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  男前な友人 作者:siko
神承武生恥晒地獄(トゥー・スイート・タイム)
「…………と、ザッハトルテ。デラックスチョコパフェでございます」

 そうして次々とテーブルの上にケーキが並べられていく。

「ご注文の品は以上でよろしいですか」
「ええ。大丈夫よ」
「それでは」

 と言う訳でケーキ・タイムである。
 二人の前にはケーキが。俺の前にはでっかいチョコパフェが置かれた。
 てかこのチョコパフェ本当にデケェなあオイ! 高さ30センチ以上は楽にありそうだぞコレ。
 しかもなんだか無駄に、超・ファンシー!
 すげえメルヘンチックな飾り付けである。きょうび小学生の女の子でもここまで夢見がちで入られないとばかりの飾りつけ!
 しかしボヤいていても仕方がないので早速一口チョコパフェを食べてみる。
 もぐ……。

 ……。
 ……あまぅまい。つまり、甘いが、美味い。うん。美味いなコレ。でも、甘いな。しかし、うまい。だが甘い。そして甘い。
 つまり、甘いって事だ。うん、甘い。いや、甘いなホント。いや甘すぎるだろコレ。それでも美味いんだけど。

「ねえねえ、祐? ハイ、美味しいレアチーズタルトよ。一口あげる。あーん」

 何か目の前で金髪フランス人が百合の花を咲き乱れさながらこれまたアマアマな光景を展開している気がするが、まあ見なかったことにしておく。

「ありがとうエレン。でも、私はチーズが苦手なんだ。ごめん」
「えーっ! そんなぁ……」
「アハハ、気持ちだけ頂いておくよ」
「ううぅ、残念」

 そう言ってパクリとタルトを自分の口に運ぶ会長。
 心なしか寂しそうである。でもやはり美人なのであった。
 ……と。

 じー……。

 突然、何か視線を感じた気がする。
 視線の元へと手繰っていくと、自分のザッハトルテも一口ほどしか食べずに物欲しそうに俺のチョコパフェを見る柳瀬と目が合った。
 
「ん? どうかしたのか、柳瀬」
「あっ、いや、その。なんでもないんだなんでも!」

 そう言って明後日の方向を見ながらアハハハーと不自然に笑う柳瀬。
 こいつがこうやって笑う時は大抵何かを隠している時なのである。

「いや、嘘つくなよ。言いたいことがあるならハッキリ言えよ!」
「いや、その……」

 そう言うと、柳瀬にしては珍しく妙にモジモジしながら恥ずかしそうにボソボソと何か言っている。
 良くは聞き取れないのだが、しかし視線は俺のチョコパフェに注がれたままである。

「もしかして、このデラックスチョコパフェ、食いたいの?」
「いややっ、そう言うわけじゃ……でも美味しそうだなーって」
「まあ、甘いけど美味いよ。でもさ、それなら柳瀬もこれ頼めばよかったじゃん」
「いや、だって、それ、その、あまりにも恥ずかしくないか?」
「ん? このチョコパフェが恥ずかしい……?」

 そうやって食いかけのチョコパフェを見る。
 メルヘン。もうひたすらメルヘンのファンシーのスイート。トグロもビックリのメルヘン120%である。

「俺は別に恥ずかしくは無いけどな」
「いや、神承君は男の子なんだしもう少しは恥ずかしがりなさいよ……」

 そう呆れた声で言う会長。
 しかし、気にせずもう一口食べてみる。
 甘い……。

「そうだな、かなり甘いし量も多い。柳瀬も食う?」
「えっ、良いの?」
「まあ、良いも悪いもそもそも俺は柳瀬の奢りで食ってるわけで、食いたいだけ食って良いよ?」
「そう。それじゃあ遠慮なくっ……!」

 と、フォークを延ばした瞬間、何故かその手を止めて引っ込める柳瀬。
 良く解からずに見てると、何か悪巧みを思いついた子供のような意地の悪い顔をしてそして、フォークを置いた。

「? どうしたのさ、食いたいんじゃないの?」
「ああ、ほしいな。だから……」

「あーん」

 そう言って、笑顔で口をあける柳瀬。

「は?」
「いや、は? じゃ無いぞ神承。あーん」

 そう言って、餌を待つ雛鳥のように口をあける柳瀬。

「な、何をやっているんだ柳瀬は?」
「何をやっているも、見れば解かるだろ。私の持ってるフォークはパフェを食べるのには向いていない。だから神承のスプーンで食べさせて欲しいなーって、それだけの話さ。あーん」
「な、なななっ、何でそんな事を!」
「そんな事も何も、何か問題でも?」

 何か問題デモも何も、問題しかないに決まってるじゃねーかっ!
 こんな、真昼間からっ、会長も居るのにっ、公衆の面前でっ、んなこと出来るかーっ!

「ほうほう、それは、夜に、部屋で、二人っきりだったらやってくれるって言うことかい?」

 それも良いねぇとケラケラと笑う柳瀬。

「何でそうなるんだよっ! 前提から間違ってるじゃねーか!」
「何がさ。あっ、もしかして神承……」

 そう言って近づいてくる柳瀬。

「照れてる?」
「ぐっ!」

 と、一歩引いて、例の悪人っぽい笑い方で堪らないと言う様にクックックと笑う柳瀬。

「いやー、そうかー。あのスカした神承がねぇ。私に照れちゃってしょうが無いだなんてねぇ。くくくっ、いやー、私が神承にそんなに女の子として意識されていただなんて意外だったなぁ。神承も思春期なんだねぇ」

 そうしてこりゃあ神承が私に告白する日も近いのかなーなんて言いながら心底ユカイそうにニヤニヤする柳瀬。

「バババ馬鹿言っちゃイケネーよ! 俺が柳瀬なんかいいい意識するわけネーだろ!」
「へー、じゃあ神承は照れてないし当然私にパフェを食べさせる事もできるんだよね?」
「あっ、あったりめーよ! やってやるじぇッつ!」

 いかん噛んだ。

「クククククッ! じゃあさ、頼むよ神承。あーん」
「おっ、おう!」

 そう言ってスプーンでパフェを1掬い。
 目を瞑ってあーんって口を空けてる柳瀬の口元へと……。

 だが、どうしても、目線は別の所へ行ってしまう。
 その、整った目鼻立ちの顔だとか、さらさらしてる髪だとか、プルプルしていて触れたらさぞ気持ち良いだろうというようなくちびるとか。
 そして空けた口の奥に見えるピンク色の可愛い舌とか。
 ふわりと近づくたびに強く感じる柳瀬の良い匂いとか。

 普段意識していない柳瀬の女の子の部分ばっかりに目が行ってしまう。
 ああもうっ、何だって言うんだ!

「おーい神承、早く早くー、あーん」
「おっ、おおう!」

 そうして、震える手で何とか柳瀬の口元へとパフェの乗ったスプーンを運ぶ。
 柳瀬はそれを、最初はスプーンの裏側をチロチロと舌で舐めるように確かめた後、パクリと口の中に収めた。
 その柳瀬の行為になんだかエロスだよなーなどと身も蓋も無い事を考えてしまい余計感情がどうしようもなくなる。
 そして、俺はスプーンを柳瀬の口から引っ張ると柳瀬の咥内で歯に当たる僅かな不快感や閉じたままの柳瀬の唇との抵抗を感じながらスプーンを抜き、手元に戻す。

「……ん、うん。はぁ……。甘くて美味しいな、神承」
「あ、ああ」

 珍しくうっとりとした感じで言う柳瀬の言葉に反射的に返事をする。
 我ながら情けない。顔が真っ赤になっているのが解かるし、心臓の鼓動もバクバクと早く大きく鳴っている。
 ふぅ、なんだか全力疾走した後のように疲れてしまったぜ。

 だが、柳瀬の攻勢はこれで終わりでなかったのだっ!

「じゃあ、神承にもお返しをしないとな」
「は? どういうこ……」

 だが、俺の質問を最後まで聞かずに俺の手からスプーンを取ると、それでパフェを1掬いし、そして俺の鼻先に出す。

「お返しだ。ほら、あーん」
「でっ、でぇぇぇぇっ!?」

 なっ、何をコイツは!

「あれれー、何か問題でも?」
「ありまくりに決まってんじゃねーか! それさっきお前の口の中にあったスプ……」
「いやいや神承。良く缶コーヒーとか二人で別けて飲んだじゃん。アレと似たような物だって」
「全然違うわアホー!」
「じゃあやっぱり神承は私の事を意識しちゃって……」
「んなわけねぇだろ! 自惚れるなよ柳瀬。俺がお前なんて意識するわけ……っ!」
「じゃあ大丈夫だな。はい、あーん」
「当たり前だろ。余裕に決まってんだろ。マジパネェから」

 混乱のあまり言葉遣いが変になる。

「クックック、相変わらず良い反応をするねぇ神承は。解かったから早く口をあけてよ」

 ええいっ! こうなりゃもう自棄だ!

「ほれ、あーんんんぐっ!」

 いきなりスプーンを突っ込まれる。
 思わず吐き出しそうになるも何とかスプーンに乗ったパフェを食べる。
 
「どう、美味しいかい?」

 そう聞く柳瀬の口の中に見えるピンクの舌。
 そう言えばさっきまでこのスプーンはあの舌の上にあったんだよなーって事を実感させられた瞬間顔が瞬間沸騰しそうになる。

「んっ、んんんーっ!(美味いからもうスプーン抜けよ!)」

 口の中にスプーンを入れられたままなのでうまく喋れない。

「あれれー、聞こえないなぁ」

 そう言いながらククククっと悪人っぽく笑う柳瀬。コイツ、解かってやってやがる!
 そんな間にもパフェは溶けきり口の中にはスプーンの味しかしなくなる。

「んぐんぐんぐぐぐぐぐーっ!(さっさと抜けっつってんだよアホー!)」
「アーアーきこえないー!」

 チクショウ! そうだっ。
 逆転の発想で顔を動かして口からスプーンを抜く。

「んぐっ! ふぅっ、さっさと抜けって言ってたんだよアホ柳瀬!」
「クククッ、いやぁ、聞こえなかったしねぇ」
「クソッ、ふぅ、はぁ」
 
 つ、疲れた……。
 顔もまだ紅いままだし、恐らく、全部こっちの考えている事なんてお見通しなんだろう。

「どうだい神承、美味しかったかい?」
「う、あ、甘かった」
「アハハハ、そうなんだ」

 そうして愉快そうに笑う柳瀬。
 全く、脳が蕩けるかと思ったぜ。はぁ。
 と……。

「ふーん、へー、ほー。なるほどねー」

 何か一人納得してるフランス人が居た。

「ん、エレン。どうかした?」
「いやね、祐が言ってた事。成程なーって思って。中々に面白い反応と表情するのね。コレは……良いわね!」
「でしょ? 私も始めてみた時は面白くて面白くて。特に普段スカしてる奴だけにギャップがね。正直、私もエレンに紹介するのがちょっと勿体無いかなーって思ったくらいだし」
「ええ、確かに神承君、「面白い」わね。コレは、なかなか極上の……」

 極上の……?

「いや、何でも無いわ。うふふふふふ……」

 意味深に笑う会長。スゲー美人なのに笑顔がちょっと、いやかなり不気味だ。

「いやっ、そこは言ってくださいよ会長!」
「だから同い年だし敬語じゃなくて良いわよ。それと神承君は私の事エレンって呼んでいいわよ」

 そう言って光栄に思いなさいといわんばかりにフフンと胸を張るエレン。

「ハァ。解かったよ、エレン」
「ふふふ、そう。それで良いわ。でも、お願いがあるんだけど」
「なんだよエレン」
「私もそれ……」
「それ?」

 そうやってちょんちょんとエレンが指差した先にあるのは俺のデラックスチョコパフェ。

「私も、あーん!」

 そう言って元気に口をあける金髪フランス人。
 ああ、俺は、どこへと向っていってしまうのだろうか……。

「あれれー、神承君もしかして私の事意識しちゃって……」
「わあーった! わぁーったからっ! 食わせてやりゃあ良いんだろうエレンっ!」

 こうなりゃ自棄だ。幾らでも手ずから食わせてやるよコンチクショー!



「んっ、はぁ、れろっ、れろれろっ、はぁむ、ちゅびっ、ちゅばっ、はあぁっ……。おいしいわ、神承クン」
「エレンそんな音立てながらパフェ食べちゃダメー!」

 行儀悪いし! ここお店だし! あとそれなんか違うから!

時間のあるときにちょちょいと更新。
少し頑張ってみました。
勿論続きもあるのですがまだ忙しいのでいつ更新できるかはわかりませんが読んでもらえたら嬉しいです。
あと、感想、評価等。凄く嬉しくて励みになります。
時間が取れないので返事が出来ないこともままあるかも知れませんが、本当にありがとうございます。


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