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  緋色の眼 作者:ジョン
最近良いペースで投稿できてますね。
最終部なので頑張って書きたいと思います。
感想、評価お待ちしております。
【第三部】三話:それは世界の真実の一つ。
 
 神代の屋敷を歩く藍。
 昨日は中国から不眠不休で"走って"来たので刹那と会話している途中に寝てしまったのである。
 眠りこけたそして眠りこけた藍はさっきやっと起きて屋敷を歩いているというわけである。
 そして、曲がり角で三男の彼方と会った。

「なっ・・・スルト!?」

「よー彼方、お前とは何年ぶりだろうな?」

 彼方は後ろへと飛び、魔弾を構えた。
 銃口を藍へと向け緊張した口調で藍に問う。

「【ラグナロク】の大幹部が僕ら神代に何の用事だっ!」

「ん? リーヴスラシルを見学に来た、後はお前らとも久しぶりに会いたかったしな」

「フン・・・どうだか」

「じゃあ彼方、俺と闘りあうか? 確実にこの屋敷は跡形も無く消えるぜ」

 彼方の顔が青くなる。
 藍の圧倒的なまでの強さを思い出したからだ。
 そして、その時廊下の向こうから瞬の声が響いた。

「彼方、止めろ」

「瞬兄さん・・・」

「悪ぃな、スルト・・・弟の無礼を許してくれ」

「いやいや、成長を見れて嬉しいからOKさ。 それとここでは本名で呼んでくれ」

「了解、久しぶりだな藍。 兄貴が待ってるから広間へ来てくれ」

 そして三人は並んで歩き出した。





 豪勢な広間につくと三人はソファーに座った。
 数瞬後、空いていたソファーに刹那が現れる。
 そして藍は刹那を見た瞬間目を輝かせた。

「・・・んでやっぱ結晶は取り出せなかった?」

「ああ・・・楽園を展開し、色々試したが駄目だった・・・全て結晶の力に邪魔される」

「やっぱな・・・じゃあ日本の【コア】は残りの六つで作るしかないな」

「ああ、そうする」

「じゃあ、リーヴスラシルはどうするんだよ?」

「ああ、その前に藍、お前に大事な話がある」

 刹那の目に真剣な光が宿った。
 藍の顔つきも引き締まり、刹那の言葉を待つ。

「俺達が今戦ってるのはお前の子孫だよ」

「マジか! ってかまだ緋眼は受け継がれていたのか・・・」

「秋月は俺達が二名以外殺し尽くした。後は真砂が一名、千島が数名、八神が沢山見たいな感じだな」

「千島・・・俺、やっぱ全員殺しつくせなかったんだよな」

 藍の脳裏に蘇るのは過去の記憶。
 千島でありながら鬼神でもあった自分は虐げられ、反逆を起こした。
 それは鬼神の運命だと藍は思っている──眼前に居るこの兄弟も同じだから。

「そういえば此方はどうしたんだよ?」

 藍はいつもヘラヘラしていた神代家の四男を思い出した。
 いつも彼方と手を繋いで笑っていた少年──。
 しかし、刹那から返ってきたのは無慈悲な現実。

「殺した」

「ハァッ!? おいおい・・・冗談はよせよな」

「此方は・・・もう人殺しは嫌だといって俺達に牙を向いた。
 それで甘い瞬が半殺し程度にして逃がしたために全ての記憶を失い、俺達と二年前に敵対した。
 その時の此方は見ていられなかったな・・・人間のために戦い狂化の仕方も忘れて俺を殺そうとしたんだ」

「そうか・・・まぁ、兄弟殺しは俺が強く言えることじゃないからもう聞かん」

「ありがとう」

 刹那の言葉を聞きながら藍は瞬と彼方の様子を見た。
 二人とも此方の話が出てから余計にだんまりを決め込んでいる。

(やっぱ、ショックなのかねぇ・・・)

 鬼神の中でも異質だった四兄弟。
 藍と彼らが始めて出会った時も四人は一緒に居た。
 それは藍がはじめて見た、鬼神でも仲間さえ居れば幸せにんなれるという現実。
 ただ羨ましかった思い出だけがある。

「じゃあ、【九尾の狐】は今八人か」

「ああ、ここ数年、アジアで鬼神は生まれてないからな」

「ふーん」

「そういえばウチの大和と空我がお前らのとこの【フェンリル】と【ヘル】と争ってるらしいな」

「【ヘル】嫌いー 僕のこと変な目で見てくるから」

「ま、まぁ・・・アレは【ヘル】の求愛行動の一つなんだよ。 ああ、アメリカでぶつかってるらしいな」

「そんな中、俺達が会っていいのか?」

「【ロキ】は好きにしろっていってるからなー」

「ってか藍、日本の【コア】はテメーの仕事だろ? 俺らといずれ争奪戦になるじゃねーか!」

 のほほんという藍に瞬が怒鳴る。
 しかし、藍は指を振って瞬を諌めると喋りだした。

「いや、オーストラリアの【コア】作ってきたからねえ・・・【ロキ】は大喜びさ」

「・・・!」

「ハ・・・?」

「まさか・・・一人でか?」

「おう、七年ぐらいかかったけどな」

 改めて藍の強さを認識した三人。
 藍がやってのけた事の難しさを三人は良く知っていた。
 しかし、藍の力量を考えればできない事も無いと思えるから彼らはそれ以上口にしない。

「そういや、今の千島の当主ってどんな名前?」

「千島蒼威、世界規模ぐらいで有名な男だが・・・」

「知らないなぁ」

「これを見ろ」
 
 刹那がテーブルを指差すと、一枚の紙が出てきた。
 藍は便利な式神だなぁと思いつつ、子孫の書類を読み始めた。

「ふーむ・・・あ、漢字は蒼系になったのか、あーあ、藍系のほうがカッコイイのに。
 第二人格、灼也と煉・・・ふむふむちょいと昔に居た居た。でも、二人も出すなんてコイツが千島初だろうな。
 あ、もう居ないのか・・・んじゃ終式使いの可能性が高いな・・・ん? 双子の子供!? 
 うわ・・・超珍しいー ってか緋眼使いが一気に二人か・・・ふーん。 灼那と悲煉ね・・・
 こりゃ確実に親のが伝わってるな・・・俺の二代前もそうだったし・・・ふむ・・・俺の【焔】はここ何代か出てないと」

「満足したか?」

「ああ、とっても!」

 笑顔で藍は刹那へと書類を返した。

「そうそう、来週ぐらいにお前らにお土産が届くからな」

「お土産?」

「【フール】を何体か、船に乗せて運んでいる」

「お前らが作ったあの妙な悪鬼か・・・何故それを俺達に?」

「死ぬなよ、刹那、瞬、彼方」
 
 藍は質問には答えなかった。
 しかし、藍の言った言葉によって何のために彼が送ったかがわかる。

「当たり前だ」

「僕らはまだ死ぬ訳には行かないからねー」

「楽園、作ってねーからな」

 三人の言葉を聞くと藍は満足そうに笑った。
 刹那も笑った、瞬も笑った、彼方も笑った。
 それを見ると、藍は立ち上がって言う。

「さて、それじゃあリーヴスラシルに会わせてくれ」

「・・・ああ」

 直後、浮遊感と共に景色が消えた。










 そして、景色が再び変わり、豪奢な部屋へと藍は辿り着く。
 そこには一人の少女がベットに俯き加減に座っていた。
 藍は声をかける。

「君がリーヴスラシル──いや、棗 由加ちゃん?」

 藍の声を聞くと由加はゆっくりと顔を上げた。
 鋭い眼光で藍を睨みつける由加。
 藍は両手を挙げてヘラヘラしながら言う。

「いやいや、そんな構えないで、別に何もしないから」

「・・・誰?」

「【ラグナロク】の幹部やらせてもらってる【スルト】ってモンです。 本名は千島 藍って言います」

「千島・・・ってあの千島?」

「そうだよ、蒼威とかは俺の子孫に当るのかね?」

「嘘、どう見ても蒼威さんより若い」

 由加は胡散臭そうに藍を見た。
 確かに藍の外見はかなり若い、普通に見れば十代のような外見である。
 
「いやいや、これでも二、三百年生きてる立派な鬼神だよ」

「鬼神って・・・神代と同じ?」

「おお! その辺は刹那から説明を受けているみたいだね」

 由加はコクンと頷く。
 どれほどまで鬼神のことを理解しているかはしらないが今から話す事に支障はないだろう。
 そう思い藍は話の核心へと入る。

「君ともう一人──神璽は人間でもない、悪鬼でも鬼神でもない新たな種として選ばれたんだ。
 だから俺達は君達を殺す気はない。いや・・・むしろ君たち二人を殺そうとする勢力から俺達が守ってあげる感じかな?
 君達は滅多な事じゃ死ねない──いや、体内の結晶が君達を殺させない。それを覚えておいて欲しい」

「わかった」

「じゃあ・・・また会おう。 十年後か百年後かまたは来年かはわからないけど──世界が終わったその後に」

「・・・?」

 それだけ言うと藍の姿は消え去る。
 後に残ったのは──呆然としたままの由加だけであった。







 藍が去った後、刹那はソファーで一人膝を抱えていた。
 藍との会話したことで刹那の中に秘められていた思いが溢れ出す。
 それは永遠に癒される事の無い深い傷。


──呪いの子! 化け物!


 浴びせられる容赦のない罵声と暴力。
 ──人間は自分と違うものが怖い。だから傷つける──自分を守るために。
 それでも自分は懸命に生き抜こうとした。


──鬼は、殺さねばな


 母が寝ている家が激しい炎に包まれていた。
 弟達は地面に伏して大泣きしていた──
 自分は血が滲むほど拳を握り、人間への復讐を誓った。


──貴方達・・・何なのっ!?


 打算と裏切り──人間なんてそんなモノ。
 自分さえ良ければ、その他の事なんて関係ないと思える生物。
 自分は逆に人間を罠にかけ、大笑いした。


──ふぅん、四兄弟の鬼神ねぇ・・・


 やっと出会えた同じモノ。
 同じ境遇の彼から生き抜く知恵と力を授かった。
 自分はその力を昇華させ、理解し、強大な力を得た。

「感傷だな・・・」
 
 刹那は忌々しげに呟いた。


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