によって、ついに越水は犯行を認めた。原因はやはり、妹と彼とを引き離すため・・・栄養失調によるビタミンA不足で、失明寸前の入院中だったという・・・
平次
「じゃあ先生、オレらこっちですから・・・」
時人
「じゃあねーユーリ先生!」
ユーリ
「また明日スクールで会いましょう!」
その後、刃を見たユーリは、不適にほほえんだ。
ユーリ
「Bye bye My sister・・・」
ユーリ
「ああ・・・そう、ちょっといろいろあってね・・・君の言う通り、こっちも退屈しそうにないよ・・・お目当ての標的の1人は爪にかかったよ・・・ああ・・・容姿を変えて堂々と学校に通ってるみたい・・・笑っちゃうだろ?標的名?そうだねぇ・・・『Rotten Orange・・・』『腐ったミカン』にでもしておきましょうか・・・」 |