ファイル47:殺意を呼ぶウェディング『中編』
前回までのあらすじ
ある日、バーチャルウェディング(雑誌に宣伝目的で発表したりする、偽りの結婚式の事)の花嫁役に選ばれた美保。
友達のエル・シーバスが勤務している、新京極教会に向かいました。
そこで待っていた新郎役は、なんと美保のイトコ、三千院伊澄だったのです・・・
一週間後・・・
本番の日
美保
「うわっ・・・お客さんいっぱいだわ・・・」
エル
「そりゃあ、バーチャルウェディングっていっても結婚式は結婚式だからね。観客もいないと、宣伝にならないでしょ?」
エルはキッパリと言った。
伊澄
「・・・にしても、いろんな著名人が来てるわねー。カメラマンの柳沢輝明に・・・」
柳沢輝明(45)『カメラマン』
伊澄
「雑誌編集者の根本政志に・・・」
根本政志(42)『雑誌編集者』
伊澄
「敏腕作曲家の日川光子・・・」
日川光子(37)『作曲家』
伊澄
「おっと、音楽経済界の大物、和賀光弘まで来てる・・・」
和賀光弘(37)『楽器メーカー会長』
美保
「蒼々たる顔ぶれね・・・」
エル
「ええ・・・偽りの結婚式とはいえ、さすがは白野蘭学塾塾長の結婚式だわ・・・」
「エルちゃーん!ピアノの整備、終わりましたよー!」
1人の男が、エルのところに走ってきた。
エル
「ああ、設楽さん、ご苦労さま。」
美保
「エル、この人は?」
エル
「ああ・・・彼はウチの教会が雇ってるスゴ腕のピアノ調律師の、設楽源次郎さんよ。」
設楽源次郎(26)『ピアノ調律師』
「こんにちは、設楽です。すると、あなた達が新郎役と新婦役ですね?」
エル
「ええ、三千院伊澄さんと、白野美保さんよ。」
美保・伊澄
「よろしくです。」
設楽
「こちらこそ、よろしく。」
そう言うと、設楽はタタタと走っていった。
途中、和賀とすれ違った時、彼らの表情が変わった。
設楽
「・・・てなワケで、夜の11時に落ち合いましょうや。」
和賀
「・・・」
設楽はそのまま、走っていった。
美保
「ん・・・?」
伊澄
「今、空気変わったわね・・・」
エル
「ええ・・・」
その後、何事もなく、予定通りに式は挙行された。
エル
「汝は健やかなる時も止める時も、互いを大事にし、一生添い遂げる事を誓いますか?」
伊澄・美保
「誓います。」
2人は指輪の交換をした。
その後、ケーキ入刀などのイベントも終わり、バーチャルウェディングは終了した。
その夜・・・
エル
「ご苦労さま、2人とも!」
美保
「お腹空いちゃったね。」
伊澄
「何か食べに行きましょうか。」
設楽
「じゃあ、私は仕事が残っていますので・・・」
エル
「頼みますね、設楽さん。」
美保達3人は、出かけていった。
美保
「おいしかったわねー!」
エル
「ええ。」
伊澄
「外食もいいものね、たまには。」
美保達は教会に戻ってきた。
伊澄
「あら?あそこに倒れてるの、設楽さんじゃない!?」
美保・エル
「ウソ!?」
美保は設楽に駆け寄った。
エル
「美保?」
美保
「背中を刃物でひと突きにされてる・・・即死だわ・・・」
伊澄・エル
「そ、そんな・・・」
美保
「ん?何かしら、この紙切れ・・・」
美保は1枚の紙切れを拾い上げた。
紙切れには、『シ ミ ソ ミ シ ミ シ ソ シ ミ』と書かれていた。
美保
「ダイイング・メッセージ・・・」
翌日、京都府警が到着し、現場検証が始まっていた。
内海祐『京都府警 警部』
「刺殺されたのは、設楽源次郎26歳・・・若手のピアノ調律師か・・・で、第一発見者が・・・」
美保
「私と伊澄とエルよ、内海さん。」
内海
「はぁ・・・どうしてこう君達の回りには事件がよく起きるんだ?」
伊澄
「アタシ達が悪いんじゃないわよ。」
エル
「ま、この人ウチに来る前は、けっこう悪い事いろいろしてきてるみたいだから・・・その線で犯人がいてもおかしくないわね。」
内海は、頭をかいた。
内海
「で、美保ちゃん。被害者の死亡推定時刻はわかったのかい?」
美保
「ええ、設楽さんの死亡推定時刻は、昨夜の7時から11時30分の間・・・ちょうど、私達が夕食を食べに出かけていた頃よ・・・」
内海
「ふむ、一緒にいたのなら、君達にはアリバイがあるね。」
美保
「昨日バーチャルウェディングに来てた人の中で、アリバイが怪しいのはあの4人だけなの?」
内海
「ああ・・・柳沢輝明、根本政志、日川光子、和賀光弘・・・あの4人だけだ。」
美保
「じゃあ、内海さんは彼らに事情聴取をしてて。私はその間に、ダイイング・メッセージの謎を解くから・・・」
内海
「ああ、頼むよ・・・どうもああいう凝った暗号は苦手でね・・・」
内海はそう言うと、柳沢達4人を別室に誘導していった。
美保
「さて、このダイイング・メッセージの謎を解き明かさなきゃね・・・」
伊澄
「美保、わかるの?」
美保
「まぁね。」
エル
「これって、曲とかの名前なんじゃない?」
美保
「じゃ、一度弾いてみますか。」
美保はイスに座ると、ピアノを弾き始めた。
シ〜ミ〜ソ〜ミ〜シ〜♪
ミ〜シ〜ソ〜シ〜ミ〜♪
伊澄
「ぜんぜんわかんないわね・・・」
エル
「やっぱり、曲名じゃないのかしら・・・」
美保
「・・・ん?」
美保は鍵盤と、紙切れを見比べた。
美保
「・・・」
伊澄
「美保、どうしたの?」
美保
「そうか、そうだったんだわ・・・」
エル
「じゃあ、美保・・・」
美保
「ええ、何もかもわかったわ・・・今、迷宮の鍵はすべて開いた!!!」
美保は伊澄とエルと共に、内海の所に向かった。 |