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  男前な友人 作者:siko
男前な友人
「お、怠け者の神承じゃ無いか。神承も今から帰りなの?」

 む、俺を怠け者と呼ぶこの声は……。
 振り返ると体育館の入り口に1人の少女が腕を組んで立っていた。
 肩口で切りそろえられた黒髪にやや高めの身長。すっと伸びた背筋は彼女の存在を身長以上に大きく見せている。
 顔の造詣は間違いなく美人なのだがやや釣上がった強気そうな眉と目、通った鼻筋とニヒルに笑う口元が、彼女を必要以上に男前に感じさせる。

 ああ、コイツは、物思う俺が今一番会いたくなかった「一つの目的のために努力する事で青春を謳歌している」羨ましい奴だ。
 いや、凄く良い奴だし友人としては気に入ってるんだけどね。
 

「別に自分の事を怠け者だと思ったことは無いけど、確かに今から帰りだ。神承も……ってことは柳瀬やなせも剣道部はもう上がったのか?」
「うん、私も。何故か部員全員の調子も上がらなくってさ。いつもより少しだけ早く上がりになったのさ」
「ふーん、練習が早く終わって良かったな」
「いや、私は神承と違って別に怠け者じゃないからね。別に長い練習が嫌だ何て思っては無いさ」

 そうやってクックックと人が悪そうに笑うコイツは俺の友人の柳瀬祐やなせ ゆう。三年生を差し置いて女子剣道部部長を務めるツワモノだ。
 いや、その腕前も中々の物なのだけど、まあ少なくともそれなりに強豪である我が校の剣道部の中でも断トツの腕前ではあるのだけど、それだけではなく性格も豪快で、まさに姉御肌と言うか、いや、それを超えて男前と言うか、そう言う性格の女だ。
 そのせいか下手な男よりも女性にモテて、去年女の子から貰ったバレンタインのチョコの数は我が校一のイケメン瀧川君を差し置いて見事校内一位を獲得したらしい。
 本人は「私はノーマルなのに……貰っても、お返しが……お、お金が、足りない……」ってボヤいてたけどな。
 全く、少しは分けてほしいぜ。

「そうかよ。まあいい、じゃあ俺は帰るから」
「おっと、そうだ。ちょっと待ってくれない神承? 三分間で支度するから一緒に帰らない? 方向同じじゃん」
「ん、まあ良いけど奢らないぞ?」

 コイツと一緒に帰ると何故か買い食いすることが多くなって今月は結構使ってしまったのだ。

「ああ、大丈夫、今日はそんなにお腹も減って無いしね。あ、缶コーヒーくらいだったら奢るから、だから待っててくれない?」
「お、マジで? らっきー、奢ってくれるなら待ってるよ」
「くっくっく、相変わらず付き合いが良いね神承。じゃあ、すぐ来るから待っててよ」
「おう」

 そう言うと体育館の中へと戻っていく柳瀬、そう言えば剣道部室は体育館の中だもんな。もうしばらく、行って無いけど。
 あ、ちなみに剣道部の練習スペースは部室から少しだけ離れてて体育館に隣接されてる闘技場だ。しつこいようだけどしばらくは行って無いけど。
 でも部室は体育館内なんだよね。

 ああ、それにしても喉が乾いたなぁ。早く柳瀬来ないかなぁ。
 はぁ、暇だし、1人ぼーっと夕陽を眺めるかな。だって他にすることが無いんだもん。

 ぼーーっ。




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