【後日話】エピローグ
八神家で行われている宴。
様々な家の者が集まり、いつもは静かな八神家は活気に満ちていた。
様々な料理や、飲み物が振舞われ、あちこちで集まって誰もが談笑している。
そんな中、遥緋はその輪から外れて一人メールを打っていた。
えっと、アレから一ヶ月が経ちましたね。
お父さんとかと皆で神代の屋敷から、脱出して・・・そのまま病院直行して。
そして灼也が居なくなったので、何か心にぽっかりと穴が開いてるようになってます。
私とお兄ちゃんが始めてあの二人と話したのは小学校低学年の頃だから10年ぐらいの付き合いだったね。
まぁ・・・でも灼也が居なくても私は元気にやってるよ。
それで今、私がこうしてメールを打っているのは、皆の近況をお兄ちゃんに知らせるためです。
じゃあ正宗さんと時雨ちゃんから。
あの後、正宗さんは罪歌さんと狂さんと命さんの身は八神で保障すると発表しました。
凄い沢山の反発がありました、中には罪歌さん達に仲間を殺された人も居るからです。
それでも正宗さんは辛抱強く説得を続けました。
時雨ちゃんもあまり乗り気でなかったのですが、最後には正宗さんと一緒に説得してました。
私個人としては、罪歌さん達も被害者だと思ってるので、特に依存は無かったからね。
そして秋月が滅んだのは自分達の責任でもある、の言葉が止めになったのか皆さんは納得しました。
それでも罪歌さんが打ち解けるには時間がかかると思います。
ちなみに、そんな真面目な話をこの前までしていた正宗さんは今、幸せみたいです。
「正宗、これ食べる?」
「ああ、貰おうかな・・・」
「じゃあ、とってくるから待っててね」
みたいなぎこちないカップルのような雰囲気をかもし出している正宗さんと罪歌さん。
それを見ていた時雨ちゃんと狂さんは二人で料理を食べながらさっきまでぼやいてました。
「あ〜・・・秋月狂」
「なんだ・・・」
「罪歌が、僕の新しい母親になるってエンディングはまさかないだろうね?」
「わからねぇ・・・そしたら俺はお前の叔父か・・・マジかよ・・・」
「はぁ・・・」
「はぁ・・・」
そんな感じで二人は喋ってました。
敵同士だった人達がそんな会話が出来る、凄い良い事だと思います。
次は多分お兄ちゃんも気になっているであろう、命さんです。
命さんはどうやら姉と慕っていた人が鬼神だったそうで色々と八神や他の家に情報を提供しています。
近々、鬼神の存在を世に公表する準備も着々と進んでいるようです。
そんな命さんは今、二人の中学生を追いかけています。
メガネをかけた背の高い男の子と、お母さんの従兄弟の息子さんだそうです。
なにやら子供っぽい所で波長があったらしく、さっきからずっと追いかけっこをしています。
「むー! 君達速いよ!」
「お姉さんが遅いんですよー」
「まぁ、俺らについてこれるだけ大したもんだぜ」
ああ・・・また料理の台が一つひっくり返された・・・
陸人さんと森羅さんは相変わらずです。
陸人さんは今も詩歌さんと梨香ちゃんに冷遇されてるし、森羅さんは相変わらずかっこいいです。
今は何かお父さんと三人で、女の人に挨拶をしています。
「久しぶりね、三馬鹿」
「先輩こそ、相変わらず腹黒そうで何よりです」
「年食ったな先輩、シワが誤魔化しきれなくなってるぞ」
「ぬははははは、そりゃ昔から老けてぐぶぇっ」
お父さん達は今、悶絶しています。
森羅さんの部隊は正宗さんが圧力という名の脅迫をかけたらしく、再結成されました。
予算もかなり上がったそうで、杉谷さんという方が凄い喜んでいました。
「陸曹長、何を寝ているんですか! 全く貴方と言う人はこんな公の場で・・・」
杉谷さんのお説教が始まりました。
次に榛名君と由加ちゃんですが、このまま現状維持で森羅さんの部隊が監視と護衛をするみたいです。
この祝宴が終わったら、二人は同じアパートで一緒に暮らすそうです。
さっきまで話していたんだけど、二人とも幸せそうです。
「神璽、これは何?」
「・・・・・・生ハムメロンだけど?」
「何故、フルーツと肉が一緒になってるの? こういうのを邪道っていうの?」
「いや・・・これはこれで美味いらしいぞ」
「気持ち悪い、甘みのある肉なんてこの世の物じゃない」
「そうかそうか、じゃあ食べさせてやるから好き嫌いは無くそうな?」
「・・・うん」
甘い世界が私の前で繰り広げられています。
流石榛名君、女の子の扱いには慣れてると思いました。
そういえば梨香ちゃんが、式神をそろそろ覚えるみたいです。何か私の弟子になるみたいなので少し不安。
そのくらいかな。ママも相変わらずだし、あ、でもお兄ちゃんに凄く会いたがってたよ。
ああ、コアは正宗さんとお父さんでどこか分からないような場所に隠したらしいです。
灼也と煉はあの中で生きているのかな? それとももう意思なんて無くなっちゃったのかな?
私にはそれを確かめるすべが無い、それがとても歯がゆいです。
それでは、報告終わります。
なるべく早く帰ってきて欲しいけど、お兄ちゃんの心が晴れるまでゆっくりと旅をしてください。
送信。
何処までも続く空、そして連なる山々。
穏やかで、ひんやりとした空気の中、蒼二は地面に座っていた。
「・・・・・・」
あの後、蒼二は色々な場所を回った。
死罪六神の任務で行った場所や、昔連れて行ってもらったことがある場所。
そこを歩き、かつての自分の思い出と重ねながら、蒼二はひたすら旅を続けた。
そして今日、自分の運命が大きく変わった場所へと帰ってきたのだ。
「よぉ・・・いい物が立ってるじゃん」
朱音が死んだ付近の場所には慰霊碑のようなものが建っていた。
多分、八神が建てたのであろう。真新しそうな花や供え物が置かれている。
二年前はここから見える景色全てを憎んでいたのに、今となっては清清しい気分でそれが見えていた。
「遥緋にさ、お前の最後見せてもらったぜ」
「全く馬鹿だよな・・・俺みたいに殺した奴の事なんかあんま気にせずに、生きればよかったじゃねーか」
「・・・いや、ごめん今の取り消し。 お前はそういう奴だったよな、自分よりも他人・・・だから俺は惹かれたんだ」
「こいつなら俺の居場所作ってくれるかもしれねーってな」
それだけ言うと蒼二は立ち上がって伸びをした。
すると、本当に珍しい事に携帯電話が鳴り出す。
ポケットから取り出して、表示を見ると知らないアドレスだった。
「あぁ? 出会い系か?」
本文を開くと、凄まじい量の文字が入っている。
そして、蒼二はそれが誰から来たのかが一瞬でわかった。
「遥緋・・・」
再び地面に座ってメールを開く。
たっぷりと時間をかけて、蒼二はメールを読んだ。
何回も、何回も読み返し、やがて蒼二は携帯を閉じる。
「あぁー・・・暑っちぃな・・・」
日が出てきて、夏の日差しが容赦なく蒼二を照らした。
汗が垂れたのか、蒼二は一度目元を軽く拭く。
そして蒼二は太陽を眩しそうに見つめると一言。
「そろそろ、帰るかな」
分かり合えなかった家族とまた暮らそう。
今度は絶対に間違えない、一人相撲はしない、そう誓い蒼二は立ち上がる。
そして慰霊碑を見て別れを告げる。
「また、来るよ・・・今度は俺の家族も連れてさ」
それだけ言うと蒼二は歩き出す。
過去に囚われず、未来を求めて、ただ歩く。
そして、千島蒼二の終わっていなかった夏が終わって、新たなる夏が始まった───
─緋色の眼 完─
えっと、終わりましたね緋色の眼。
多少ぐだぐだ感があるっぽい終わり方ですが、個人的にはこれで終わってよかったと思います。
基本的に、この緋色の眼は俺の超自己満足的な作品なので。
他者の批判もあるとは思いますが、俺としてはこのカタチで終わらせたかったのです。
一番書きたかったのは、灼也と煉というキャラの終焉。 まぁ・・・多分もう出てこないと思います。多分・・・
緋色の眼は御崎家編で終わる予定だったのですが、森羅だしてみたい、とか他の二つの結晶の事を思いだして
何か続けちゃいました、刹那とかは他の作品でかきたいキャラだったんですがねぇ・・・
まぁ、でもここまで続けて色々風呂敷を広げすぎてしまったので、その複線とかの回収をするべく、続編を多分やります。
一応、ネタのほうは尽きていないので、この自己満足物語にまだ付き合ってくれる人がいるなら幸いでございます。
それでは、何か予告とか作ってみたので、よかったらどうぞ。(※二つあります)
今からちょうど一年前とちょっとぐらい前───お兄ちゃんはウチに帰ってきた(しかも彼女まで連れて)
思えばいろいろなトラブルが沢山あった(しかも被害者は大体決まっていた)
高校に通おうとするお兄ちゃんとお義姉ちゃん?(そう呼ばされそうになっている)
将来のため、人生初のアルバイトを体験してみた罪歌さんと狂さん(ちなみに正宗さんが独断で推し進めた)
お父さんと陸人さんと森羅さんの話も聞いたな(笑いすぎて一ヶ月間お小遣い抜きにされたが)
深雪おばさんの墓前で何かを思い出している時雨ちゃん。(真面目な時雨ちゃんを見るのは久しぶりで驚いた)
私達の授業参観に来るお父さん軍団。(あの時ほど自分の式神に記憶抹消能力が無かった事を悔やんだ事は無い)
榛名君と由加ちゃんの初めての喧嘩(あのお兄ちゃんは演技だと信じたい、妹として)
他にもいっぱいあったなぁ・・・
【 緋 色 の 眼 〜 D a y s 〜 】
少しばかり、語ってみようと思う。
鬼神──それは悪鬼と人の混血児。
人が悪鬼を生み、悪鬼が人を犯し、鬼神が生まれる。
故に、悪鬼の罪、人の罪は、自分達が祓す。
───この世界を消す事で。
───命、貴女は何がしたいの? 何を望むの?───
【九尾の狐】最強の鬼神──天美運命
信じていた温もりは偽りだった。
そこに自分の信じた道があるのなら
少女は再び武器を持ち、帰るべき場所へと行く
───無念に散っていったアイツの為にも俺は千島には負けられない───
【ラグナロク】最強の鬼神【スルト】──千島藍
大切なものが出来た
しかし、それは奪われるために与えられた者
少年は走った───暖かな未来を求めて
───弱いってこたぁ・・・俺はまだまだ強くなれる可能性があるって事じゃね?───
最弱の大悪党──牧島郁人
力が無いのが悔しかった。
追い詰められた少年は知略を尽くし、猛獣を狩ろうとする。
そのために、少年は笑顔と言う名の仮面を被った。
───私は望んで此処に居るの、そう決めたから───
浅葱家次期当主──浅葱梨香
尊敬していたのは最前線で戦う父の姿
憧れていたのはそんな父を支える母の姿
故に少女は力を手にした
───由加ぁ・・・俺さぁ・・・どんどん化け物になっちまうよ・・・───
リーヴ──榛名神璽
選ばれた少年は戸惑う
新たなる力、その代償として変わっていく姿
孤独と不安が募り、少年は壊れていく
───子供、欲しい? 私は欲しいな───
リーヴスラシル──棗由加
選ばれた少女は突き進む
自分の運命、未来を望むが形にするために
愛する人と共に生きる、それだけを胸に誓って
誰かを殺すために戦う。
何かを滅ぼすために戦う。
誰かを守るために戦う。
何かを救うために戦う。
結局は戦い、どちらかを滅ぼして己が望むが事を成す。
ラグナロク──それは世界の終焉。そして新たなる世界の始まり。
【 緋 色 の 目 〜 神 々 の 黄 昏 〜】
────守るよ、絶対
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