ファイル11:回想シーン・・・消えなかった証拠『哀編』
歩美
「わー、かわい〜♪キャハハ♪」
光彦
「柴犬の雌ですね!」
元太
「コイツの名前何ていうんだ?」
周防照美21『平次の父の友人の娘』
「アドラーよ!シャーロック・ホームズが愛した女性、アイリーン・アドラーからとったのよ!」
歩美
「じゃあ哀ちゃんとコンビを組めば、世界一の女探偵事務所ができちゃうね!」
哀
「ちょっと、犬と一緒になの?」
光彦
「いいじゃないですか!女の子らしいカワイイ発想で!」
元太
「オマエ、ぜいたく言い過ぎなんだよ・・・」
哀
「ハイハイ・・・」
平次
「いやー10年ぶりに来ると町も変わるもんやのー・・・」
照美
「新しい駐車場の場所、わかった?あの辺りは入り組んでいてややこしいから・・・」
平次
「コナン君が地図を見ながらナビをやってくれたんで、迷わずに済みましたよ・・・」
アドラー『ウゥゥ・・・ワンワンワン!!』
平次・コナン
「わっ!!」
照美
「ちょっとアドラー!やめなさい!アドラー!!変ねぇ・・・いつもはこんなに興奮しないのに・・・」
哀
「ねえ、服部君・・・」
平次
「え?」
哀
「もしかしてさー・・・ここへ来る前に犬に触ったでしょ?しかもこの柴犬より大きい雌犬に・・・」
平次
「あ、ああ・・・今朝、近所の友人が連れて来たドーベルマンにコナン君と2人で・・・そやけどどうしてそれが・・・?」
哀
「服部君のズボンに毛がついてたし、犬は臭いでその犬の大きさや性別を識別できて、互いに同姓同士で自分より大きいとわかったら、敵意を持つ事があるのよ・・・それに、服部君と江戸川君は、いったんこの玄関まで車を止め直すように周防さんに言われて、引き返したでしょ?だからアドラーは、服部君と江戸川君は『自分の主人に追い返されたのに再びのこのこやって来た主人の敵だ』と錯覚したってワケよ!」
歩美
「へー、そうだったんだー・・・」
元太
「けっこうバカだなオマエ・・・」
光彦
「少々うっかり者な所は灰原さんに似てるかもしれませんねー・・・」
哀
「(おい・・・)まあ勘弁してあげてよ、犬の習性で勘違いしただけだから・・・」
コナン
「仲間外れの危険人物・・・ボクと君の場合・・・案外勘違いじゃないかもしれないね・・・」
哀
「あ、ちょっと・・・江戸川君・・・」
コナン
「なーんてね・・・」
ゴニョゴニョ・・・
哀
「?」
綱崎良久39『愛犬家』
「それと、アドラーが吠え続けたのにはもう1つ理由がある・・・君がアドラーを制止する声だよ・・・あれじゃあ生ぬるい!しかる時はしっかりしからないと、犬は主人が自分の行動に声援を送っていると思ってしまうからね・・・以後、気をつけなさい!」
平次
「この人は?」
照美
「愛犬家同好会で知り合った綱崎さん!今日来た理由は、平次君達と同じよ!」
元太
「おぉ〜っ!!カックイー!!」
歩美
「私このお人形さん!」
元太
「オレこの飛行機もーらい!」
光彦
「じゃあボクはアンティークなこの砂時計を・・・」
平次
「でもええんですか?あんな高そうな物を・・・」
照美
「ええ・・・死んだ祖父が海外旅行中に道楽で買い集めた物だから、中には掘り出し物があるかもしれないけど・・・ウチの家族は全員骨董品に興味はないし、売るのはちょっと祖父に悪いから、知り合いに譲る事にしようと父と母が・・・」
平次
「そういえばその2人の姿が見えんが・・・」
照美
「父母は昨日から新しく建てた家の方に引っ越しの準備に行ってていないのよ・・・仕事の都合で私がイギリスに住む事になって、2人は老後のために父の弟がいる田舎に引っ込む事にしたんで、家主がいなくなるこの家の中身をいろいろ処分する事にしたのよ!」
平次
「ヘー・・・」
照美
「まあ私が向こうに持って行くのはアドラーだけで、父と母が持って行くのも・・・母の愛犬のこの『リーン』ぐらいだけどね!」
リーン『アンアン!』
歩美
「わー!」
光彦
「パピヨンですね!」
哀
「『アドラー』と『リーン』がいるんなら『アイ』もいるんじゃないの?」
照美
「父が飼ってたシェパードが『アイ』だったんだけど、2年前に病死しちゃってね・・・」
哀
「あ、そう!」
歩美
「でも大丈夫だよ、哀ちゃんがいるもの♪」
哀
「(どういう意味よ歩美ちゃん・・・)」
良久
「しかしいつ見てもいい毛並みだ!さすが大賞を取っただけの事はある!」
平次
「大賞?」
照美
「母が出したコンクールでたまたまね・・・」
良久
「いやいや、その場で200万で売ってくれと言う人もいたぐらいの名犬でね・・・」
平次
「に、200万・・・」
土佐本東也30『愛犬家』
「ホント優雅で気品のあるワンちゃんだコト・・・甘え上手でワガママで、ギロチンにかけられたあのフランス王妃にソックリだ・・・」
照美
「と、土佐本君?」
東也
「ああ、ごめんなさい・・・玄関のドアが開いてたから勝手に上がらせてもらったよ・・・君のお母様が好きな物をくれるって言ってたからね・・・とりあえずこの居間はあの大きな花瓶以外は興味ないから、後は皆さんでお好きにどうぞ・・・悪いけど勝手に物色させてもらうよ・・・」
平次
「彼も愛犬家仲間ですか?」
照美
「ええ・・・前はあんな人じゃなかったんだけど・・・」
良久
「フン・・・自分の犬がコンクールでこのリーンに負けたんで、ふてておるんだよ!おお、いかんいかん!私が予約していた和室の時計を、あの男に横取りされかねん!あの時計は予約済みだと張り紙でもしておかねば・・・」
平次
「まるで税務署の差し押さえやのー。」
照美
「だよね・・・」
歩美
「ねえ!コナン君も何かもらったら?」
コナン
「え?」
光彦
「せっかくだからいただいちゃいましょうよ!」
元太
「おもしろい物いっぱいあるぞ!」
コナン
「そうだね・・・だったら、この子をもらおうかな・・・」
哀・平次
「え?」
コナン
「だってボクがマリーのように断頭台の露と消えたら・・・彼女の愛犬だったティスビーみたいに、ボクの後を追ってセーヌ川に身を投げてくれそうじゃない?ねえ?」
哀
「(おいおいおい・・・)」
照美
「か、変わった男の子ね・・・」
平次
「え、ええまあ・・・」
平次
「こら、哀ちゃん!少しは元気づけてやらんかい!大変やったんやぞ!あのバスの事件以来探偵事務所から出たがらん工藤を、電話で説得してここに連れて来るのは・・・」
哀
「変ねぇ・・・あの後バスの乗客全員に事情聴取したけど、身元不明の怪しい人物はいなかったって佐藤刑事が言ってたから、心配ないってちゃんと電話で伝えたのに・・・」
平次
「そやけど、工藤の怯えようは尋常やないぞ!蘭ちゃんやおっさんの話やと、食事もあまり口にせんしロクに寝とらへんみたいやし・・・」
哀
「とにかく、今言えるのは・・・もし仮にあのバスの中に組織の仲間が乗っていたとしても、偶然乗り合わせただけで、工藤君の存在には微塵も気づいていないって事だわ・・・あれから10日もたってるんだ・・・気づいていたとしたら、私達はもうとっくに殺されているはずよ・・・バスに一緒に乗ったあの子達と共に・・・」
ゴニョゴニョ、ゴニョゴニョ・・・
哀
「(ちょっと、またかよあなた達・・・)」
照美
「平次君も遠慮せずに気に入った物があれば持って行っていいのよ!」
平次
「そうやなぁ・・・じゃあ、このステレオでも・・・」
照美
「あ、ごめんなさい!それには先客がいて・・・」
アドラー『ワンワンワン!』
照美
「ア、アドラー!?ダメじゃない、土足で上がって来ちゃ!!」
ハグ!
タタタ・・・
照美
「ちょ、ちょっと・・・」
ズザッ。
照美
「あ・・・」
蓮野美樹20『愛犬家』
「ごめんなさい・・・何度も呼び鈴をならしたんですけど、壊れているみたいで・・・アドラーが気を利かせて呼びに行ってくれたんです・・・だからアドラーを怒らないでやってくださいね・・・」
照美
「あ、いやこっちこそ気づかなくて・・・」
美樹
「さあ、アドラーと遊んでおいで・・・」
タタタ・・・
歩美
「わー、とっても仲良し!」
光彦
「シェットランドシープドッグですね!」
美樹
「ああ・・・名前はシャーロック!」
哀
「(なるほど、コナン・ドイルが生んだヒーローとヒロインか・・・いいコンビだわ・・・)」
平次
「もしかして彼ですか?ステレオの先約者は・・・」
照美
「ええ・・・」
美樹
「妹の高校入学祝いにどうかと思いまして・・・」
東也
「どうでもいいけど、早めにあの2匹離した方がいいんじゃない?子供ができても混血種じゃ高く売れないよ!」
良久
「フン、よけいな心配だよ、どうせもうすぐアドラーはイギリスに行ってしまうんだから・・・なあ周防君?」
照美
「ええ、まあ・・・」
ボーン、ボーン・・・
ピョイッ!
タッ!
コナン
「あ・・・」
タタタ・・・
歩美
「どうしたのリーン・・・」
照美
「おやつの時間だからよ!私の母さんは毎日昼の12時に、リーンの大好物のチーズを与えてたから・・・そうだ!おもしろい物を見せてあげるよ!」
照美
「私のおじいちゃんも犬が大好きでね・・・私の母さんは死んだおじいちゃんにもリーンの姿を見せようと、和室の仏壇の前でたまにおやつを与えてたのよ・・・ても、その内リーンはその事を覚えてしまってね、和室の時計が12時の鐘を鳴らすと和室に先回りして座布団を敷いて待つようになったのよ・・・」
歩美
「座布団?」
照美
「ええ、リーンは赤い座布団が大好きで・・・それを仏壇の前に自分で持って来るのよ・・・」
光彦
「でも時計の鐘は夜中の0時にも鳴るんじゃないんですか?」
元太
「リーンがまちがえて待ってたらどうすんだ?」
照美
「大丈夫!そうなるかもしれないから時計屋さんに頼んで、昼の12時にしか鳴らないようにしてもらったから・・・」
良久
「でもいいのかね?そんな大切な時計を私がもらっても・・・」
照美
「ええ・・・母もそろそろ甘やかすのはやめて、食事は朝と夜の2回にしようと言ってましたから・・・」
ガラッ。
照美
「さあ見てごらん!座ってるでしょ?リーンが赤い座布団の上にチョコンと・・・」
歩美
「いないよリーン・・・」
元太
「赤い座布団も出てねえぞ・・・」
照美
「え?」
光彦
「もしかして赤い座布団が紫の座布団と重なっていて、敷けなかったからじゃないでしょうか?」
照美
「いや、いつもなら積み上がっていても赤い座布団を口で引き抜いて敷いてたから・・・変ねぇ?どこ行っちゃったのかしら・・・」
平次
「とにかくみんなで手分けして捜しましょう!変な所に入って動けなくなっていたら大変や!」
元太
「リーン〜?」
歩美
「どこ〜?出て来てリーン〜!!」
哀
「どこにもいないわね・・・」
タタタ・・・
コナン
「ねえ、いた?」
光彦
「いやいません!」
元太
「フロの中も捜したんだけどよ・・・」
『ワンワンワン!!ワンワンワン!!』
照美
「この鳴き声はアドラー!!すごく興奮してる・・・」
美樹
「シャーロックも一緒になって吠えてる・・・」
照美
「裏庭の方だわ!行ってみましょう!!」
アドラー・シャーロック『ワンワンワン!!』
哀
「しょ、焼却炉から煙が・・・」
照美
「あの焼却炉はずいぶん前に使うのをやめたのに・・・」
哀
「(ま、まさか!?)」
ガラッ。
哀
「(!靴!?)」
タタタ・・・
哀
「(まさか・・・まさか・・・まさか・・・)」
ゴソ!
哀
「!?(首輪!?)」
歩美
「ま、まさかそれ・・・リーンの・・・」
照美
「ウソよ・・・ウソよ・・・ああああああ・・・」
照美
「リーン!リーン!!リーン!!!」
哀
「大丈夫・・・焼けたのはこの首輪だけ・・・焼却炉には犬の遺体はないわ・・・それよりこれ、本当にリーンの首輪なの?見えなかったけど・・・」
照美
「ええ・・・つけている時は毛に隠れていて見えないのよ・・・こげているけど色も模様もまちがいないわ・・・この首輪は、おじいちゃんが昔飼っていたパピヨン犬のためにフランスから買って来た、かなり古い物だから・・・」
光彦
「ちょっと来てください!」
元太
「裏口の鍵開いてるぞ・・・」
平次
「なるほど・・・リーンをさらった犯人は、この裏口から逃げたというワケやな・・・」
美樹
「でも、どうして首輪を焼却炉なんかに・・・」
東也
「首輪を外して他のパピヨン犬と見分けをつかなくさせたんだよ・・・飾りのついた変わった首輪だったから・・・」
良久
「リーンは雑誌にも載る有名な犬だったからなぁ・・・おそらくそれをみた誰かが・・・」
東也
「今頃どこかで犯人と散歩してるかもしれないね・・・」
哀
「それはないと思うよ・・・だって犬をさらって早く逃げなきゃいけない犯人が、わざわざ首輪を焼却炉で燃やして自分が逃げた道順を教えるワケないじゃない!きっと犯人は、家の外に逃げたように見せかけたかったのよ!」
コナン
「じゃあ、リーンはまだ・・・」
哀
「ええ・・・犯人によってこの家のどこかに隠されている可能性が高いって事よ!」
平次
「おい、だとしたら・・・」
照美
「まさか犯人も・・・まだこの家の中にいるって事に・・・」
良久
「おいおい、まさか我々を疑っているんじゃないだろうね?」
東也
「でもそのお嬢ちゃんの言う通りなら、犯人は決まったも同然だね・・・ホラ、見てみろよ!焼却炉のそばに放り出されてるあの靴を!!」
美樹
「これボクの・・・どうして?」
東也
「しらじらしい・・・焼却炉のそばに行く時に足に泥をつけたくないから、君が玄関から持って来た靴なんじゃないの?蓮野君って、この家に来たのは一度や二度じゃないんだろ?だったら君が買ってるこのシェルティに靴を玄関からここに持って来させて、再び玄関に戻す訓練ぐらいできるよね?ても戻る途中で首輪の焼ける臭いに驚いて、口にくわえてた靴を思わず離しちゃったってところかな?」
哀
「とにかく、もう一度みんなでリーンを捜してみましょうよ!私達子供は周防さんと捜すから・・・服部君はその3人と一緒に捜してよ!」
平次
「あ、ああ・・・」
哀
「ちょっと、服部君、気をつけてよ・・・」
平次
「ん?」
哀
「首輪の状態から見て、犯人はベルトを外さずに刃物で切断した形跡がある・・・妙な素振りをするヤツがいたら、すぐにバッジで私に教えるのよ!」
平次
「ああ、わかった!」
元太
「でもよー灰原・・・どこ捜すんだよ?」
歩美
「さっき家の中ほとんど捜しちゃったよ?」
哀
「今度は、犬が隠れそうな場所じゃなく、人間が犬を隠しそうな場所を捜すのよ!」
光彦
「そうだ!アドラーに手伝ってもらいましょう!」
哀
「え?」
光彦
「鼻ですよ!犬の鼻は、人間の何百倍も利くんです!だからアドラーにいなくなったリーンの臭いを嗅がせれば、見つけ出してくれるはずですよ!」
照美
「ホラ、持って来たよ!リーンの寝床に敷いてあるクッション・・・」
哀
「でもねぇ・・・ふつうの柴犬がそんな事・・・」
照美
「いや、もしかしたらうまくいくかもしれないよ!父さんがよく、ふざけてこんな事をさせてたから・・・」
ダッ!
光彦
「和室に入って行きますよ!」
歩美
「じゃあリーンはあそこに!!」
歩美・元太・光彦
「え?」
ヒョコ!
アドラー『クゥ〜ン!』
歩美
「赤い座布団・・・?」
光彦
「そういえばリーンが好きなのも赤い座布団でしたよね?」
哀
「(あら?変ねぇ・・・さっき見た時は赤い座布団は2枚だったのに・・・この座布団を加えると3枚だわ・・・1枚増えてる・・・)」
照美
「やっぱりムリなのかしら?」
哀
「ねえ、アドラーがイタズラで靴を隠すなんて事あった?」
照美
「いや、その逆はあったけど・・・アドラーがまだ子犬の頃の話だけど・・・私が立ち上がると散歩に連れてってもらえると思って、玄関に先回りして下駄箱から私の靴を出して待ってた事があったのよ・・・散歩の時によくはいてたスニーカーを・・・まあ、必ずしもそうじゃないとわかってからは、やらなくなったけどね・・・」
歩美
「でもすごーい!」
光彦
「やっぱりアドラーはただの犬じゃありませんよ!」
元太
「ホラ、もう一回リーンの臭いを嗅いでみろよ!」
アドラー『!』
タタッ!
元太
「お、わかったみたいだぞ!」
歩美
「でも居間の前で止まっちゃったよ?」
光彦
「何か考えてるみたいですね・・・」
トトト・・・
歩美
「あ・・・」
元太
「玄関の方に向かってるぞ!」
歩美
「あれ?外に出ちゃったよ?」
光彦
「リーンを外に連れ出したんですよ!よーし今度こそ!」
元太
「リーンの居場所が・・・」
ペロペロ・・・
アドラー・シャーロック『クゥ〜ン♪』
元太
「何だよ、オス犬とじゃれてるだけじゃねえか・・・」
歩美
「きっと捜すの飽きちゃったんだよ!」
光彦
「仕方ないですね・・・」
哀
「ねぇ・・・リーンが怒られてよく隠れた所とかないの?」
照美
「え?」
哀
「もしかしたら、犯人に無理矢理首輪を外された時に、驚いて自分でどこかに隠れちゃったかも・・・」
照美
「リーンは母さんに甘やかされてたからねぇ・・・アドラーはよく私のベッドの下に隠れてたけど・・・」
哀
「ベッドの下に?」
照美
「ええ・・・リーンを飼い始めた頃はよくアドラーをしかってたよ・・・居間で子犬のリーンをあやしてたら、アドラーが嫉妬して居間のクッションを食い破ったりしたからね・・・まあ今は、仲良くなったけどね・・・」
歩美
「へー・・・でもリーン、どこかに隠れてふるえてたらかわいそう・・・」
コナン
「そうだね・・・いつかは見つかるかもしれない恐怖に怯えて隠れ住むぐらい、つらい事ないもの・・・」
哀
「ちょっと、いい加減にしなさいよ!スネてるの?」
コナン
「別に・・・何も策を持たない楽天家さんに、この危険な状況を教えてるんだよ・・・どういう理由かはわからないけど、ヤツらの仲間がジャックされたあのバスの中にいたのは確かだよ!もしあの時オレの正体が少しでも気づかれていたとしたら・・・オレもオマエもみんなも・・・」
哀
「心配しないでよ!あなたの正体は絶対バレちゃいないから・・・」
コナン
「どうして?どうしてそんな事が言えるんだよ!?」
哀
「あなたが臭いで不審人物をかぎ分けられるように・・・私にもわかるのよ!殺気を持った組織のヤツや人物の気配が・・・女のカンってヤツでね・・・まあ、その気配の主がわかれば苦労はしないけど・・・少なくともあのバスの中にはいなかったわよ?あなたにその殺気をみなぎらせてるヤツはね・・・」
コナン
「・・・」
哀
「何よその顔・・・私のカン、バカにしてるの?」
コナン
「ちがうよ・・・あきれてるだけだよ・・・」
哀
「あ、そう・・・」
ゴニョゴニョ、ゴニョゴニョ・・・
哀
「(とにかく、もう一度思い出してみよう・・・リーンがいなくなった時の事を・・・リーンは昼の12時の時計の鐘と共に、おやつがもらえる和室へ向かい、私達の視界から消えた・・・その後私達は全員、おやつのチーズをキッチンに取りに行った周防さんの後について行き・・・そして和室に行ってリーンがいない事に気づき、みんなと手分けして家の中を捜す事になった・・・家の中はだいたいこうだわ・・・誰がどこを捜したかまではわからない・・・でもどうやって隠したの?偶然、捜してる最中に犬を見つけてどこかに隠したとしても、犬が吠えたら気づかれちゃう・・・それに隠したとしてもどうやってこの家から持ち出す気なの?小型犬といっても、誰にも気づかれず服の中に隠して持ち運べるような大きさじゃないし・・・)」
光彦
「引っ越しどころじゃなくなっちゃいましたね・・・」
照美
「ええ・・・」
哀
「(引っ越し?)ねえ、引っ越しするからいらない物を私達にくれるって言ってたけど、今日持って帰っていいの?」
照美
「ええ・・・」
哀
「他のみんなもそうなの?」
照美
「いや、綱崎さんの柱時計は明日自宅に送る事になっていて、蓮野君のステレオは10日後の私が引っ越す前日に・・・普段使ってないから、すぐに送るって言ったんだけどね・・・2人が今日来たのは、納戸から骨董品がまた出て来たからそれを見に来たんだけど、突然来た土佐本君は、性格からしてあの花瓶を今日持って帰るんじゃないかしら・・・」
哀
「(あの花瓶、確か居間にあったわね!)」
ダッ!
タタタ・・・
哀
「(まさかあの花瓶の中に・・・リーンを・・・)」
バサッ。
哀
「(んなワケないか・・・10日後に郵送されるあのステレオのどこかに生き物を隠すワケないし・・・和室の柱時計にしても・・・あんな中に犬なんか隠すのは不可能だし・・・あら?あ・・・あの柱時計・・・5分遅れてる!!)」
元太
「んー?何だこの綿みたいの・・・」
コナン
「何かの科学繊維みたいだね・・・」
哀
「(これ、私もどこかで見たような・・・あ!しょ、焼却炉だわ!!)」
ガサゴソ・・・
哀
「(さっき調べた時は、燃え残ったただのゴミかと思ったけど・・・まちがいないわ、コイツはグラスウール・・・吸音材だわ!!なるほど?犯人はあれを使ったってワケね・・・わかったわよ、リーンの居場所が・・・そこへ隠した方法も、その目的も・・・そして犯人の正体もね!!)」
良久
「おお、もうこんな時間か・・・私はそろそろおいとまさせてもらうよ・・・」
東也
「じゃあオレも・・・夕飯の仕度があるし・・・」
ボーン、ボーン・・・
平次
「こ、この音は・・・」
美樹
「和室の時計の鐘の音・・・」
照美
「昼の12時にしか鳴らないはずなのに・・・いったい、どうして!?」
タタタ・・・
照美
「あ、哀ちゃん!?」
元太
「うまくいったぞ灰原!」
光彦
「じゃあボク達は居間で準備してきますから!」
哀
「ええ!」
照美
「準備って?」
哀
「これから実験するのよ!本当に犯人が誰にも気づかれずにリーンの姿を隠す事ができたかどうかのね・・・もちろん、実験の主役は・・・このリーンよ!!」
リーン『アンアン!』
照美
「リ、リーン!!」
美樹
「見つかったんだね!!」
哀
「さあ、実験してみましょうよ!リーンが私達の目の前からいなくなった、広間前の廊下から・・・」
哀
「よし、円谷君、そろそろいいわよ!」
光彦
「了解しました!」
ボーン、ボーン・・・
タッ!
タタタ・・・
哀
「そう・・・まずリーンは、この鐘の音を聞いて・・・いつものようにおやつのチーズがもらえる和室に向かった・・・リーン、今、どこにいると思う?」
東也
「バカバカしい・・・まだ鐘は鳴ってるし、いつも和室でおやつをもらってたんなら・・・和室で待ってるに・・・決まってる・・・」
ガラッ。
東也
「あれ・・・いないな・・・」
照美
「それに鐘の音、この和室からじゃない・・・」
哀
「音はこの居間からよ・・・」
照美
「居間って・・・まさか・・・そのステレオのスピーカーから・・・」
光彦
「はい!さっき和室で時計の鐘を鳴らした時に録音した音を、カセットデッキで再生したんです!」
平次
「じゃあリーンは時計の鐘の音に誘われて・・・」
哀
「音だけじゃムリよ、座布団もなきゃ・・・ホラ、リーンがおやつの時に自分で座布団を敷いてたって言ってたじゃない!」
照美
「でも、リーンが好きな赤い座布団ならさっき和室に・・・」
哀
「リーンは赤が好きなワケじゃないよ!犬の耳は人間の4倍、犬の鼻は人間よりはるかにすぐれているけど、目は色のほとんどを識別できないのよ!だからリーンはおやつの時にいつも使っている自分の臭いのついた座布団を出してただけで、それがたまたま赤かっただけよ・・・つまりリーンは、昼の12時に和室で待ってたんじゃなく、時計の鐘の音のそばでいつもの座布団を敷けばおやつがもらえると覚えてしまっていたのよ!そしてそれを犯人に利用されて、この居間におびき出されたってワケよ!リーンがいつも使ってた座布団はかんだ跡があるから、犯人にもすぐに見分けがつくしね!」
東也
「でもオレ、綱崎さんと真っ先にこの居間に捜しに来たけど何もなかったわよ、座布団も犬も・・・ねえ?」
良久
「ああ・・・」
哀
「あるじゃない、いい隠し場所が・・・」
東也
「え?」
哀
「ホラ、ステレオの裏の・・・こんな所に・・・」
ムシャムシャ・・・
照美
「ス、スピーカーの裏!!」
リーン『アンアン!』
哀
「犯人はスピーカーの内側にある吸音材をあらかじめはがしておき、できたスペースにリーンの座布団を敷いてその上にチーズを乗せたのよ・・・もちろん、その仕掛けをする右のスピーカーは音が鳴らないようにしてね・・・そして、録音しておいた時計の鐘の音を左のスピーカーから出せば、リーンは座布団やチーズの臭いと鐘の音に惹かれて、裏板の開いた右のスピーカーの中に誘い込まれるってワケよ!」
平次
「そやけど、食べ終わったら出て来るんじゃ・・・」
哀
「眠らされていたのよ!チーズに睡眠薬を埋め込まれてね・・・」
良久
「しかし、そんなにうまくいくかねぇ・・・あの時和室の時計は12時だったから、和室でも鐘の音が鳴っていただろうし・・・」
哀
「鳴ってなかったと思うよ・・・だってあれ、夜の12時だったんだもん!あの柱時計は昼の12時しか鳴らないようになっているから、時計の針を12時間進めれば鐘は鳴らないわよ!」
照美
「でも、いったい誰がこんな事を?」
東也
「決まってるじゃない!このステレオをもらう事になっていた蓮野君以外考えられないよね?あのワンちゃんをスピーカーの中に入れて盗み出す気だったんじゃないの?」
哀
「ちがうよ!だって、あのステレオが郵送されるのは10日後でしょ?そんな物の中に生きた犬を閉じ込めるワケないじゃない!」
平次
「だが、いくら死角でもスピーカーの裏板が外れていたらすぐに見つかるで?ステレオの裏なんて真っ先に捜しそうな所やし・・・」
哀
「そう・・・だから犯人は真っ先にこの居間に来て、裏板をはめ直してリーンを隠したのよ・・・そうよね?綱崎さん?最初にここに捜しに来たっていう綱崎さんなら、ステレオの裏を捜すフリしてそんな事簡単にできるわよね?」
東也
「そういえばあなた・・・あの時ステレオの裏をのぞいてこっちにはいないって言ってたよな?」
哀
「たぶん綱崎さんは、おやつの時のリーンの週間を周防さんの両親に聞いてたのよ・・・このステレオを普段あまり使ってないって事も・・・そして以前この家に来た時に鐘の音を録音し、スピーカーの吸音材をはがし、裏板を外したままにして、リーンを隠す準備を整えていたのよ!スピーカーの音がおかしいとでも言えば、ステレオの裏で怪しまれずに作業できるし、リーンのおやつに立ち会えば、鐘の音も録音できるしね・・・そのテープと座布団をステレオに仕掛けたのは、ちょうど12時前に蓮野さんが訪ねて来て、私たちが玄関先に集まっていた時・・・そして姿を消したリーンを捜すフリしてスピーカーの裏に回り、睡眠薬で眠っているリーンから首輪を外し、座布団を回収して裏板を閉めたのよ・・・後は和室に座布団を戻し、進めておいた時計の針を正確な時間に戻し、首輪を焼却炉で燃やして裏口を開けておけば、忍び込んだ誰かがリーンをさらって裏口から逃げたように見えるってワケよ!それに綱崎さんははがした吸音材も焼却炉で燃やしたかったみたいだけど、あれは断熱材にも使うグラスウール・・・ほとんど燃えずに焼却炉に残ってたよ!」
コナン
「なるほどねー・・・だからアドラーはリーンを捜させた時に和室の座布団をくわえたんだね・・・犯人が和室に戻したリーンの臭いが一番強く残っているあの赤い座布団を・・・」
歩美
「でもアドラー、どうして臭いでわからなかったのかなぁ?スピーカーの中にリーンがいるって・・・」
哀
「わかってたけど入れなかったのよ!この居間はアドラーには前にひどく怒られたイヤな部屋だから・・・」
良久
「でもねぇお嬢ちゃん・・・スピーカーにリーンを隠しても私には何の得も・・・」
哀
「綱崎さんが欲しかったのはリーンじゃなく、リーンの首輪についてた・・・」
ゴソ!
哀
「この宝石でしょ?」
東也
「ほ、宝石!?」
哀
「おじいさんがフランスから買って来たかなり高価な代物よ・・・」
平次
「どこにそれが?」
哀
「柱時計の時間を調節する振り子の裏よ!3時に見た時は3分、5時に見た時は5分、急に1時間に1分ずつ遅れ始めたからわかったのよ・・・振り子の裏に何かが取り付けられてるって事も・・・それを取り付けたのがあの柱時計をもらう事になっていた・・・綱崎さん・・・あなただって事もね!!」
良久
「くそ!!」
ドカッ!
照美
「キャッ!」
ダッ!
アドラー・シャーロック『!』
ダダダダ・・・
照美
「ア、アドラー!!」
美樹
「シャーロック!!」
ザッ!
良久
「え?」
バッ!
アドラー『ワンワン!!』
カプ!
シャーロック『ワンワン!!』
良久
「こ、この・・・」
哀
「殴るなんてできないよね?綱崎さん、犬が好きだから・・・だからリーンを殺さなかった・・・スピーカーの裏板のネジを止めなかったのも、リーンが目を覚ました時に外に出やすくするためでしょ?」
照美
「でも綱崎さん・・・どうして・・・?」
良久
「金だよ・・・増え過ぎた我が家の犬を養うために・・・金が欲しかったんだ・・・」
東也
「じゃあ、気に入った犬だけ残して売っちゃえばいいじゃない!!」
良久
「私の家にいる犬はほとんど捨てられていた雑種・・・売るどころか、引き取り手もいないよ・・・あの子達に残された道は飢え死にするか薬殺されるか・・・もう2つに1つしか・・・」
照美
「だったらコレ、もらっていただけますか?」
良久
「え?」
照美
「あなたのためじゃなく、あなたの家にいる犬のために・・・その方が、死んだ祖父も喜ぶと思いますから・・・」
東也
「・・・ったく、ずうずうしい!管理能力のない人間に飼われる犬の方がかわいそうだよ!」
平次
「まあまあ・・・もう犬は増やさんと約束した事やし・・・」
歩美
「でもアドラーもシャーロックもすごかったね!」
光彦
「逃げる犯人を挟み撃ちするなんて、警察犬みたいでした!」
哀
「本能よ・・・アドラーは主人の周防さんを突き飛ばした綱崎さんに向かっていっただけで、シャーロックは元々牧羊犬!シェットランドシープドッグは、群れから離れた羊を群れに戻すように育てられていたから、突然走り出す物の前に回り込んで止める性質があるのよ!」
元太
「オマエ、夢なさすぎるぞ・・・」
哀
「ハハ・・・」
平次
「しかしわからへんなぁー・・・どうして蓮野さんの靴が焼却炉の前に放り出してあったんやろう・・・」
哀
「!その犯人なら・・・きっとあの子よ・・・ホラ、」
歩美
「あ・・・」
パク!
照美
「アドラー!!コラ、アドラー!!」
アドラー『!』
ポロ!
照美
「いつからそんなイタズラを覚えたの!?おいアドラー!!聞いてるの!?」
ササッ!
照美
「アドラー!!!」
美樹
「ボクの事、嫌いになっちゃったのかなぁ?」
哀
「いや、ずっとここにいて欲しかったのよ!ねぇアドラー!ホラ、散歩の時にアドラーが周防さんの靴を勝手に出して待ってた事が前にあったって言ってたでしょ?あれでアドラーは、人間は靴を履かなきゃ外に出られないって学習しちゃったのよ!だから大好きなシャーロックを蓮野さんが連れて帰らないように、靴をどこかに隠そうとしたってワケよ!」
美樹
「まぁ・・・でも大丈夫ですよアドラー・・・ボクもシャーロックも君のご主人が行くロンドンへ行く事にしましたから・・・」
照美
「え?それじゃあ・・・」
美樹
「ええ・・・実は今日その返事を言いに来たんです!」
東也
「ああ、やっぱり君達・・・」
平次
「こりゃーめでたいのー!」
アドラー『クゥーン・・・』
コナン
「バカだね・・・もう誰も怒ってないから・・・安心しなさい・・・」
歩美・元太・光彦
「やったぁ!!」
歩美
「ずっと心配してたんだよ!」
元太
「オマエ最近元気なかったからよ!」
光彦
「だからみんなで相談してたんです!元気になる秘策を!!」
哀
「私抜きでかよ?」
歩美
「だってー哀ちゃん、いつもコナン君と口ゲンカしてるんだもん!」
元太
「やったなアドラー!」
光彦
「お手柄ですよ!」
コナン
「みんな・・・」
哀
「そうそう、いつもそういう顔してなさいよ・・・」
コナン
「え?」
哀
「そういう顔してたら、私達は子供にしか見えないんだからよ!」
コナン
「灰原・・・」
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