FBIから来た女:1〜リアン・ハートネスとジンの章(8/111)縦書き表示RDF


この話は回想シーンです。少し原作と合ってませんが、軽く流してください。

オリキャラ・声優設定

西条麻衣 島本須美
神楽桂太 上田祐司
笠美雄也 石塚運昇
花菱烈火 大谷育江
南雲良啓 大塚昭夫
マイク・ガバメント/シードル 松本利香
ヒース・ソーンダイク/クラレット 高木渉


FBIから来た女:1〜リアン・ハートネスとジンの章
作:ユーリ



ファイル08:回想シーン・・・黒の組織との再会『コナン編』


元太
「おい、観たかよ!昨日の試合!!すごかったなー!!」


「ああ、ヒデのオーバーヘッドキックでしょ?」

光彦
「あれは芸術的でしたねー!!」

歩美
「ヒデ、カッコイイ!!」

『戯れ言は終わりだ・・・さあ、夢から覚めて・・・再会を祝おうじゃないか・・・オマエの好きなバラのように・・・真っ赤な血の色で・・・』

チャッ。

ジン
「なあ、工藤新一・・・」

ゴオオッ・・・

コナン
「!!!」





コナン
「・・・」

ガバッ!

コナン
「ハア・・・ハア・・・」

チラッ。

コナン
「・・・」

小五郎
「ぐ〜、ぐ〜・・・」

コナン
「(・・・フッ・・・イヤな夢・・・)」





帝丹小学校




光彦
「コナン君!」

コナン
「?」

光彦
「はい!お借りしてたMO・・・コナン君、今回のゲームは期待以上でしたよ!」

コナン
「そう・・・それはよかった・・・」

元太
「ボスキャラはイマイチだったけどな!」

歩美
「わー見て見て!雪だよ!雪!」

コナン
「(雪・・・)」

ジン『再会を祝おうじゃないか・・・オマエの好きなバラのように・・・真っ赤な血の色で・・・なあ、工藤新一・・・』

歩美
「ホラ、コナン君も窓のそばで雪、見ようよ!」

コナン
「オ・・・オレに触るんじゃねぇ!!!」

歩美
「コ、」

光彦
「コナン君?」

コナン
「もうウンザリだよ、こんな所・・・すぐにでもここから消えてしまいたいぐらい・・・まあ、その内そうなるだろうけど・・・」

歩美
「えーっ、コナン君転校しちゃうの?」

コナン
「・・・え?」

光彦
「もしかしてコナン君、誰かにイジメられているんですか?」

元太
「コナン君!そんなヤツ、オレがやっつけてやるからよぉ!!」

歩美
「だから、どっか行っちゃうなんて言わないで!!」

コナン
「冗談だよ・・・本気にしないで・・・ちょっとカゼ気味だから、イライラしてただけ・・・うつしたくないしね・・・」

元太
「なんだ、カゼかよ・・・」

光彦
「病気になると人間、弱気になるって言いますし・・・」

歩美
「さあさあ!カゼひきさんは保健室保健室!」


「・・・」





タタタ・・・

元太
「おりゃっ!!」

バッ!

ベシャ!

元太
「ぶっ!!」

光彦
「やりぃーっ!!」

元太
「やったな!?光彦!!」

タッ!



コナン
「・・・」


「ここは自分のいるべき場所じゃない・・・あの子達を巻き添えにしないためにも、早くここから消えなければ・・・なーんて、くだらない事考えてるんでしょ?」

コナン
「え?」


「大丈夫、薬で体が小さくなったなんて夢物語、普通誰も信じないし、思いつきもしないわよ!バレないためにも、このまま子供を演じ続けなきゃいけないのよ・・・その時が来るまでね・・・心配しないでよ!私もあなたを守ってあげるからさ!」





元太
「じゃあな!」

光彦
「また明日!」

歩美
「バイバーイ!」


「ええ!」




コナン
「(灰原・・・オマエ何もわかってないんだな・・・オレ達2人でどうにかできる相手じゃない事ぐらい、オマエだってわかってるだろ・・・?一瞬でもスキを見せたら最期・・・ヤツらはオレ達を逃がしはしない・・・そう、もしかしたらあの夢のように・・・今もこの町のどこかで・・・オレ達の事を・・・)ん?!!!」


「え?どうしたの工藤君?」

コナン
「あ・・・あれ・・・」


「え?」


「ポ、ポルシェ356A!!!」

コナン
「(そう・・・夢にも出てきた、この車・・・)」

ピポパボ・・・

コナン
「ちょっと何を・・・?」


「あ、博士?今から私が言う物を持って、四丁目の交差点に来て!説明は後よ!!急いで!!!」




阿笠
「おーい・・・」


「例の物、持って来た?」

阿笠
「ああ・・・針金のハンガーとペンチ・・・何に使うんじゃこんな物・・・」

グニッ!

コナン
「ちょっ・・・」

パシッ!


「工藤君、メガネ借りるよ!」

タタタ・・・


「昔の車は、これをこうすると・・・」

ガコッ!

チャッ。

コナン
「灰原、いったい何をする気!?」


「車の中に発信器と盗聴器を仕掛けるのよ!!」

コナン
「でもまだ、ヤツの車だと決まったワケじゃ・・・」

コナン
「!!」


「・・・ん?どうしたの?」

コナン
「・・・と・・・通りの向こう・・・」


「え?!!」


「・・・ジン!!ウォッカ・・・!!」




ジン
「・・・ん?車の周り、雪がやけに荒れてるな・・・」

ウォッカ
「通行人が見てたんじゃないんですかい?兄貴の車、珍しいから・・・」

ジン
「フーム・・・フッ・・・ドイツのアマガエルも、えらくなったもんだ・・・」


「(大当たり・・・まさかこんな所で会えるとはね・・・うれしいわ・・・ジン!!!)」

ブロロロ・・・


「今度こそ、逃がしはしないわよ!!」

ピッ。

コナン
「・・・」

阿笠
「どうする哀君?すぐ後をつけるか?」

ピポ・・・


「いや・・・車間を開けてこの追跡メガネで追うのよ!このビートルのナンバーを控えられたら、シャレにならないからね・・・」

コナン
「ムダだよ・・・ヤツらの居場所を突き止めたところでどうする事もできないよ、オレ達のこんな体じゃ・・・オマエわかってるのか?今、自分がどんなに危険な行動をしているか・・・」


「うるさいわね、黙っててよ!!」

ピリリ・・・


「(電話?)」

ジン
「ああ、オレだ・・・どうだ、そっちの様子は・・・?なに、まだ来ない?フン、心配するな・・・ターゲットは18時ちょうどに杯戸シティホテルに顔を出す・・・テメエの別れの会になるとも知らずにな・・・」


「(ターゲット?別れの会?)」

ジン
「とにかく、ヤツの手が後ろに回る前に口を塞げとの命令だ・・・ぬかるなよシードル・・・なんなら、例の薬を使ってもかまわねえぜ・・・」


「(シードル・・・?このコードネーム、耳にした事があるわ・・・)」

ピッ。

ジン
「ん?」

スッ・・・

ジン
「(特徴がある黒髪・・・?)」

ウォッカ
「あ、兄貴?」

ジン
「!」

ゴソッ・・・

ウォッカ
「な、なんですかそれ・・・?」

ジン
「たぶん発信器と盗聴器だ・・・」


「いけない、バレた!!」

コナン
「・・・!!」

バキ・・・

ジン
「クックックッ・・・(まさか、本当に生きていたとはな・・・歓迎するぜ・・・工藤新一・・・)」





コナン
「どうする気?状況はかなり悪いよ・・・発信器も盗聴器も、ヤツらにつぶされて追跡不可能・・・しかも、それをヤツらの車に取り付けるためにオマエが使ったチューインガムはヤツらの手の中・・・もしあれが調べられたら・・・」


「大丈夫よ!歯形は消したし、唾液からわかるのはせいぜい血液型ぐらいだわ・・・それに車内の指紋もふき取ってあるしね・・・」

コナン
「だったら、すぐに横道に入ってヤツらの車から離れるんだな・・・このまま漠然とヤツらの車が通った道をたどるのは危険すぎる・・・」


「ええ・・・追跡はやめるけど、もう逃げる気はないわよ・・・」

コナン
「え?」


「杯戸シティホテル・・・そこでヤツらはシードルってヤツに誰かを暗殺させる気だわ・・・とにかく、その殺人を阻止するためにも、そのホテルに行って・・・」

コナン
「おやおや・・・オレと一緒にいて正義感が強くなったのか・・・?オレはゴメンだよ・・・そんな危ないところにわざわざ出向いて、どうにかできるとも思えないし・・・」


「こっちも最初からそのつもりよ・・・まあ、あなたは博士と一緒に車の中で待っててよ・・・」

そう言うと、哀は髪を結ってゴムで止め、赤い帽子をかぶった。


「最悪の状態になっても、例の薬だけは取って来てあげるから・・・」

コナン
「例の薬・・・?」


「ジンが電話でシードルってヤツに言ってたのよ・・・『例の薬を使ってもかまわねえ』ってね!!」

コナン
「そ、その薬って、まさか・・・」


「おそらく、APTX4869・・・私とあなたの体を小さくした、あの毒薬よ・・・!!」

コナン
「・・・!!」





ジン
「ああ、そうだ・・・工藤新一だ・・・オレが殺しそこねたあのガキが、今そっちに向かっているはずだ・・・ツラがわからねえんなら、組織の被験者データベースに検索をかけろ・・・ガキが仕掛けた盗聴器と発信器が他にもないか確認した後で、オレ達もそっちに合流する・・・ああ・・・まちがいない、あのガキは来るさ・・・例の薬の事を匂わしたからな・・・もちろん、その『出来損ないの名探偵』を使うかどうかはオマエの勝手だが・・・とにかく、ガキを見つけしだい取っ捕まえてツラを拝ませろ・・・ああ・・・問題はない・・・たとえ、首から下がなくてもな・・・」






杯戸シティホテル




「ったく・・・ついて行かないんじゃなかったの?」

コナン
「しょうがないじゃないか・・・オレはオマエを守るって決めた・・・オマエだけを危険な目にあわせられないんだから・・・」


「気をつけてよ・・・発信器を仕掛けた主がここに来る事ぐらいヤツらにも読める・・・あなたが関わっているとヤツらに感づかれたら・・・」

コナン
「大丈夫だよ・・・証拠は消したんだろ?イタズラか、せいぜい組織に敵対する誰かが仕掛けたと思うぐらいだよ・・・それより、本当にこの会場で合っているの?」


「ええ・・・ヤツらは別れの会って言ってたからね・・・シードルってヤツもソイツが狙う標的も、ここに来ているはず・・・おしゃべりはここまで・・・乗り込むわよ・・・」

ギッ・・・




「(くそっ、偲ぶ会だけあって黒服のヤツらでいっぱいだわ・・・どいつもコイツも怪しく見えてくる・・・)」

ドックン!

ジン『工藤新一・・・』

ドックン!!

ジン『工藤新一・・・』

ドックン!!!

ジン『工藤新一・・・』

ドックン!!!

ガッ!!

コナン
「!!」

「どうしたのボウヤ?パパやママとはぐれたの?」

コナン
「あ、あ・・・」


「うん・・・今2人で探してるトコ・・・行こ、光君!」




「ちょっと、どうしたのよ?あなたらしくないわね・・・一緒に行くって言ったのはあなたでしょ?」

コナン
「見たんだよ・・・イヤな夢・・・」


「夢?」

コナン
「下校途中でヤツらに見つかって、路地裏に追い込まれて・・・真っ先に撃たれたのはオマエだった・・・そしてピストルの乾いた音と共に、歩美ちゃん、元太君、光彦君と次々に・・・そう・・・みんな、オレ達に関わったばっかりに・・・フッ・・・オレ・・・幼児化してるってわかった時点で自殺してた方が楽だったかもしれないね・・・」

スッ・・・

コナン
「え?」


「知ってた?あなたのそのメガネ、私もけっこう気に入ってるのよ!あなたは男の子なんだから、もっと堂々としてなきゃいけないわ・・・ねっ!」

コナン
「へぇ・・・ずいぶんと性格がカワイくなったじゃないか?ありがと・・・励まし程度にはなるよ・・・」


「あなた・・・素直じゃないわね・・・マジで・・・」





ウォッカ
「でも、兄貴・・・あのガキ、本当に来るんですかい?」

ジン
「ああ・・・ヤツはそういうガキだ、必ず止めに来る・・・オレ達に出迎えられるとも知らずにな・・・まぁ万に一つ来なかったとしても、ヤツが米花町近辺に潜んでいるのはわかった・・・ヤサの目星がつけば、狩るのは造作もない事だ・・・組織に関わった人間は、匂いを消せねぇからな・・・」






「直本賞の女流作家に・・・」

西条麻衣(さいじょうまい)『38』『作家』


「プロ野球の球団オーナーに・・・」

笠美雄也(かさみゆうや)『62』『プロ野球球団オーナー』


「敏腕音楽プロデューサー・・・」

神楽桂太(かぐらけいた)『35』『音楽プロデューサー』


「イギリスの人気俳優・・・」

ヒース・ソーンダイク『29』『俳優』


「有名大学教授に・・・」

南雲良啓(なぐもよしひろ)『58』『大学教授』


「おっと、ハリウッド界の大物まで来てる・・・」

マイク・ガバメント『30』『ハリウッド俳優』

コナン
「そうそうたる顔ぶれだな・・・」


「ええ・・・さすが巨匠を偲ぶ会だわ・・・TVカメラまで入ってる・・・」

コナン
「それで?わかったの?ヤツらが狙ってる標的・・・」


「ええ・・・ジンが電話で言っていた・・・6時前後にここに来て、なおかつ明日にも警察に捕まりそうな人物は・・・今、入り口でレポーターに囲まれているあの男しかいない・・・」

コナン
「なるほど?今、収賄疑惑で新聞紙上をにぎわしている、あの政治家ってワケね・・・」

田中角平(たなかかっぺい)『56』『政治家』


「捕まる前に口を封じるって事は、あの政治家も組織の一員なのかしら?」

コナン
「さあ、どうかな・・・捕まればわかるんじゃないの?」




目暮
「ちょっと失礼しますよ・・・」

コナン
「あ、目暮警部・・・」


「さっきトイレから声を変えて電話で呼んだのよ・・・あの政治家の命を狙っているヤツがこの会場にいるってね・・・」


「(さあどうする?シードルさんよ・・・標的が警察の監視下にあるこの状況で殺人は不可能よ?強引に事を起こそうとすれば、その前に麻酔銃で眠らせてやる!!)」

花菱烈火(はなびしれっか)『37』『アナウンサー』
「では皆さん!酒巻監督が以前、ひた隠しにしておられた秘蔵フィルムをスライドでご覧にいれましょう!」


「(ス、スライド!?)」

フッ・・・

コナン
「ちょっと、彼、いなくなってるよ!!」


「なに!?」

烈火
「さぁ皆さん!これはいつどこで撮られたフィルムかわかりますか?」

目暮
「おい早く捜せ!!」

高木
「ハッ!!」

烈火
「そう・・・あらゆる賞を独占した酒巻監督の代表作!『虹色のハンカチ』の撮影風景・・・まだ監督の髪の毛が寂しくなる前の貴重な一コマでございます!」


「(くそっ、どこ!?どこに行ったの!?)」
パシャ!


「(え?フラッシュ?)」

烈火
「あ、どなたか知りませんがいくら貴重な一枚だといっても、フラッシュたいたらスライドは写りませんよ!」

キュイン!!


「(なに!?なんなの今の音?上か!?)」

ドッシャアアン!!!


「(なに!?)」



「おい、どうした!?」

「何の音だ!?」

「明かりをつけろ!!」

パサッ・・・


「え?ハ、ハンカチ?」

パッ。

哀・コナン
「!!!」

キャアアアアアアアアアーッ!!!




南雲良啓
「シャ、シャンデリアが・・・」

烈火
「ど、どうしたんですか?」

烈火
「こ、これは・・・」

ヒース・ソーンダイク
「What happend?(いったい何が起きたんだ?)」

マイク・ガバメント
「何があったんだい?」

神楽桂太
「おい!!誰か説明してくれないか!?」

目暮
「皆さんお静かに!!警視庁の目暮です!!」

笠美雄也
「ほほぅ・・・アンタらにしては、やけに来るのが早いですなぁ・・・」

目暮
「通報があったんですよ・・・今夜ここで殺人があると・・・誰かがこの田中議員の命を狙っているとね!!」


「(犯人はヤツだわ・・・黒の組織の仲間・・・コードネーム・シードル!!ヤツはまだ、この会場内にいる!!)」




目暮
「なるほど・・・ではあなた方ですな?シャンデリアが落ちた時、田中議員の一番近くにおられたのは・・・」

良啓
「ええ・・・」

目暮
「その時、不審な人物はいませんでしたか?」

良啓
「それどころじゃありませんでしたよ・・・私も危うく下敷きになるところでしたから・・・」

ヒース
「I never saw any suspicious characters.(ボクは怪しい人物なんか見てないよ)」

目暮
「うーむ・・・」

桂太
「事故ですよ、事故!シャンデリアの鎖が古くなって切れて、偶然その政治家が下にいたってワケですよ・・・死人が出たこのおぞましい会場に、ボク達を留める理由はないと思いますけど?」

マイク
「だが、殺人を示唆する通報があったんだろ?あれはどう説明するんだね?我々を詮索する前に、まずは通報者の事を詳しく教えてほしいものだ・・・もしかしたら、その通報者が犯人かもしれないからなぁ・・・」

目暮
「声を機械で変えているらしく、男女の区別もつきませんでしたよ・・・」

烈火
「じゃあ、きっとイタズラですよ・・・ほら田中議員、例の疑惑で世間的に反感を買っておられましたし・・・」

雄也
「そうそう、そのイタズラにたまたまこの事故が重なっただけの事・・・天罰ですよ!悪い事はできませんなぁ・・・」

桂太
「死体の前でよく食べられますね・・・」

雄也
「フン!肝の小せぇ若僧は黙ってろ!」

ガリッ!

ペッ!


「(!?)」

雄也
「おい誰か!シェフを呼んでこい!!!」

桂太
「どうしました?ゴキブリでも入ってましたか?こんな時に食事なんかしてるから、あなたにもバチが当たったんですよ!」

雄也
「なんだとぉ・・・」

高木
「まあまあ・・・」

サッ!

ゴソッ・・・


「こ、これは・・・シャンデリアの鎖の破片?どうしてあんな所に・・・」

西条麻衣
「と・に・か・く!田中議員は頭上から落ちてきたシャンデリアに押しつぶされて亡くなったんでしょ?それが殺人だというのなら、前もってシャンデリアが落ちる仕掛けをしておいて、スライド上映のために会場が暗くなった時、彼の手を引いて問題のシャンデリアの真下に連れていき、仕掛けを作動させるしか方法はありませんわ!!でも見たところ落下したシャンデリアにも・・・それが吊られていた天井にも、それらしい仕掛けは見あたりません・・・したがって殺人は不可能!さぁ、わかったら早くここから私達を解放してくださらない?」


「(確かにそうだわ・・・暗闇で目的の人物にシャンデリアを落とすなんて、仕掛けでもないかぎり不可能だ・・・しかしヤツはそれを成し遂げた・・・いったいどうやって・・・)」

哀が考え事をしていると、コナンが哀の手を握った。

ギュッ。

タタタ・・・


「ちょっ、ちょっと!どこに行くのよ?」

コナン
「逃げるんだよ・・・このままここに留まって、無意味に時間を浪費するのは危険だよ!それに、もし目暮警部達に見つかったら、オレ達がここにいる理由をどう説明する気?手掛かりはさっきオマエが拾った鎖の破片ただ1つ・・・いくらオレ達でも、あれだけじゃ犯人を割り出す事なんて・・・」


「2つならどうよ?」

コナン
「え?」


「落ちてきたのよ・・・シャンデリアが落下して明かりが点く前に、頭上からこのハンカチが・・・ホラ、ハンカチの左上・・・『酒巻監督を偲ぶ会』って縫いつけてあるでしょ?おそらくこれの持ち主がここの受付でもらったハンカチよ!」

コナン
「それがなんだっていうんだ?持ち主の名前が書いてあるワケじゃあるまいし・・・」


「じゃあ見てみてよ、他の人達を・・・ホラ、あのグラスを持った男も・・・テーブルそばの太った女性も・・・その奥のヒゲを生やした老人も・・・みんなこのハンカチを持っているけど・・・色がちがう!!」

コナン
「・・・どういう事?」


「おそらく酒巻監督の代表作『虹色のハンカチ』に掛けて、来場した人達に7色のハンカチをランダムに配ったのよ・・・つまり、受け付けで調べれば、この赤のハンカチをもらった人物はある程度特定できるってワケよ!」

コナン
「でも、それが本当にあの殺人に関係している物かどうかなんて・・・」


「ええ、まだ何に使ったのかも犯人の物かさえもわからないけど・・・事件に関係している可能性は0じゃない・・・不可解なモノを除外していって残ったモノが、たとえどんなに信じられなくても、それが真相・・・でしょ?」

コナン
「・・・」






「ねえ刑事さん・・・トイレに行かせてくれない?」

「ああ・・・」

ガチャ!

パシャパシャ!!

『!!・・・?』


コナン
「う・・・」


「くそっ!!」

ダッ!!

タタタ・・・




パカッ。

カタカタカタ・・・

『Enter Keyword・・・Kudou Shinichi』

カシャ!

ブウウウウ・・・ン・・・

『!!』

『被験者データ 工藤新一 Kudou Shinichi・・・死亡確認』

『・・・』





「え?赤のハンカチを渡した人?」


「うん!私その色のハンカチ拾ったから、その人に返したいの・・・あの7色のハンカチ、後で何かに使うつもりだったんでしょ?」

「会の終わりに色を決めて、その色のハンカチを持ってる人にコメントをもらう予定になってたみたいだけど・・・」


「じゃあ名前教えてよ!持ってない人探して渡すから・・・」

「えーっと、この夫婦もこのグループも来てすぐに帰っちゃったから・・・今、会場内にいるのは・・・はい!この7人よ!でもお嬢ちゃん本当に探せるの?」

『笠井雄太 西条麻衣 南雲良啓 花菱烈火 Mike Government Heath Thorndike 神楽桂太』


「(なるほど・・・あの7人か・・・まだ確証はないけど・・・もしかしたらこの中に・・・組織の仲間のシードルが・・・)」

「お、おい出てくるぞ!」


「え?」

ドバ!!

「日売TVです!事故があった時そばにいましたか!?」

「知らん!そこをどいてくれ!!」

「すみません事故の様子を詳しく!!」

「そんな事は警察に聞いてよ!!」


「くそっ!いったん博士の車に戻るわよ!!ちょっと工藤君・・・(く、工藤君?)ちょっとどこ!?返事して!!ちょっとー!」


コナン
「あ・・・ちょっ・・・」

ガッ・・・

コナン
「(え?)」

バッ!!

コナン
「うっ・・・」

ガクン・・・


「工藤くぅぅ〜ん!!!」





光彦
「コナン君・・・起きてください・・・コナン君・・・コナン君!!」

コナン
「え?」

光彦
「どうしたんです?今、授業中ですよ?もしかしてカゼのせいですか?やっぱり保健室で休んでた方が・・・」

コナン
「(夢・・・?フ・・・そうだよ・・・そうだよね・・・町で偶然ヤツらに出くわすなんてできすぎてるよ・・・最近こんな夢ばっかり・・・疲れてるのかな?オレ・・・)」

『工藤君・・・』

コナン
「(え?誰?)」

『ちょっと、工藤君返事をして・・・』

コナン
「(誰なの?)」

『工藤君!工藤君!!』

コナン
「(誰なんだよ!?)」


「工藤君!!!」

コナン
「あっ・・・」

ムクッ・・・

コナン
「は、灰原?」


「工藤君?工藤君ね!?」

コナン
「どこ?」


「ホテルの前に止めた博士の車の中よ!メガネに内蔵されたマイクと集音機に周波数を合わせて交信してるのよ!」

コナン
「オレ・・・どうしたの?」


「それはこっちのセリフよ!!会場前の廊下で何があったの?」

コナン
「会場前?ああ・・・そういえばオレ・・・会場から出てきた人の波にのまれてオマエとはぐれて・・・そうしたら誰かが突然後ろから・・・。!?」


「後ろからなにって?」

コナン
「誰かに薬を嗅がされて、どこかの酒蔵に監禁されているみたいだよ・・・」


「ちょ、ちょっと、誰かってまさか・・・」

コナン
「ああ・・・おそらく警察の監視下にあったあの会場で、殺人をやってのけた組織の一員・・・シードル!!」


「な、なんですって!?まさかいるんじゃないでしょうね、ソイツがそばに!!」

ガチャガチャ・・・

コナン
「いいや、その誰かさんは今はいないよ・・・扉にはしっかりとカギが掛けられているけどね・・・残っているのは清掃員のツナギと、ダンボール箱と・・・」


「ツナギ?」

コナン
「ああ・・・きっとオレに薬を嗅がせた後、トイレに連れ込んでトイレ内に用意しておいたこのツナギに着替え、オレをダンボール箱に入れてここに運んだんだよ・・・どうやら、あの議員を会場で殺しそびれた場合トイレで殺害し、ここに運ぶつもりだったようだな・・・」


「まあいいわ・・・とにかく、その酒蔵からの脱出方法を早く見つけて・・・」

コナン
「・・・。いーい灰原、よーく聞いて・・・オレ、最初にオマエと会った時は、組織の仲間だって事で、ものすごくオマエを警戒してたんだよ・・・でも今じゃ、その気持ちもどっかいっちゃってね・・・」


「ちょっと工藤君、何言ってるの?」

コナン
「不思議だよね・・・敵対関係のハズのオマエに、親しみがわくなんて・・・この気持ちって、何なんだろうね・・・」


「ちょっと、やめなさい!!そんな話、あなたがそこから脱出したらいくらでも聞いて・・・」

コナン
「いいから、黙って話を聞けよ!!もう2度と・・・2度とオマエと言葉を交わす事なんて・・・ないんだから・・・」


「なに?」

コナン
「わからないの?ヤツらはオレのこの幼児化した姿にもかかわらずオレを監禁したんだよ?たとえここから逃げても、2日もたたない内にヤツらはオレを見つけるよ・・・そうなればヤツらはオレをかくまっていた蘭やおっちゃんはもちろんの事、オレに関わった人達もみんな・・・秘密保持のために1人残らず抹消するだろう・・・わかっただろ?ここで殺されたとしてもうまく脱出できたとしても・・・オレはもう2度とオマエ達に会えない状況に追い込まれてしまったんだよ・・・だから、今の内にオレが残したかった言葉をオマエに・・・」


「(工藤君・・・)」

ピポピコピコピポピコピコ・・・

『スーパーマリオRPG!!』


「ん?な、何の音?」

コナン
「ああ・・・学校で光彦君に返してもらったオレのゲームだよ・・・ヤツらがオレのポケットに入っていたそのMOを、組織のモバイルパソコンで調べたんだよ・・・パソコンに携帯電話もつながっているって事は・・・」

カタカタ・・・

コナン
「あ、やっぱり・・・オレの顔を検索していたんだ・・・」


「あ、あなた縛られてないの?」

コナン
「ああ・・・だから急いでいるんじゃないか!ヤツらが長時間オレを縛りもしないで放っておくワケないから・・・さあ・・・ヤツらが戻ってくる前に、オレの話を・・・」


「いや・・・ヤツは当分戻って来られないわよ・・・」

コナン
「え?」


「あなたがいなくなった後、警部に連絡したのよ・・・赤のハンカチをもらった例の7人を杯戸シティホテルから一歩も出すなって・・・あなたの本当の声でね!!あなたが拘束されてない事と、電源が入ったままのパソコンの状態からすると・・・おそらくあなたを監禁したヤツは、何かの目的でちょっとだけホテルを出ようとしたところを出口で刑事に止められ事情聴取を受けてるのよ!!しかもヤツは今、外部との連絡が取れないでいる可能性が高い!!あなたがいなくなってから1時間近くたってるのに、ヤツはおろか、ヤツの仲間もそこに来てないのは考えられないからね・・・いるのよ・・・私がにらんだとおり、あの7人の中に・・・暗殺を成し遂げてあなたをそこに監禁した・・・シードルってヤツがね!!」

コナン
「じゃあ、ここってまだ杯戸シティホテルの中って事?」


「ええ!ヤツが仲間に接触する前に殺人の証拠を挙げてヤツを警察に突き出す事ができれば、あなたの身の安全は保証されたままってワケよ!!警部があの7人を留められるのは、せいぜいあと1時間・・・とりあえず私は、ホテルの従業員にあまり使用されていない酒蔵の場所を聞いて助けに行ってあげるわよ!!子供がまちがって中に閉じ込められたって言えば、扉を開けてくれるはず・・・」

コナン
「バカだな・・・言っただろ?オレ達に関わった人は消されるって・・・知らないよ?オレの逃亡を手助けしたその従業員が後でどうなっても・・・」


「じゃあ、何とか自力でそこから脱出する方法を見つけてよ!!私はその間に、あの7人の中からシードルを割り出すから・・・」

コナン
「脱出する方法を見つけてなんて簡単に言うけど、この部屋に脱出口なんてないよ・・・あるのは、古びた暖炉ぐらい・・・」


「その暖炉、登れないの?」

コナン
「ムリだな・・・登るには大きすぎる・・・本当の体だったら、手足を突っ張って何とか行けそうだけど・・・」


「ロープか何かないの?」

コナン
「さあ、酒蔵にロープなんかあるのかなぁ・・・それに、ロープがあったらシードルがとっくにオレを縛るのに使ってると思うよ?」


「酒蔵って事は、いろんな酒が置いてあるのね?」

コナン
「古くなって使わなくなった部屋に、世界中のお酒を詰め込んで酒蔵にしたって感じだね・・・」


「そこにパイカルってある?」

コナン
「パイカル?あの中国のお酒の事?一度飲んで、元に戻った事もあるけど・・・」


「探してみて!」

コナン
「でも、そんなもの何に・・・」


「あなた、カゼはどうしたの?朝、カゼ気味だって言ってたでしょ?」

コナン
「何だか話が支離滅裂だね・・・」


「いいから、具合はどうなのよ?」

コナン
「おかげさまでしばらく床に寝てたせいで、熱は上がったみたいだよ・・・」


「そう・・・」

コナン
「何だかうれしそうに聞こえるよ?」



コナン
「あったよ、パイカル・・・でもどうするの?こんなお酒・・・」


「その部屋から脱出させてあげるのよ・・・あなたに再び魔法をかけてね!!」





『これが事故直後の映像です!なお、事故現場の会場近くの個室では未だ事情聴取を受けている方がいるようですが、それが何人で誰なのかは発表されておりません・・・』


「今の映像で、あの7人の事件直後のおおよその位置はわかったけど・・・これだけじゃね・・・」

コナン
「ねえ・・・エラリー・クイーンのつづりってわかる?」


「ちょっと、何やってるの?ちゃんとパイカル飲んだの?」

コナン
「ああ、飲んだよ・・・どういうつもりか知らないけど、ますます気分が悪くなっただけだよ・・・それより教えてよ、クイーンのつづり・・・」


「ELLEYQUEENだけど、こんな事聞いて何するの?」

コナン
「組織のコンピューターからあの薬のデータをオレのMOに落とそうと思ったんだけど、パスワードに引っかかって・・・E・E・N・・・」

カタカタカタ・・・

ピーッ・・・

『WRONG PASSWORD』

コナン
「ダメだ、クイーンでも開かない・・・」


「それ、どういう事よ?」

コナン
「前に誘拐未遂事件があった時、ベルモットが寝てたオレの隣で言ってたんだよ・・・『出来損ないの名探偵』ってね・・・だから、思いついた名探偵の名前を手当たり次第に入れているんだけど・・・そう簡単にはいかないか・・・」


「シェリングフォード・・・」

コナン
「・・・え?」


「つづりは、SHELLINGFORD・・・」

コナン
「いくら何でも、1度使ったパスワードをもう1度使うなんて事は・・・」


「いいから、入れてみてよ!」

コナン
「S・H・E・・・L・L・I・N・G・F・O・R・D・・・」

カタカタカタ・・・

パッ・・・

コナン
「開いた、どうして?」


「おそらくそのパソコンは、ピスコの事件で使われていたのと同タイプの物・・・それならば、パスワードを変えていない可能性があったからね・・・それより、そろそろ時間がヤバいわ・・・あなた、体は何ともないの?」

コナン
「何ともないワケないじゃない・・・元々カゼ気味な上にあんなお酒まで飲まされて・・・とにかく、薬のデータをMOにコピーして、この酒蔵のどこかに隠しておくから、後で取りに来るんだな・・・ジン達がオレを運び去った後でね・・・灰原・・・オマエの事・・・わりと好きだった・・・よ・・・」


「ちょ、ちょっと!」

阿笠
「あ、哀君!!あれ!あれ!!」


「え?」

キッ・・・

ガチャッ・・・

阿笠
「ヤツらじゃ!!まさかシードルと連絡が取れたんじゃ・・・」


「いや、それはないわ!あの7人を解放する前に、警部からこっちに連絡が来るはずだから・・・」

スッ・・・


「ま、まさか・・・今、工藤君の前にあるパソコンに発信器が内蔵されてたんじゃ・・・」

阿笠
「そうか!何度電話を掛けてもつながらんから、その発信器を頼りに・・・」


「工藤君ヤバいわよ!ヤツらが来る!!とりあえず暖炉の中に隠れてて!!ちょっと、どうしたの!?」

コナン
「ハアハアハア・・・」

シュウ・・・

ドックン!!





ピポパポ・・・


「警部!工藤です!!今、ホテルに入った黒服の2人組に職質をかけてください!!」





ドックン・・・ドックン・・・





「え?黒服の男ですか?」





コナン
「アアアァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」





パシュパシュ!!

バン!

ウォッカ
「あれ?妙だな・・・いませんぜシードルのヤツ・・・30分後、ホテル近くの駐車場で落ち合おうって言ったきり音沙汰がねぇし・・・発信器を頼りに来てみればパソコンはあるものの、ヤツの姿はどこにもねぇ・・・だいたい、なんなんですかい?この酒蔵・・・」

ジン
「おそらくシードルが念のために確保しておいた部屋だ!会場での殺しが失敗した場合、ここを標的を死体置き場にするつもりだったんだろうよ・・・」

ウォッカ
「とにかく、早くこのホテルからズラかった方がよさそうですぜ兄貴・・・」

ジン
「ああ、そうだな・・・」

バタン・・・


「ちょっと?ヤツらは行っちゃった?」

工藤新一
「・・・ああ・・・」


「それで?あなた、服は・・・」

新一
「エッチ!!ちゃんと着てるよ!!酒蔵にあったツナギをね・・・もちろん、薬のデータをコピーしたMOもちゃんと持ってるよ・・・でも驚いたよ・・・あのパイカルってお酒、またオレの体を元に戻してくれるなんてね・・・」


「安心しないで!その効果は一時的よ!コナンの姿に戻っちゃう前に酒蔵から脱出するのよ!!」

新一
「まるで井戸からはい上がるコーデリア・グレイだね・・・気が遠くなりそうだよ・・・それより、わかった?シードルが誰なのか・・・」


「いや、まだよ・・・情報が足りなくて・・・」

阿笠
「見ろ、哀君!!ネットに出ておる明日の新聞の朝刊を!!」


「それならさっき見たわよ・・・」

阿笠
「見るのは芸能面じゃ!!」


「え?」

『西条麻衣と神楽桂太、ついに熱愛発覚!!』

阿笠
「会場にいたカメラマンが、シャンデリアが落ちる直前に撮ったそうじゃ・・・これ、例の7人の中の2人じゃろ?」


「!?(待てよ、もしかしたら・・・)」

スッ・・・


「(焦げた跡・・・って事は、この鎖・・・)」

ゴソ・・・

ポウ・・・


「(なるほど・・・そういう事ね・・・)」





ガコ・・・

新一
「で、出たよ・・・どうするの?」

阿笠
「よくやった新一!そこがどこだかわかるか?」

新一
「どこかの屋上みたいだ・・・は、灰原いないの?」

阿笠
「さっきまで目暮警部と電話で話しておったが、慌ててホテルに入っていったよ・・・」

新一
「慌てて・・・?」

阿笠
「まあ安心せい!『シードルの正体はわかった!すぐに迎えに行くからおとなしくそこで待ってて』と、君に伝言を残していきおったから・・・」

新一
「フ・・・大丈夫・・・どうせ動きたくても体がだるくて動けない・・・」

パシュ!!

新一
「!!」

ドッ・・・

ジン
「会いたかったぜ・・・工藤新一・・・フフフ・・・キレイじゃねぇか・・・闇に舞い散る白い雪・・・それを染める緋色の鮮血・・・我々の目を欺くためのそのメガネとツナギは、死に装束としては無様だが・・・ここは名探偵の死に場所には上等だ・・・そうだろ?工藤新一・・・」

新一
「よ、よくわかったね・・・オレがこの煙突から出て来るって・・・」

ジン
「髪の毛だ・・・見つけたんだよ、暖炉のそばで・・・オマエの特徴がある黒髪をな・・・シードルに取っ捕まったんだか、ヤツがいない間にあの酒蔵に忍び込んだんだか知らねぇが・・・聞こえてたぜ?暖炉の中からオマエのふるえるような吐息がなぁ・・・すぐにあの薄汚れた暖炉の中で殺ってもよかったんだが・・・せめて死に花ぐらい咲かせてやろうと思ってな・・・」

新一
「へぇ・・・お礼を言わなきゃいけないね・・・こんな寒い雪の中待っててくれたんだもん・・・」

ジン
「フン・・・その唇が動く内に聞いておこうか・・・オマエが毒薬を飲まされてまだ生きているカラクリを・・・」

新一
「・・・」





「え?酒蔵?」


「大きな暖炉がある部屋だと思うんだけど・・・」

「もしかしたら、旧館の事かも・・・どこかの部屋を物置にしてるって・・・」


「(そこだわ!!)」

ダッ!!



ダダダ・・・

哀「(おそらくシードルもそこに向かっている!!ヤツがあの2人と合流したら、工藤君が薬で小さくなってる事がバレちゃう!!せめて、あと5分・・・警部がヤツを留めていてくれていたら・・・)」

ピピピ・・・


「ん?」





パシュッ!!

パシュパシュ!!

新一
「!!」






「何ですって!!工藤君が撃たれた!?」

阿笠
「そうじゃ、どこかの屋上でヤツらに!!」


「工藤くぅぅぅ〜んっ!!!」





ズズズ・・・

ドッ・・・

ウォッカ
「兄貴・・・このガキ吐きませんぜ・・・」

ジン
「しかたない・・・送ってやるか・・・あの世へと・・・」

新一
「ハアハア・・・」

プシュッ!!

ジン
「!?・・・針!?」


「ハアハア・・・」

ザッ・・・

ウォッカ
「あ、兄貴?」


「煙突よ!!煙突の中に入って!!」

ウォッカ
「誰だテメェは!?」

パシュパシュ!!

キンキン!!


「早く!!」

ズズ・・・

ウォッカ
「このガキ逃がすか!!」

パシュパシュ!!

パシュ!!

ゴオッ・・・

ウォッカ
「兄貴?どうしたんですかい兄貴!?」

グッ・・・

パシュ!!

ジン
「くっ・・・(この恨みのこもった弾丸・・・シェリー・・・)」





新一
「ハアハア・・・ハアハア・・・」

ドックン!!

新一
「ハアハア・・・」

ドックン・・・

シュウウウ・・・

新一
「アアアアアッ!!」

ドッ・・・

「ほう・・・すばらしい!!」

コナン
「!?」

「君はまだ赤ん坊だったから覚えちゃいないだろうが・・・君のご両親と私はとても親しくてね・・・君の推理力の事はよーく聞かされていたんだよ・・・」

コナン「(・・・誰?)」

「でもまさか、君の推理力があそこまですごい物とは・・・ご両親もさぞかしお喜びだろう・・・」

コナン
「(誰なの?あなた・・・)」

「だが、これは命令なんだ・・・悪く思わんでくれよ・・・新一君・・・」

ジャキ・・・


「そこまでよ!!マイク・ガバメントさん?それとも、シードルって呼んだ方がいいのかしら?」

シードル
「だ・・・誰だ!?」

コナン
「・・・」


「うまく田中議員の頭上にシャンデリアを落として、事故死に見せかけたつもりでしょうけど・・・そうはいかないわよ!あれはあなたが落としたんでしょ?サイレンサー付きの拳銃を使ってね!!目印は、あらかじめシャンデリアの鎖につけておいた蛍光塗料・・・スライド上映で会場が暗くなれば、その光が浮かび上がるって寸法よ!!もちろんそのまま発砲すれば、銃口から火花が出て周りの人に気づかれちゃうけど、ハンカチを使えば話は別・・・ハンカチをサイレンサーの先にかぶせれば、発砲と同時にハンカチが吹っ飛び、火花を隠してくれるってワケよ!!『酒巻監督を偲ぶ会』のハンカチを使ったのも、後で回収しなくても足が付きにくいと思ったからでしょうが・・・あいにく、あの赤のハンカチをもらった客はすでにほとんど帰っちゃってて、容疑者はあの7人のみ・・・」

シードル
「!?」


「シャンデリアの真下にいて鎖が狙えない、南雲さんとヒースさんはシロ・・・証拠の鎖を口から吐き出した笠美さんと、司会で客に注目されていた花菱さんもちがう・・・事件直前に抱き合っていた、神楽さんと西条さんは論外だわ・・・つまりあの会場でこの犯行を成し得る事ができたのは、マイクさん・・・あなただけなのよ!!」

シードル
「そこか!!」

パシュパシュ!!

ガチャン!バリン!


「ちなみに田中議員がシャンデリアの下に来たのは、その真下の床にも蛍光塗料と塗っていたから・・・」

シードル
「!?」


「逮捕寸前の彼に、『挽回のチャンスをやるから、明かりが落ちたら光る場所で司令を待て』とでも脅しをかけたんだ!!そうでしょ?シードルさん!!」

カタ・・・

シードル
「ス、スピーカー!?だ、誰だ!?何者なんだ、オマエは!?」

ザッ・・・


「灰原哀・・・探偵よ・・・」

シードル
「た、探偵・・・?はっ!!その、私に殺意を向けたブルーの瞳・・・ま、まさかオマエ、シェリーか!?取り調べ中に警察に指示を出していたのは、オマエだったのか!!」


「ご名答・・・どうせあなたもジンもウォッカも、警察に捕まっちゃうわ・・・その前に教えてくれないかしら?どうしてあなたが取り調べ中にあの赤のハンカチを持っていたのかを・・・だから警部は、あなたを解放せざるをえなくなった・・・いったい、あのハンカチは・・・」

チャッ!!

シードル
「世の中には、知らなくていい事もあるんだよ、シェリー・・・それにこの状況をよく見てみろ!!警察なんか呼べやしない・・・」


「あなたこそ、よく見てみるのね・・・自分の足下を!!」

シードル
「!?あっ!!こ、これは・・・!!」


「そう、スピリタス・・・アルコール度数96パーセントの超強烈なお酒よ!!わかるわよね?そんな酒が気化しているそばでタバコなんか吸っているとどうなるか・・・」

ボッ!!

シードル
「うわっ!!」

ゴオオオオオオオオオオオッ!!!

シードル
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




シードル
「おい、シェリー!!どこだ!?出てこい!!どこにいるんだ!?」

ザシッ!

シードル
「フフフ・・・そこか・・・」




「工藤君、しっかりつかまってて!!」

コナン
「う、うん・・・」

タタタ・・・



グッ!

シードル
「!!な、何のマネだ?ジン・・・」

ジン
「しくじったな、シードル・・・なぜあのカメラマンをすぐに殺って、フィルムを隠滅しなかった?」

シードル
「カ、カメラマン?何の事だ!?」

ジン
「明日の朝刊の一面が、オマエの写真に差し替えられたそうだ・・・銃を天井に向けている、オマエのアップにな・・・」

シードル
「よせ・・・私を殺すと、工藤新一やシェリーを捜せなくなるぞ・・・私には見当が付いている・・・そ、それにあの方のお世話係だった私を殺すと、オマエの立場も・・・」

ジン
「悪いな・・・これはついさっき受けた・・・あの方直々の命令だ・・・」

シードル
「な!?」

ジン
「組織の力を借りて、ここまでのし上がったんだ・・・もう十分いい夢を見ただろ?続きは向こうで見るんだな・・・」

パシュ!!!






「なに!?ジンがシードルを射殺した?」

阿笠
「ああ、新一が暖炉に置き忘れたメガネから会話を聞いとったんじゃが、射殺後、すぐにまた煙突から逃げていったようじゃ・・・」


「(変ねぇ・・・どうしてジンのヤツ、麻酔銃で撃たれて動けるの?あんな大男が眠っちゃったら、警察から逃れられないと思ってたのに・・・それに、工藤君の行動がヤツらに読まれすぎていたのも気にかかる・・・工藤君が会場に来る事も確信してたみたいだし・・・髪の毛見ただけで誰のかわかる?普通・・・)ねぇ、工藤君・・・あなたひょっとして、最初にトロピカルランドでジンに会った時・・・」

コナン
「それで?バレちゃったの?オレの体が小さくなった事・・・」

阿笠
「いや、バレとらんようじゃ、安心せい!」


「で?どうする気なのよ?あなたこれから・・・」

コナン
「・・・そうだね・・・オレがこの町に潜んでいると知られた以上、もうここにはいられないね・・・ツナギに入れたままのあのMOも燃えてしまっただろうし、もうおっちゃん達に迷惑はかけられない・・・安心して、明日にでもこの町を出て行くから・・・」

阿笠
「おいおいムリじゃよ、そんな体じゃ!!」


「よし!それなら大丈夫だわ!」

阿笠
「へ?」

コナン
「灰・・・原・・・」





ウォッカ
「え?この街であのガキ捜さないんですかい?」

ジン
「ああ・・・ムダな事はしねぇ性分なんだ・・・今頃はもう助けに来たシェリーと逃げ出して、どこか遠くの街にしけこんでるところだろうよ・・・オレ達に顔を見られた街にのんきに留まっているような、バカなガキじゃねぇからなぁ・・・」

「おやおや、ずいぶん入れ込んでるんだね・・・その探偵小僧に・・・」

ジン
「悪かったですね、クラレット・・・あの金髪バカをサポートするためにあなたほどの男をわざわざ呼んだっていうのに・・・とんだヘマにつき合わせてしまってすみませんでした・・・」

クラレット
「ホント・・・せっかく事情聴取を受ける前にハンカチを渡してあげたのに・・・死んで正解だったねぇ・・・それより気にならないか?探偵小僧とつるんでいる、シェリー・・・」

ジン
「ええ・・・なぜあの探偵小僧に惚れ込んだか知りませんが・・・見てみたいもんです、その2人のツラを・・・」

クラレット
「ああ・・・恐怖にゆがんだ、死に顔をね・・・」

ウォッカ
「また英国(むこう)に戻るんですかい?」

ボッ。

クラレット
「いや・・・俳優はしばらく休業・・・日本(こっち)でのんびりするつもりだよ・・・ちょっと引っ掛かる事もあるからね・・・」

フーッ・・・





数日後・・・ロサンゼルス・・・優作と有希子の家





コナン
「えっとここは・・・」

工藤有希子
「あら、新ちゃんどうしたの?そのセーター・・・」

コナン
「ステキな模様だから、蘭に借りて来ちゃった!だからボクのもこれに変更!」

有希子
「アラン模様じゃない・・・難しいわよ、それ・・・あ、そこちがうわよ、かのこ編みは・・・ちょっと貸してみなさい!」

コナン
「あ、ダメェ!ボク1人で編むんだからぁ・・・」

有希子
「いいけど・・・後でこんがらがっても知らないわよ?」

コナン
「あ、だから、またわかんなくなったら横で編んで見せてよ・・・」

有希子
「はいはい・・・まったく・・・新ちゃんににつき合わされて、もう2着も編んでるのよ?蘭ちゃんに菓子折でも持ってきてほしいぐらいだわ・・・」

コナン
「い、いいじゃない・・・アイツ・・・カワイイんだもん・・・」

有希子
「あら・・・妬けるわね・・・」

コナン
「えーっと、ここは・・・」

有希子
「そうそう、私が編んだセーター・・・邪魔だから後で処分しといてくれない?」

コナン
「はーい!」





そして1ヶ月後・・・





コナン
「ねえ、届いた?」


「ええ・・・今朝、博士から受け取ったわよ・・・」

コナン
「それで?着てみた?」


「ええ・・・今、着てるわよ・・・あ、ありがと!」

コナン
「クスクス・・・」


「なに笑ってるのよ?」

コナン
「ううん、なんでもなーい!」


うわ、長っ!長すぎる・・・読むのが大変だ・・・前後編に分ければよかったかな・・・まあ、今さら悔やんでもしかたないか・・・そんな事より次回は、皆さんお待ちかねのリアンちゃんがついに登場します!登場すると言っても、また回想シーンなんですけどね・・・











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