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FBIから来た女:1〜リアン・ハートネスとジンの章
作:ユーリ



ファイル73:狙われた中国人『前編』


(ちまた)では、日本に住む中国人のお金持ちばかりを狙う、中風雷(ちゅうふうらい)という怪盗が横行していた。

そして、服部平次の同級生にも脅迫状を送りつけてきたのだ。



王邸


平次
「これが中風雷から送られてきた脅迫状か・・・」

『妹を誘拐されたくなければ、5000万円用意しろ。 中風雷』

王麗華(おう れいか)(17)
「服部君、お願い!妹を守って!」

平次
「任しとけ!」

和葉
「アタシらに任しといて!」

王鈴華(おう りんか)(8)
「お願いします。」

平次
「麗華ちゃんは幼い頃に両親を亡くして、1人で鈴華ちゃんを育てて、がんばって大成功したんや。そんな姉妹を脅す輩は、この服部平次が許さん!!」

麗華
「服部君。」

和葉
「平次。」


「(大きな事言って、ホントに大丈夫なのかしら・・・)」

平次
「すでに犯人がこの家を監視できそうな建物を調べ、住人の中で最近引っ越してきた人間や不審人物を調査した。だが、該当する者はおらんかった。お手伝いさんの身元も、皆正式やったで。」


「(ヘー、なかなかやるやん。)」

和葉
「でも麗華ん家は出入りする人が多いから、心配やな・・・」


「そうね、中風雷は変装の名人らしいから、王さんの友人に化けて紛れ込んでくるかも知れないわ。」

平次
「大丈夫、それもちゃんと手を打ってある。」

その時、携帯電話がふるえた。

麗華
「は、服部君!!」

平次
「出てくれ。」

麗華
「はいっ、王です。遠山さんですか。お、お待ちしてました。」

平次
「中風雷や、早々に警察に電話するんや。」

和葉
「えっ、でも今お父ちゃんが・・・」

平次
「ええから、早く!!」


「(どういう事!?)」

平次
「フフフ、飛んで火に入る夏の虫とは、この事や。」

ギイ・・・

キキッ。

しかし、平次の予想外の出来事が起きた。

キュキュキュ・・・

バッ!

ザザザザ・・・

平次
「な、何!?」

なんと、車が遠山を外に放り出し、逃走したのだ。


「なぜ止めたの?」

大滝
「さっきまでオレ達に捕らえられて緊張していた遠山の顔が、王に電話したとたん急に落ち着いた顔になったからだ。これから自分の見ている目の前で犯罪が起きるんだから、刑事なら緊張するはず。だが・・・」

そう言うと、男は大滝の変装を解いた。

ビリッ!!

中風雷
「だが、ヤツはちがった。」

「じゃあ、あの電話に何か仕掛けが!?」

中風雷
「おそらくな。服部平次とかいう小僧、こしゃくな事をしやがるぜ。」





遠山
「イタタ・・・しかし中風雷という男はとんでもないヤツやな。ここに来る途中の道で大滝がおったから変やとは思ったが、急に拳銃を突きつけられて・・・」

和葉
「まさかお父ちゃんの部下の大滝ハンに化けるなんて。でも、平次はなぜ中風雷やとわかったん?」

平次
「麗華ちゃんの自宅を訪れる知り合いが中風雷に会って脅されて来る事態も考え、麗華ちゃんに新しい携帯電話を契約させたんや。知り合いには、来る時に何もなければ新しい方に電話するように頼んでおいたんや。」

遠山
「さっきオレがかけたのは、異常を知らせる古い方の携帯やったんや。」

平次
「もう少しで捕まえられたが、中風雷も何かを感じて、犯行をあきらめたんやろう。」

遠山
「平次君の機転で今回は危機を乗り越えたが、ヤツはこれであきらめるタマやないぞ。」


「(その通りだわ。もっと巧妙な手を使ってくるにちがいない・・・)」



その後、刃は鈴華と部屋で遊んでいた。


「あーん、また負けた・・・鈴華ちゃん、オセロ強いなぁ・・・」

鈴華
「お姉ちゃんにずっと教えられてたからね。」


「ん?そういえば、鈴華ちゃんってアタシと同じ髪の色で、ロングヘアーだよね?」

鈴華
「うん。シニヨンキャップっていうので髪を留めてるけどね。」


「シニヨンキャップ・・・あ、そうだ!いい事思いついたわ!」



数分後、平次、和葉、麗華の前には、鈴華のシニヨンキャップをつけた刃と、刃のゴムでポニーテールにした鈴華が現れた。

平次
「なんやて、鈴華ちゃんと入れ替わる!?」


「シーッ!大声を出したら、どこかで監視している中風雷に聞こえるよ。」

和葉
「でも、なんでそんな事を?」

鈴華
「刃ちゃんが身代わりになって、彼らを引きつけるっていうの。」

平次
「大丈夫なんか?1人で。」


「うん、心配しないで。大丈夫だから・・・」

そう言うと、刃は玄関へと向かった。

平次
「ホンマに大丈夫やろか・・・」

和葉
「心配ないって!リアンさんやったら大丈夫や!」

平次
「そ、そやな・・・」





鈴華に変装した刃が王家を出た時、近くに止めた車から、中風雷とその相棒の女が彼女を監視していた。

中風雷
「ん?あのガキ、出てきたな・・・」

「なんかおかしすぎない?これって罠なんじゃあ?」

中風雷
「まあ、よかったじゃないか。これで、トリックに時間をかける必要もなくなったしな。」

「それもそうね。行きましょ。」

そう言うと、中風雷達は車で刃を尾行した。


しばらく歩いていた刃は、少しだけ立ち止まった。


「(できるだけ遠くに行かなきゃね。さて、そろそろ走り出そうかしら・・・)」

刃はそう思い、走り出そうとした。

しかし、その時・・・


「うっ!!」

刃は体を抱き上げられ、口をハンカチで塞がれた。


「うぅ・・・」

刃は意識を失い、車の中へと連れ込まれた。






「ん・・・」

しばらくして、刃は目を覚ました。


「うっ!うぅっ・・・!!」

体を動かそうとしてみた刃は、自分の両手が縄で縛られ、どこか薄暗いところに寝かされている事に気がついた。


「アタシはまんまと誘拐されたってワケね・・・でも・・・」

幸い、口は塞がれていないし、足も縛られてはいなかった。


「今のうちに、監禁されている場所がどこなのか把握しておかなくちゃ・・・」

そう思い刃は立ち上がると、窓のある方に歩いていった。

刃は箱を後ろ手でつかむと、窓の下に置き、飛び乗った。


「吹田市内の倉庫のようね・・・さてと、平次に居場所を教えて・・・」

その時、ドアがガチャッと開いて、中風雷達が入ってきた。

中風雷
「ん?オマエ、何をしている?」


「(ヤ、ヤバ・・・)」



「キャッ!」

ドサッ!

刃は床に投げ出された。

「この小娘、ふざけた事をしようとして・・・今すぐ殺してあげましょうか?」

女がギロリと刃をにらんだ。


「イ、イヤです・・・」

中風雷
「じゃあ、余計な行動はしないでくれたまえ。」

そう言うと、中風雷は刃の両足も縄で縛った。

その後、大きなハンカチを持ってきて、刃の口に巻きつけた。


「う〜ん、う〜ん・・・」

相棒の女が刃を肩にかつぎ、柱まで彼女を運んでいく。


「う〜ん、う〜ん!」

ジタバタもがく刃を柱まで運んでくると、彼女を柱に縄でつないだ。


「うぅ〜ん、うぅ〜ん・・・」

「これでこの子は逃げ出す事ができないわね。」


「うぅ〜ん・・・」

刃はうつむいた。

中風雷
「さてと、電話をかけるとするか。」

そう言うと、中風雷は携帯を取り出し、番号をプッシュした。


「(平次・・・助けて・・・助けてぇ!!)」


作「第21回生対談は、服部平次君だよ。」
平「オレ、中国語ってようわからへんのや・・・」
作「そうだね、アジアの言語の中ではけっこう難しいらしいしね。」
平「中国人は昔、西洋人を助けた事があるって聞きますけど。」
作「そうだよ。彼らが、日本語が話せない西洋人を助けたんだ。中国人は日本より前に西洋と交易していたから西洋の言葉を話せたし、日本とは筆談という意思の疎通法があったからね。」
平「スゴいんやな、中国人。」
作「それより平次君、早く刃ちゃんを助けに行かなくていいのかい?」
平「あ、そうやった・・・ほな、今から行ってきます!」
作「じゃあ、後はよろしく!」
平「中風雷は、必ず倒す!!」











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