baby2...大好きな優しい君
8月。
私とママは岩手に来ていた。
智弥は私たちより少し早く帰ってきていた。
「萌ちゃん!!奥さん!」
ほんのわずかしか離れていないのに智弥の顔を見れて智弥の声を聞けたことが本当に本当に嬉しかった。
私たちはとりあえず智弥が予約しておいてくれた旅館に向かって荷物を置いた。
「何か食べますか?」
智弥がお店に連れて行ってくれた。
智弥は私と同じスピードで歩いてくれるんだ。
話す時も私と同じ目線に立って話してくれるの。
そういう優しい所大好きだよ。
それに後になって気付いたけれど智弥ってずっと車道側に立って歩いてくれていたの。
そうこうしているとお店に着いた。
─カラン♪
「先どうぞ。レディーファースト(笑)♪」
そう子どもっぽくくしゃっと笑った君をたまらなく愛おしいと思ったんだ。
智弥は決して顔がめちゃくちゃカッコイイというわけでもないし頭がすごーく良いわけでもないけれどね。
だけど私は優しい智弥が大好き。
シャイなのに一生懸命私に話題振って楽しませようとしてくれる所や照れ笑いする時のくしゃっとなる目尻のしわもその優しい声も話し方も全部大好きなんだよ。
智弥のお母さんも来てみんなでご飯を食べた。
お酒も良い感じになってきたのかママたちは母親同士盛り上がって二人の世界に入っていた。
「何か飲む?あ、デザートもあるよ。ここの超うまいんだよ♪」
「…智弥くんは何頼むの?」
「じゃあ俺はこのアイスにしようかな♪」
「…じゃあ私もそれがいい」
「あ〜真似っこだぁ!じゃあ決まりね♪すいませーんお兄さ〜ん」
私智弥のこと本気で好きになっちゃったんだなぁ…。
そのあと私のワガママでカラオケに連れて行ってもらった。
ママたちはまだ語りたいとか言って近くの居酒屋へ行ってしまった。
「智弥くん超歌うまいね♪」
「そんなことないっすよ〜萌ちゃんも上手じゃん♪」
大好きな人と二人っきりでカラオケなんてドキドキしちゃうなぁ。
「萌ちゃん?そろそろ居酒屋行く?俺と二人じゃ気まずいでしょ(笑)?」
「そんなことない!!二人が良いもん!まだこうしてたい!!」
我ながら焦っててテンパっててださいな…。
てか本当は智弥の方が気まずいから帰りたいのかもしれないよね…。
だけど私はやっぱりまだ智弥と一緒に居たい。
だって大好きなんだもん…。
「じゃあまだ歌ってよっか!まだこうしてたいなんて嬉しいじゃないっすか〜(笑)♪」
ほらまた私の大好きなその優しい笑顔。
私本当に君に惚れちゃったんだな。
もう見てるだけなんて我慢出来ないよ。
19歳の私の精一杯の行動…。
君の大きなその手の上に私の手を重ねてみるの。
「好き…。」
ついに言っちゃった。
とうとう言葉に溢れてしまった。
しばらく沈黙が続いた。
私が諦めかけた時だったの。
智弥が私の手をとって強く握り返してくれたんだ。
私たちはキスをした。
智弥のくれたキスは今までしたどんなキスよりも甘くて優しいキスだった。
「好き。」
「さっきも聞いたよ(笑)」
「でも…言い足りないんだもん!大好き!!ねぇ…智弥って呼んでも良い?」
「ありがとう。俺も萌ちゃんのこと大好きだよ。全然智弥って呼んじゃって良いよ」
こうして私たちは出逢って4年目にして付き合い出した。 |