ラブる
今、僕の手の中には大変なものがある。核ミサイルの発射スイッチとか宝くじの一等当選くじとかオーパーツとか、それほど大変なものじゃあないけど、僕にとっちゃあ凄く大変なものだ。まぁ、殆どの人間にとっちゃあ大変なものだと思うな。
ずばり、それは何かっていうと、僕の右手にあるのは、彼女の右乳だ。何でか知らないけれどもいつの間にやら僕の右手は彼女の着ているティーシャツの下っかわからティーシャツの中に潜り込んでいて、僕の手は彼女の右乳をすっぽりと包んでいた。
彼女の、乳、うーん、まぁ、つまり、おっぱいは、それほど大きいわけでも、小さいわけでもなく、勿論、豊かとも言い難く、貧しいわけでも、哀れなわけでもないくらいのボリュームで、揉むには中々ちょうどのよいサイズだった。人間は元から温かいもんだから、当然、おぱいも熱を持っていて、しかし、その温度は温かいを通り超して、かなり熱かった。手触りはしっとりしていてすべすべで、そして、何かやったらとふやふやほわっほわっと柔らかかった。他の部分と同じお肉でできているっていうのに、何だってこんなに柔らかいものなんだろうねぇ。不思議なもんだよ。
「あ、んん、んぁ、ぁぁ」
殆ど初めて女性のお乳を揉むという稀有な体験をしていると(赤ちゃんの頃は揉むどころかむしゃぶりついて吸っていたのだろうけど、そのときの記憶はない。あっても嫌だけどね。お母さんのお乳だし)、揉まれている側の彼女、体をぴくぴく動かしながら、切れ切れに喘ぎ声を漏らしていた。
この喘ぎ声がまた僕の性的好奇心を高め、興奮させ、息子をぼ、起立させるのだ。これじゃあ、もう止まれないー止まらないー。僕だって、正常な性機能を持ち、性的感心の強い、思春期男子高校生(まだ未経験)だからね。
とはいえ、止まらないのは僕だけじゃあない。というか、僕より彼女の方が圧倒的に積極的だ。
僕が彼女の乳を弄くっている間に、彼女は僕の太ももをズボン越しに摩ったり、頭を撫でたり、耳に息を吹きかけたり、耳たぶをくわえて甘噛みしたり、首筋を舐めたりして、僕をぞくぞくさせていた。
「あ、んー、んんー、ぁぅー」
ここで読者諸兄には残念なお知らせ。この喘ぎ声は彼女のじゃない。僕の口から思わず出ちゃった声だ。がっくりするんじゃない。怒るんじゃない。だって、しょうがないじゃない。男だって、敏感なところを刺激されちゃうとそりゃあ喘ぎ声の一つもぽろっと出ちゃうことだってあるさ。
「君の喘ぎ声かわいい」
僕の耳元で彼女は囁き、にんまりと嬉しそうに微笑んだ。何だ。可愛く笑えるじゃん。何で、いっつもむっつり無表情なんかねー? まぁ、クールに無表情な彼女も素敵なんだけどね。と、彼氏一日目は惚気てみたり。
彼女はおもむろに椅子から立ち上がると、なおも椅子に座り続けている僕の上に腰を下ろした。この姿勢は経験がある。昼に保健室でこんな格好をやっていたような気がする。しかし、保健室でいちゃいちゃべたべたしていたときから、まだ半日しか経ってないのに、なんか物凄い時間が経過しているような気がするなー。時間の進む早さがすげー遅いよねー。何故だろう? 何故かしら?
さて、そんなことはさておく。原因を追究していくと、次元の壁を超えないといけないから、これは原因解明不可能といっても過言ではないからね。
「ふふふ」
僕の上に跨った彼女が密やかな笑い声を漏らした。彼女が声を出して笑うとは珍しい。まぁ、殆ど半日くらいしか彼女との交流経験はないんだけれども。
「ん? どーしたの?」
「嬉しいんだ。幸せなんだ」
彼女は眼鏡の奥の瞳を微かに潤ませながら、囁くように言った。
「何でさね」
「そんなこと、言わなくても分かるだろう?」
理由を問うと彼女は微かに顔を赤らめてぼそぼそと呟いた。こんなふうに照れられると、ますますその理由を言って欲しくなるねぇ。僕って微Sなんだと思う。たまに微M気質も出るような気がするけども。
「態度で分かれっていうのは男で、言葉にして欲しいのは女じゃなかったっけ?」
巷でよく言われることを言葉にしてみる。男はあれだよ。背中で語るもんなんだよ。ちょっと古いかな。最近の若い野郎連中はぺらぺらぺらぺら軽い言葉をデロデロ垂れ流す輩が多いからねぇ。なんて頑固なおっさんみたいなことを考えてみたり。
「言葉にして欲しいけど、言葉にするのは恥ずかしい」
確かに、その通りだねぇ。仰るとおり。
でーも、それで勘弁してあげるのはモッタイナイ。もっと意地悪したくなっちゃうなぁ。
「思ったことをはっきり言ってくれる子が僕は好きだなー」
独り言気味に呟くと、彼女は微かに赤いながらもいつもどおりの無表情顔で僕を見つめる。そして、口を開く。
「君と一緒にいるから。愛している君とこんなふうに一緒にいられることが嬉しくて、幸せで、しょうがないんだ」
おー。言わせといてなんだけど、なんつーか、にやにやしちゃうと同時に言われた方もものすごっく恥ずかしいなー。
「君は?」
「へ?」
「君は、どうだ? 私と一緒にいる今は、幸せか?」
彼女は僕の顔を両手で優しく包み、顔を近づけながら問いかけてきた。なんだって、そんなに顔が近いのかなー? 吐息が熱い。
「ん、んー。どうかなー?」
「ずるいぞ。私に言わせておいて」
彼女の鋭い眼光が僕の眼球にぐっさぐっさ刺さりまくる。彼女ってば真面目な顔するとやったらと目が恐いんだよねぇ。視線という非物理的なものが刺さっているはずなのに何故か眼球表面が痛みを感じているような気がしてきたよ。
「えーっと、まぁ、そーねー。まぁ、うん」
曖昧なことを言ってみるも、彼女はじとーっとした目で僕を睨み続ける。しょうがないので、彼女の求めに応えてあげることにする。
「まぁ、僕も君と一緒にいるのは心地よいよ」
「なんか軽い」
「僕の言葉は全部軽いのだー」
そりゃあもうヘリウム並みさ。もっと頑張れば水素になれるね。ただ、水素は爆発しちゃうから危ない。うん、これ、全然関係ねー。
「でも、それでも、嬉しい」
彼女は微笑みながら顔を寄せ、再び、僕らは唇を重ねた。勿論、その後、舌を入れ合い、唾液を混ぜ合い、といったディープなキッスになってしまう。今日初めてキスをしたっていうにこんなエロいキス覚えちゃうなんて、僕ってば全く駄目人間だなー。
キッスをしていると、まぁ、なんだか、不思議不思議。未だもってしつこく彼女の乳に当てていた僕の手が、指がわきわきと動き出す。いや、これは僕の意思ではないんだよ? でもね。なんか、脳味噌の奥底の本能みたいのが勝手に指に動けって指令を出しているんだよ。うん。たぶんね。
というわけでキスしながら彼女のお胸を弄ることにする。
暫く弄っていると、指先にいくらか固いものが触れた。これ、何だろなーなんて惚けたことを言う奴なんているわけがない。女体に触れたことがない奴でも、お胸の真ん中にあって、弄っていると固くなっているものの答えなんて分かるに決まってるでしょう。でも、それを言葉にしてしまうと、またぞろ宜しくないことになるかもしれないので、固有名詞は避けてみる。
まぁ、ともかく、それを指先で引っ掻いたり摘んだり弄くったりしてみると、彼女は面白いくらいに反応して、唇を離して、明後日の方を向いた。
ところで、明後日の方向ってどっち? てか、この言い得て妙なこの表現は誰が考えたのかしら? しかし、こんな話題はどーでもいいどころか邪魔なだけだ。読者諸兄は「んなこと考えてねーで、彼女の描写をしろ!」とか「もっとやれ!」などと考えていらっしゃることだろう。若しくは「大変けしからん駄文だ。公序良俗に反する。通報しよう」とか。前者の考えは大変歓迎的であり「同志よ!」と抱き合いたい気分だけれども、後者だけは勘弁して下さい。本当にマジでお願いします。
さて、そんなわけで、彼女は恥ずかしさからか何かからか知らないけど、顔を背けていた。するってーと、なんとも白く綺麗な喉が僕の目の前に曝け出されているじゃあありませんか。
その白さたるや夜のうちに平原に降り積もった処女雪の如く、或いはクリーニングしたてで糊のきいたパリッとしたワイシャツの如く。後者の比喩が変? でも、現実的でイメージし易いでしょう? まぁ、本当にそんなに白かったら健康な人間の肌じゃあないから、僕はこんなふうにでれでれしている場合じゃなくて、急いで救急車を呼ばないといけないから、実際の彼女の喉の色はもっと肌色してる。
そんな蛇足は置いといて、またぞろ僕の脳味噌の奥底にある本能みたいなやつは指を勝手にわきわきさせるだけでは飽き足らず、僕の口までをも支配下に置いた。具体的に描写すると、舌でべろっと彼女の喉を舐め上げてみた。
「ひゃぅっ!? ぁ、な、何して!?」
彼女は珍しく可愛らしい嬌声を上げて、僕は、違う違う、僕の脳味噌の奥底の本能みたいのはそれにだいぶ気をよくして、なおも彼女の首筋を舐め舐めする。
「く、んん、こちょばしい」
「いいからいいから」
おー。脳味噌の奥底の本能みたいのは、ついに僕を喋らせるほどに支配領域を広げているねぇ。と、あくまで、脳味噌の奥底にある本能みたいなやつのせいにしてみるけど、そんなことしても何の意味もないことは僕が一番よく理解してる。
とにもかくにも、彼女の喉は基本的にしょっぱくて、舌触りは大変滑らかですべすべで、とても舌に心地よく、なんとなく舐め始めてしまった僕の変態的行為は止めるに止められなくなってしまった。顎まで舐める範囲を広げたり、軽く喉を甘噛みしたり、舌を耳にまで伸ばして、耳たぶを口に含んだりと、顔の下半分を満遍なく舐めていく。ちなみに、指は休まず動いているさ。当然。勿論。
「く、ぅ、んん、んぁ、ね、ねぇ」
「んー?」
僕の頭を抱え込むように抱き締めながら、堪えた喘ぎ声を上げていた彼女が何か言いたげだったので、僕は彼女の耳たぶをはむはむする作業を少し和らげる。
「し、して」
「仕手?」
仕手っていうのは「行う人」っていう意味で、相談の仕手とか仕手相場とかいうふうに用いるんだって。よう分からんけど。
まぁ、当然、こんな場面で彼女が仕手とか言うわけがない。
耳たぶから口を離して、一旦、顔と顔の間の距離を開く。
彼女はいつの間にか驚くほど真っ赤に染まっていた顔で、涙で潤んだ、ぼんやりと霞がかった瞳で、僕を見つめながら、熱い吐息と共に囁いた。
「君に、して欲しい」
さぁー、どーする僕。
さぁ、どーする私。
先の展開はまだ思案中です。
どーにかこーにか危ないラインを超えないように終いにさせます。
あと少しで完結する予定です。
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