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  男前な友人 作者:siko
モテモテ柳瀬とトバッチリ神承
 そうして、腹を抱えて馬鹿笑いしている柳瀬を見ていたのだが、ふとあることに気づく。
 そう、先ほどまで聞こえていた女の子の掛け声が全くしないのだ。と、言うか、掛け声がしている場所って事は……。

 そうして主に素振りをして練習をしていた女子剣道部員の方を見ると、ほぼ全員が手を止めてこちらに注目していた。
 しかもその内の数人は視線で人が殺せたらと言うような呪詛をこめるような視線で俺のほうを見ている。

 そう言えばこの間変な噂を聞いた。
 
 女性からも人気の高い柳瀬。
 女子剣道部では、その柳瀬が手取り足取り丁寧に優しく教えてくれる物だから、今年はそれを目当てに入部するという不純な動機の女子部員が結構居るらしいという噂だ。
 そして、彼女のうちの何割かの痛い視線を感じる内にそれが、単なる噂ではなくて事実である事を何となく感じた。
 ああ、これはヤヴァイって。ようは俺はさっきからその「憧れのお姉さま」と胸をさわらせたり額をくっつけたりというスキンシップを楽しんでいたわけで、そりゃあ彼女たちにとっては俺は「にっくき邪魔者メ、つうかアンタ誰よ」ってなるよなぁ。
 ハァ、不味い事になったなよなあ、失敗した。

 だが、そんな心配もよそに笑ってる柳瀬……って!

「オイ! いつまで笑ってるんだよ! いくらなんでも笑いすぎだからっ」
「あ、ああっ。ごめんごめん。くくくくっ、だって、こんなに愉快だったのは久しぶりだったからさ。あのいつもスカしてる神承が私相手に顔真っ赤にしちゃってさ……くくく」
「はぁ、良い性格してるよな柳瀬はさ。この視線にも気づかないなんてさ」
「ん? 視線? 何の事?」
「いや、何でもないって。柳瀬は気にしないで良いから。それよりさ、こんな所で油売ってないで部長として部員たちの指導をしなくちゃならないんじゃねーの?」
「ふふっ、まあそれはそうなんだけどさ、でも神承が剣道部の方へ足を運んでくれるのなんて久しぶりなんだしもう少しだけ相手して……」


「柳瀬先輩!」

 ふと、横から声を掛けられる。
 声の方を見ると、少し背が低くて髪をポニーテールで縛った小動物的な感じの子が俺たちの近くまで来ていて柳瀬を見てる。
 あ、可愛いかも……。

「ん? なんだい荻原?」
「その、少し型の事や、動きの事で質問があるので、その……よろしかったら、ええと、その、少しだけ稽古をつけてくれませんかって?」

 そうして、やや俯きざまにモジモジとしながら頬を紅く染めて柳瀬に頼みに来る後輩の女の子。
 しかし、この様子からすると、この子もそっち系かぁ。好みのタイプだったし、こんな子が彼女だったらなぁ、とか思わないでも無いけど、「また」自分の好みのタイプの女の子は柳瀬が好きらしい。
 でも、もうこんな事には慣れたし、その事で友達の柳瀬を憎く思うはずは無いんだけれどね。

 まぁ、正直、少しは羨ましいと思うけどさ。

「うんうん荻原。熱心なのは良いことだよ。まあ指導して欲しいと言われれば私は部長だから断るわけには行かないし、そう言うわけで少し神承の相手はできないけど……良いかい神承? できれば神承には会わせたい人も居るし少しだけ待っていてほしいんだけど」
「あー、俺の事は気にするなよ。ゆっくり部長の仕事してきなよ」
「うん。本当、ごめん。あとで埋め合わせするからさ」
「ははっ、大丈夫だってどうせ暇だしさ。気にしないで良いよ。それからあまり気を使うなって」

 だって、ほら。柳瀬が俺に気を使う言動をするたびに部室内の一定数の女子部員からの痛い視線がチクチクと刺さるのだ。
 特に、柳瀬を呼びに来た荻原と言う女の子は凄く怖い顔で俺の方を睨んでるしさ。

「くっくっく、相変わらず良い奴だよな神承はさ。まあ、埋め合わせって事で今日何か帰り道で奢るからさ。それでよろしくって事で!」

 その一言でまた荻原と言う女の子の眉が釣り上がる。ううぅ、だからこの場所で俺に気を使うなと言うのに……胃が痛い。

「ああ、それより荻原?」
「はい!」

 おおぅ、急にスゲー笑顔。まさに180度ターン! 女って怖いなぁ。

「私は竹刀取って来るからさ、その間素振りして待っててよ」
「ハイ! お姉さ……っ、いえ、部長! 解かりました」
「尾根餌……? まぁ、なんでも良いか。じゃ、取ってくるから」
「ハイ」

 そう、凄い可愛らしい笑顔で柳瀬を見送る荻原と言う後輩の女の子。
 だが、2秒後にはこちらに振り向き……。

「フンッ!」

 そうはな息も荒く言ってこちらを睨みつけ、戻っていき素振りを始める荻原と言う少女。
 それ以外にも俺の方を見たり指差したりしてヒソヒソと何かを話したりしている子も結構居る。
 ハァ、もう。なんだって言うんだよさ、まったく。

 
短いです。
でも、こういう作戦、名づけてプチプチ作戦。
山も落ちも意味も無い話だけど息抜きで書き始めたんです。
それを忘れちゃいけない。
それに山オチ意味のあるところまで書いたら更新遅れちゃいますしね。

あ、あと感想ありがとうございます。とっても励みと力になります。
今後とも目を通していただけたら嬉しいです。
では。


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