ファイル48:殺意を呼ぶウェディング『後編』
前回までのあらすじ
ある日、親友のエルに呼ばれ、新京極教会にやって来た美保。
エルから頼まれた事とは、バーチャルウェディングの花嫁役をやってほしいとの事だった。
新郎役に選ばれた伊澄とのコンビネーションで、見事バーチャルウェディングをやってのけた美保。
しかし、その夜、ピアノ調律師の設楽源次郎が、何者かに刺殺されたのだ。
死亡推定時刻に美保達は一緒にいたためアリバイがあり、アリバイが怪しいのは和賀光弘、日川光子、根本政志、柳沢輝明の4人のみ。
そんな中、設楽のダイイング・メッセージを見た美保は、犯人をついに突き止めるのだが・・・
美保
「すべての謎は解けたわ。内海さん達のところへ行きましょ!」
伊澄・エル
「ええ!」
内海警部をはじめ、容疑者4人と刑事達が集まった。
内海
「美保ちゃん、犯人がわかったって本当か?」
美保
「ええ、内海さん。」
根本
「だったら早くしてくれないかな。」
柳沢
「こちらも仕事が詰まっているんだよ。」
日川
「まあまあ、まずは彼女の推理を聞きましょう。」
和賀
「じゃあ、聞かせてくれるかね。」
美保
「はい。」
美保は深呼吸すると、事件の真相を話し始めた。
美保
「では、今から事件の真相を解き明かします。今回、この新京極教会で、ピアノ調律師の設楽源次郎さんを殺害した犯人、それは・・・」
ビシッ!
美保
「和賀光弘さん、あなたです!!」
内海
「な、何!?」
和賀
「ハ、ハハ、バカな・・・なぜ私が犯人なのかね・・・」
和賀はたじろいだ。
美保
「トボケたって無駄ですよ、和賀さん。私実は昨日のバーチャルウェディングの本番前、あなたに設楽さんが話しかけていたのを、私達3人は見ていました。」
和賀
「うっ。」
美保
「しかもその後、あなたは歯ぎしりしたような態度を見せていた・・・おそらくあの時、設楽さんに対する殺意が芽生えたのでしょう。」
内海
「しかし美保ちゃん、死亡推定時刻は7時〜11時30分の間だろ?その時間なら、彼にはアリバイがあると判明したんだ。」
和賀
「そ、その通りだ!だから私には犯行は無理だ・・・」
美保
「往生際が悪いですよ、和賀さん。この事件は、あなた1人が起こしたのではない。もう1人、共犯者がいるんですよ。そしてその共犯者は・・・」
ビシッ!
美保
「日川光子さん、あなたですね?」
日川
「うっ・・・」
美保
「イヤ、ここは・・・和賀光弘さんの双子の弟、和賀光彦さんと言った方が正しいのかしら?」
内海
「な、何だって!?」
美保
「内海さん、この人の名前はアナグラムになっているんですよ。名前をローマ字表記に直して、並び変えると・・・」
『HIGAWA MITUKO』
↓
『WAGA MITUHIKO』
↓
『和賀光彦』
美保
「ほらね。」
内海
「おお・・・」
美保
「日川光子さんが2人分のアリバイを作っている間に、和賀さんは堂々と設楽さんを殺害したんです。」
2人は、黙っている。
美保
「そして、設楽さんが残したダイイング・メッセージの正体・・・あれは、犯人のイニシャルを示したものだったんです。」
そう言うと、美保は内海に紙切れを手渡した。
美保
「その紙切れの『シ ミ ソ ミ シ』と『ミ ソ シ ソ ミ』を線でつないで、そのまま読んでみてください。」
内海は紙切れを読んだ。
『シ ミ ソ ミ シ・・・ミ ソ シ ソ ミ・・・』
↓
『W M』
内海
「WとMの字が浮かび上がったぞ!!」
和賀・日川
「!!」
美保
「設楽さんは和賀さんに刺された時、まだかすかに息があったんです。そして和賀さんが逃げた後、何とかして犯人の名前を伝えようとした設楽さんは、ふと気がついたんです・・・楽器メーカーの会長が、ピアノの音を読むなどしないという事を・・・そして、この教会で勤務しているエルに伝えやすくするために、ドレミの音を使ったダイイング・メッセージを思いついたんです。こうしておけば、いずれ誰かがダイイング・メッセージの謎を解いてくれる・・・さあ、和賀さん、日川さん。もう、言い逃れはできませんよ!!」
日川
「そうだ、オレ達が設楽を殺したんだ。会社の金を横領していたのを設楽に知られて、その口封じのためにな。」
和賀
「アイツもアイツだ。横領を黙ってる代わりに、我が社が今後関わる楽器すべての調律に自分を使えだなんて、メチャクチャな要求しやがって。」
内海
「日川さん、和賀さん、もう逃げ場はない。観念するんですな。」
日川
「・・・それはどうかな?」
シュッ!
ボゥン!!
内海
「え、煙幕!?」
ガバッ!!
美保
「キャアアアアア!!」
シュウウウウウ・・・
内海
「み、美保ちゃん!!」
美保
「う・・・ぐ・・・」
日川
「オマエ達、下手なマネすんなよ・・・」
和賀
「ちょっとでも動けば、この娘の命はないぞ!!」
ダダダ・・・
美保
「助けて〜!!」
内海
「美保ちゃん!!」
伊澄・エル
「美保!!」
バタン!
和賀と日川は美保を後部座席に押し込むと、車を発進させた。
ブオオオオオ・・・
内海
「くそっ!観念するどころか、美保ちゃんがさらわれてしまった!!」
エル
「内海さんはすぐに、近辺を固めてください!!」
内海
「ああ、わかった!!」
エル
「伊澄、行くわよ!!」
伊澄
「ええ!!」
和賀と日川は、美保を人質にとり、車で京都市内を逃走している。
捕らえられてしまった美保は、後部座席に寝かされていた。
美保は手足を縄でグルグル巻きに縛られ、口にはガムテープが貼られている。
美保
「ん〜、ん〜!!」
美保はジタバタともがいていた。
美保
「う〜っ、う〜っ!!」
日川
「お嬢ちゃん、君は人質だ。」
和賀
「しばらくの間、オレ達につき合ってもらうぞ・・・」
美保
「んん〜っ、んん〜っ!!(銀一、助けて〜っ!!)」
一方、伊澄とエルは、バイクをすっ飛ばしていた。
エル
「くそっ!ぜんぜん追いつけないわ!!」
伊澄
「エル、あきらめちゃダメ!もっとスピードを上げるのよ!!」
しかし、数分後伊澄達が追いつくと、そこには大破した車と犯人2人がいて、美保も無事に助け出されていた。
伊澄
「美保!!」
美保
「エル、伊澄!」
エル
「なんで助かったの?」
美香
「私がちょうどさっきすれ違ってね。タイヤパンクさせた後、雷落として捕まえちゃった、テヘッ。」
伊澄・エル
「ハ、ハハ・・・」
こうして、和賀兄弟は逮捕された。
しかし、一週間後・・・
『次のニュースです。先日ピアノ調律師・設楽源次郎さんを殺害した和賀光弘・光彦兄弟が、昨夜京都府警拘置所で死亡しました。』
美保・伊澄・エル・美香
「ええ〜っ!?」
『なお、遺体からはシケドトキシンの成分が検出され、2人は昨日の昼に1人の面会者と会っており、京都府警は面会者が2人を殺す目的で毒を体内に投与したと見て、面会者の行方を探している模様です・・・』
伊澄
「じゃあ、あの和賀兄弟・・・」
エル
「最初から美保を狙う気で・・・」
美香
「み、美保ちゃん・・・」
美保
「くそっ・・・」
美保は、怒りのあまり紙コップをにぎりつぶした・・・ |