ファイル76:黒の組織、現る!!『前編』
アレクサンドリア国の偉い人に招かれた父さんだが、英語が使えるオレと志保に通訳をという事で、3人でやってきた。
工藤優作
「どのような仕事の依頼でしょうか。」
哀
「今英語に直すわね。」
キリリク『シルビア姫の側近』
「実は幸運な事に、我が国で最近貴重なヘリウムガスが取れ出したのです。そのために、新しく飛行船会社を設立したのです。」
優作
「日本語ペラペラ・・・」
コナン
「オレ達は必要なかったのかよ。」
キリリク
「著名な方々を招いた今回の招待飛行が成功すれば、必ずやまた昔みたいな飛行船の時代が到来するはずです。」
シルビア姫
「飛行船はヘリウムを大量に使って飛ぶ。飛行船の時代がまたくれば、貧しさで苦しんでいる民達ももっと豊かになるだろう。だが父の弟である叔父バジルが、ノーブル社という所からヘリウムを買う工作をしている。」
哀
「ノ、ノーブル社!!?」
優作
「しかし、なぜわざわざ他からヘリウムを?」
シルビア
「叔父はノーブル社から多額のワイロをもらっておるのだ!!我が国のヘリウムを使えば、民も豊かになれるのに!!叔父は、民や国は自分の欲望の犠牲になるべきだと思っておる。」
キリリク
「バジル殿下のやり方に反対する大臣が2人も、謎の死をとげています。」
優作
「ふ、2人も!!?」
キリリク
「ノーブル社からのヘリウム購入に反対しているのは、残るは姫様お1人だけ。私は、次は姫様の命が狙われるのではと・・・。飛行船で姫様の命が狙われたら、逃げ場がありません。」
シルビア
「そんな事を恐れてどうする!!貧しい民が少しでも豊かになれるかどうか、この飛行にかかっておるのだぞ!!」
優作
「ですが、バジル殿下を疑う具体的な理由はあるのですか?」
キリリク
「はい。1人目の大臣が謎の死をとげたとき、私は部下を密かにバジル殿下の世話係に送り込みました。その部下が、先日殿下の部屋のゴミ箱からこんな物を見つけたのです。」
優作
「なんですか、これは?」
キリリク
「2人目の大臣が不審な死に方をする前、この糸が殿下の部屋からいくつか見つかったのです。」
コナンは、その糸を観察した。
コナン
「(これは、古代ギリシャで使われていたアイネイアスのテープだ。)」
キリリク
「私はバジル殿下はこれを使って殺し屋と連絡をとり、2人の大臣の暗殺を命令したのではないかと・・・」
優作
「わかりました、調べておきますよ。大丈夫ですよ、姫の命はこの工藤優作がお守りいたします。」
キリリク
「よろしくお願いします。」
ピン!
スッ。
しばらく歩いた優作は、糸をゴミ箱に入れた。
優作
「ナイスシュート♪」
コナン
「あーっ。」
優作
「オマエ達はここで大人しくしておけ。オレは船内を見回ってくる。」
コナン
「せっかくの手がかりを!信じらんねーよ。」
哀
「やっぱりそれ暗号なの?」
コナン
「多分な。だが解くには、犯人が持ってる特別な定規がいる。それより、バジル殿下が金を受け取っているノーブル社の事を何か知っているのか?」
哀
「ノーブル社は、黒の組織の息がかかった会社よ。」
コナン
「な、何!?黒の組織!!?」
哀
「ヤツらが売るヘリウムは安いんだけど、それはアフリカの地元住民達を不当に安い賃金で危険な作業に従事させているからなの。」
コナン
「黒の組織とバジルの目的は一緒か。だからバジルの依頼を受けて、ヘリウム購入を反対する大臣を殺したんだ。」
哀
「顔は知らないけど、黒の組織の中に殺しの依頼を糸を使った暗号でやり取りする、コニックって殺し屋がいるって聞いた事があるわ。」
コナン
「コニックって名前なら、オレも小さい頃父さんの犯罪者ファイルで見た事がある・・・。黒の組織が絡んでいたとはな・・・。厄介な事件が起こりそうだぜ・・・」
船内ラウンジ
優作
「しかし、さすが飛行船、空の上でダンスパーティとはな。」
コナン
「(たく、何が見回りだ。高所恐怖症を酒でゴマカすくらいなら、最初から引き受けるなよ。)」
船長
「今歌っている彼はアミリアと言ってね、我が国では大変人気があるんですよ。」
コナン
「あ、父さん、姫の警護しなくていいの?」
優作
「大丈夫だろ?ボディガードもたくさんいるし・・・」
フッと、突然電気が消えた。
優作
「て、停電か!?」
コナン
「ま、まずい!!」
パッ。
キリリク
「姫様!!ご無事ですかっ?」
シルビア
「そこのボールのおかげで、イスに当たった弾丸から助かったのだ。」
ボールはもちろん、コナンか哀がけったものである。
哀
「使用された拳銃は、比較的射撃音が小さいルガー・・・きっと、ボディーガードから盗んだ物だわ!!」
コナン
「どこからヤツは撃ったんだ・・・」
哀
「早くコニックを捕まえないと!!そういえば、さっきから火薬の匂いに混じって果物の甘い匂いがするわ・・・」
哀の言葉で、コナンは、パッとひらめいた。
コナン
「そうか、その手があった!!これでトリックは解けた!!あとは暗号だが・・・」
哀
「私、キリリクさんから客室の鍵を借りて探してくるわ!」
数分後、哀が戻ってきた。
哀
「新一君、見つけたわよ!!確かな証拠を!!!」
コナン
「そうか、じゃあ頼むぜ!」
数分後、優作はみんなを集め、推理を始めた。
キリリク
「それでは工藤さん、あなたの推理をお聞かせください。」
優作
「まず私が変だと思ったのは、停電が起きて姫の命が狙われた時、銃声が聞こえなかった事です。最初はボディガードから盗んだ銃がルガーで、音が比較的小さいために、カラオケの音で消されたのだと思いました。しかし暗闇で弾を発射したのに、火花すら見えなかったのはおかしい・・・。その理由は、犯人がこのラウンジでサイレンサーの代用品を見つけたからです。その代用品とは、果物のグレープフルーツです!!その証拠に、銃弾の穴が空いているグレープフルーツがあるはずですよ。そして弾を発射した時、犯人には果汁がついたはずです。つまり犯人は、先程からグレープフルーツの匂いがプンプンしているアミリアさん、あなただ!!!」
アミリア
「おいおい、冗談はよしてくれ・・・」
哀
「トボケてもムダよ。あなたの部屋から定規が出てきたわ!」
アミリア
「うっ!」
哀は説明を始めた。
哀
「これは古代ギリシャの暗号で、アイネイアスのテープというものなんだって。AからZまで書かれたこの定規に糸を添え、暗号文の文字のアルファベットの位置にきたら結び目を作る。これを繰り返していくと『姫は飛行船の中で殺せ』と出たのよ!!!」
アミリア
「あのバカ殿下めが。やり取りの暗号は燃やせと、あれほど言ったのに!!」
そう言うと、アミリアはコナンを抱き上げた。
ガッ!
コナン
「わっ。」
哀
「しまった、新一が・・・(ボールを補充し忘れた!!)」
シルビア
「2人の大臣を殺したのもオマエか!?」
アミリア
「2人は私のファンだから、簡単に近づけましたよ。」
シルビア
「卑劣なヤツめ!彼ら2人は私欲がなく、国民のために、そして私のためによく尽くしてくれたのに・・・」
アミリア
「あなたが、自国でのヘリウムの開発を諦め、我がノーブル社から買う事に同意すればこんな事にはならなかった。」
コナンは、ジッとしている。
シルビア
「我が国は貧しく、国民は飢えている。ヘリウムは、その貧しい民達に暖かい家を、温かなスープを与える最後の望みだ!!!」
アミリア
「さすがは姫だ。バジル殿下よりよっぽどしっかりしている。だが、真に国民のためを思うのなら、ここから飛び降りてみなさい。そしたら私がバジル殿下にヘリウムの購入を諦めさせよう。」
シルビア
「ううっ・・・」
その時、コナンが口を開いた。
コナン
「コニック、相変わらず汚い殺し方しかしてないんだなぁ。」
コニック
「な、何!?」
コナン
「自分より弱い者を人質にとり、それを利用して目的を果たすとはな。」
コニック
「オ、オマエ、まさか工藤新一か!!?」
コナン
「とっとと殺せ。どうせボクは、黒の組織に殺される運命だ・・・」
ガシャン。
コニック
「な、何!?」
キリリク
「姫!!」
シルビア
「大臣達よ、待っておれ・・・。天国でオマエ達の忠義をホメてやるぞ!!」
トン!
船長・キリリク
「姫!!!」
哀
「ダメッ!!!」
ガッ!
ズズッ・・・
哀はシルビアを引っ張り上げようとしたが、自分も外に飛び出てしまった。
哀
「わっ!!!」
コナン
「し、志保!!!」
コナンは哀が死んだと思い、涙が出た。
コニック
「バカめが・・・本当に世間知らずの姫だ。私の正体を知られたんだ、この船の乗客達を生かしてはおけん。これで木っ端微塵だ!!!新一、キサマには聞きたい事がある。ついてこい!!」
ぐっ。
コニックはコナンの首をつかみ上げた。
コナン
「う・・・」
コニック
「ん?なんだ、これは。なっ!?」
外には、外に飛び出た哀とシルビアが、伸縮サスペンダーにつかまっていた。
コナン
「志保!!」
コニック
「ク、クソ!!」
コニックが拳銃を撃つ前に、哀は麻酔銃を発射した。
パシュ!
プス!
ズズッ・・・
ドサッ!
コニックは気絶した。
アミリアこと黒の組織の殺し屋・コニックは、警察に護送される車の中で歯に仕込んでいた毒薬で自殺したらしい。
仕事に失敗したヤツは、いずれ始末される。
それより、自ら命を絶つ方法を選んだのだろう。
哀
「新一、あなたさ、私が死んだと思って泣いてたんじゃない?」
コナン
「そんな事ないよ!!」
哀
「心配しないでよ、黒の組織の下っ端に殺られる宮野志保じゃないわよ。それよりあなたの事も、必ず守ってあげるからね。」
コナン
「志保・・・」
哀の笑顔に、コナンは顔を赤らめた。
優作
「見ろ、事件解決のお礼だって、こんなにくれたぞ!」
哀
「優作さんは酔っ払って、寝てただけでしょうが・・・」
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