ファイル83:転校生達の入学の秘密
ある日の帝丹小学校
「え!また転校生ですか?」
「ええ、じゃあよろしくお願いしますよ小林先生。」
ここは職員室。
今驚きの声を上げたのは、1年B組の学級を受け持つ小林澄子である。
一方、彼女に頼んでいたのは校長先生である。
そして、彼はすぐに校長室に入ってしまった。
澄子
「なぜかしらね?」
彼女の頭に?マークが点灯する。
「どうしました?」
同僚の鈴木先生がそんな彼女に声を掛ける。
澄子
「あ、いや実は今、校長先生から転校生を頼まれまして。」
鈴木
「え!!またですか?」
鈴木が驚きの声を上げる。
今年は1年生にやたら転校生が多い。
しかも、季節外れに入ってくる子ばかりなのである。
オマケに、変わった名前や日本人離れした顔の子ばかり。
それだけで驚きなのに、なぜかその転校生の多くが小林組(建設会社とかヤクザではないが)に編入されるのだ。
鈴木
「何で小林先生の所にまた?」
澄子
「さあ・・・・」
謎は深まるばかりである。
一方、転校生の多い事への謎は、コナン達も話し合っていた。
コナン
「どうしてウチのクラスばっかり転校生が来るんだ?」
哀
「確かに、多すぎるわよね。」
刃
「そんなに多いの?」
ユリ
「私達にはわからないわ。」
哀
「じゃあ、誰が来たかおさらいしましょう。」
江戸川コナン、灰原哀、東尾マリア、剣野刃、金田一ユリ 計5人。
ユリ
「なーんだ、たった5人じゃない。」
マリア
「あのね、他にもクラスがあるのに転校生ばかりウチのクラスに来るんがおかしいんやって。」
刃
「ただ単に、ウチのクラスが定員割れを起こしてたからじゃないの?」
哀
「いいえ、ウチのクラスは定員割れ起こしてないわ。」
歩美
「じゃあ、変な名前ばかりだから?」
この言葉に、5人とも心が少し傷つく。
歩美
「あ、ごめん。」
コナン
「別にいいよ。」
歩美
「(そんなテンション低く言われても、説得力ないわ・・・)」
コナン
「とにかく、本題に戻って。じゃあ、もしかして組織の誰かが潜入していて、見張るために集めたとか。」
コナンが言った。
確かに、いぜんジュネや愛理が潜入していた事がある。
しかし・・・
哀・ユリ
「それは絶対にないわ。」
哀とユリの2人が、キッパリと否定した。
哀
「そんな事するヒマがあるのなら、私達とっくにこの世にいないわ。」
ユリ
「それに、組織の人間だったらたとえ変装していたとしても、その雰囲気でわかるわ。」
コナン
「そうか。そうだよな・・・」
謎は深まるばかりだ。
さて、教師もコナン達も不思議がっていた、転校生が多い謎・・・
その答えはここにあった。
ユリが転入する数日前、帝丹小学校のある部屋の電話が鳴った。
「もしもし、帝丹小学校校長室ですが。」
なんと校長室。
もちろん、出たのはあの植松竜司郎校長である。
阿笠
「あ、校長先生ですか、阿笠です。」
かけてきたのは阿笠博士のようだ。
「おお、阿笠君かね。こないだ会ったのは灰原哀君の転入の時だったな。そういえば、君の知り合いだという服部平次君からも、剣野刃君を紹介されたが。で?何だね、まさかまた転入生かな?」
阿笠
「あの、実はそのまさかなんです。」
「フム。で、電話してきたとなると、またワケありかな?」
阿笠
「ハハハ・・・先生は何でもおみとおしですな。実はそうなんです。一部の書類がそろえられなくて・・・」
「わかった。それについてはこっちで工作しておくよ。」
なんと校長、不正入学を認める腹のようだ。
阿笠
「いつもすいません。」
「なあに、40年前の恩返しだよ。私が新米教師の時、君が引っ込み思案だった木之下君の心を開いてくれた。あのおかげでどれだけクラスの結束を固める事ができたか。今でも感謝している。」
阿笠
「光栄です。しかし先生、もしバレたら先生の立場が・・・」
「なあに、未来ある若者を護るためなら、老いぼれの首の1つや2つ差し出してやるよ。」
おお、立派だ。
「ところで阿笠君。ここからはワシの独り言だ。」
阿笠
「は?」
「ワシは最近ね、江戸川コナン君が工藤新一君と思えてならないのだよ。」
阿笠
「!!??」
「根拠は3つ。1つ、容姿がそっくりな事。2つ、ズバ抜けた推理力。3つ、音の外し方が瓜二つだという事。」
阿笠
「・・・(汗)」
「図星かな?ま、教師を舐めてもらっては困るがな。それに、あの灰原君と剣野君も、本当は大人ではないのかね?」
阿笠
「あの先生。その事は誰にも言わないでください。」
「ああ、そうするよ。じゃあまた転入手続きの時にな。」
阿笠
「はい、では・・・」
そして、校長は受話器を置いた。
「まったく、阿笠君達もとんだものを持ち込んでくれるね。ま、それはそれで楽しいが・・・引退前に腕の振るいがいがある。さてと、小林先生に頼まねば。それと・・・最近教頭先生が感づいてきていたからな・・・上からの力で圧力をかけておかねば・・・」
そして、校長は行動を起こすべく、校長室を出て行った。
同じ頃、帝丹小学校の屋上で、鈴木がたたずんでいた。
どうやら、何かを待っているようだが・・・
ピリリ・・・ピリリ・・・
その時、携帯電話が鳴った。
鈴木
「もしもし・・・」
ジン
「調子はどうだ?マラガ・・・」
鈴木:マラガ
「ボチボチってトコですね、ジン・・・他の学校に潜入させた者達も、今のところ順調のようです・・・」
ジン
「そうか。ところで・・・オマエの娘・・・確かマルサーラと言ったかな?」
マラガ
「ええ。如月風月・・・私、如月花鳥の娘です・・・」
ジン
「その風月だが・・・オマエのいる学校には潜入できるのだろうな?」
マラガ
「ええ。校長が不正入学を裏で工作していますから、ずいぶん楽でしたよ・・・ところで、ジン・・・」
ジン
「ん?なんだ?」
マラガ
「すぐにあの2人を捕らえなくてよいのですか?」
ジン
「あの2人って、工藤新一とシェリーの事か?」
マラガ
「ええ。もう、この学校にいる事は私が突き止めています。今すぐに2人を捕らえても、別によいと思うのですが・・・」
ジン
「そうもいかないんだよ、マラガ。捕まえる時は、ターゲット全員を一網打尽にするつもりだ。それに・・・まだアニゼットとベルモットの行方がつかめていない・・・」
マラガ
「案外、その2人も幼児化してるかもしれませんよ?」
ジン
「そうかもな。とにかく、くれぐれも慎重にやってくれよ、マラガ・・・」
マラガ
「大丈夫ですよ、ジン・・・私達は親子そろって、ナイトに最も近いビショップクラスなのですから・・・」
ジン
「そうだな。それじゃ、がんばってくれ。」
マラガ
「はい。」
そう言うと、マラガは電話を切った。
マラガ
「次の仕事で、私は必ずナイトクラスに上がってみせる・・・娘を楽させるためにもね・・・フフフ・・・」
マラガはそう言うと、表情を鈴木の顔に戻し、その場を後にした。 |