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  男前な友人 作者:siko
プロローグ
 授業時間が終わってから3時間程が過ぎて、下校時間が迫る。
 図書室で本を読んで時間を潰していたが、下駄箱まで降りてきて来て夕暮れに染まる空を見上げながら、俺、神承武かみじょう たけるはふと考えた。

 いや、バランスを取るって言うのは難しい事だよな。

 高校二年の俺は、まさに人生の曲がり角に居るわけだ。これからどうなって行くのか、自分はどんな道を進むのか。まさに今する決断によって俺が歩む道は大きく別れていくのだから。
 さて、まず文系にしようか、理系にしようか、それすらも決まっていない。

 周りの奴らは、恋愛に、勉強に、趣味に、部活にと、やりたいことを見つけてそれぞれに青春を謳歌しているように見える。
 だが、俺はと言うと……特に興味のあることは無い。やりたいことも、見つかってない。

 何となく中学を卒業して、何となく高校へ入学して、そしてそれなりに勉強して日々を無意味に過ごしている。
 いや、無意味かどうかは解からない。敢えて言えば生きるために生きている感じだ。

 何事も目的も無い、好きな事も、好きな人、いや、友人は居るしそう言う意味で好きな人はたくさん居るが、恋愛経験も無い。
 特別に不幸ではないし毎日がつまらないという事も無い。

 でも、目的が無いのだ。人生の目的といえる物が。
 別に、特別な劣等感や、不満がある訳ではない。

 ただ、この沈み行く夕陽。紅く染まったグラウンドに、響く運動部の掛け声。
 そんな世界の中、1人でいると何となく、胸の奥で何かがチリチリと燻る様な僅かな焦燥感があるのだ。

 まあ、正直に言ってしまえば、俺は青春と言うものが解からない。でもきっと憧れている。
 周りには、「そんな物には興味は無い」とか言ってカッコつけているけど、本心ではそう言った青春を謳歌している人間が羨ましいのだろう。

 きっと、それは今しか体験できない感情。今しか体験できない時間。二度とは帰ってこられない時代。
 そんな、人生で最も美しいと言われている瞬間を経験出来ないのが、悔しくて、歯痒いのだ。

 まあ、でも、しようと思って出来る事でも無し、こればっかりはどうしようも無いんだよね。
 はぁ、本当に、青春を楽しめてる奴が羨ましいよ。