連続投稿ですね。
今日から夏休み突入しましたー。
がんばって書いていこうと思います。
ちなみに、後三話で二部は終了予定です。
【第二部】十九話:馬鹿
「うおおおおおっ!!」
森羅は地面に落ちていた長めの鉄パイプを持つと瞬へと走った。
すると鉄パイプの先端部分に水が纏わりつき、三日月形の形へと成る。
「鎌か?」
瞬は軽く体を動かしてかわそうとした、しかし突如として水の鎌が大きくなり瞬の肩口を切り裂く。
「──!」
「水の循環作用を利用しただけだ」
尚も切りかかる森羅。
瞬も残壊を持って対抗する──高速の斬撃がお互いの体へと徐々に傷をつけていく。
森羅が下段から攻めれば瞬はそれを受け止め力で強引に返す。
それを森羅はいなし、時には引く事で圧倒的な力の差を埋めていた。
「フフン・・・久しぶりに楽しいぜっ!」
残壊が怪しく輝く、瞬が残壊の能力を発動察せたのだ。
だがしかし、森羅の体に傷が増える事はない。
「──!?」
「お前の力はよく知っている、何度もデータを見たからな」
「んだと・・・」
「触れたモノに傷を与える力か・・・だがその傷を与えるという事自体はお前で制御できてないな」
「・・・・・・」
「だったら、俺の表面に水の膜を張っておけば問題ない。 多少息を止めなきゃならねーけどな」
「クソがぁ!!」
瞬が全力で残壊を振り回し、森羅へとたたきつけようとする。
「後一つ、教えてやる・・・俺の昔の異名は【壊し屋】 こんなチマチマした戦いは好きじゃない」
森羅の言葉と共に、森羅の足元から水が大量に噴出した。
圧倒的な水の力が瞬を流し、ビルへと叩き付ける。
それでも水の勢いは留まることなく瞬を蹂躙し続ける。
「由加、一人で走れるか?」
「・・・はい」
「すぐに追いつく、先に行け」
「はい!」
由加は傷ついた体に鞭を打って走り出す。
それを見送ると森羅は徐に喋りだした。
「おい、さっさと出て来いよ」
「お、気づいてたか?」
正面のビルの瓦礫の中から瞬が現れた。
右腕と右足が変な方向に曲がっており、何とも痛々しい姿である。
「その体じゃもう戦闘は無理だ、諦めて投降しな」
「フン・・・」
瞬は嗤う。
すると瞬の体が徐々に黒く染まり、体の大きさも変わっていく。
やがて二本の角が頭から生え、変化は止まった。
「これが神代の力【狂化】だ、どうよ?」
「・・・鬼型の悪鬼だな」
「うわ、実も蓋もねえな!」
「・・・神代はやはり──」
「黙ってろよ!」
瞬が弾ける様に飛び出す。
森羅をそれを視認すると、地面に流れる水を集め壁を作る。
「傷を与える程度じゃ俺の水は切れねえぜ」
「ハッ! 【万事残壊】」
瞬の残壊の姿が変化した。
ハルベルトの姿であった武器は、禍々しく形状を変え刃の部分の長さが二倍ほどになる。
見た目はそれだけで変わったのだが──
「ハァッ!」
森羅が出した水の壁が万事残壊に触れた瞬間、飛沫となって吹き飛んだ。
易々と水の壁を突破した瞬は更に加速し森羅へと迫る。
「おいおい・・・マジかよ」
森羅は回避しようとするが間に合わない事はわかっていた。
一応対抗手段として水の層を四倍にしたが瞬の式神にどこまで有効かはわからない。
「オラァァァァァァッ!!」
せめてもの衝撃を流すために軽く後ろへ飛ぶ。
その時──
「蒼威ブレード!」
上空から声が響き、とてつもなく巨大な剣が二人に向かって落ちて来た。
巨大な剣が地面に突き刺さる──粉塵が舞い、大地が割れ、凄まじい衝撃が周囲を破壊する。
「んだよ・・・これはぁ!」
瞬は片手で粉塵から顔を守りながら、前を見た。
そして──違和感に気づく。
「──ドア?」
剣の刀身部分には何故かドアがついていた。
そして、凄まじい勢いでドアが開き中から出てきたのは──
「よっしゃあ! トロイの木馬作戦成功!」
(あ、浅葱陸人っ!? マズイ・・・この距離じゃまともに──)
紅の手甲を身に着けた陸人が飛び出してきて瞬へと拳を向ける。
──しかし急いで出すぎたためか、石に躓いて大きくバランスを崩す。
瞬にはその事実だけで十分だった。
「ハッ! 馬鹿が・・・死にやがれ!」
両手に万事残壊を持ち、大きく振りかぶった。
しかし、次の瞬間瞬は絶句する事になる。
「えっ?」
陸人の手甲が斜めに地面へと当る。
次の瞬間手甲部分から爆発が起き、地面が瞬に向かって吹き飛んだ。
「うおおおおおおおおっ」
爆発によってアスファルトの破片が凄まじい勢いで瞬へと向かう。
瞬は両手を振り上げていたため、全く防御できなかった。
そして陸人は・・・しばらく呆然とした後に笑いだす。
「ハハハハハハッ! 流石オレサマ! ナイスな計画だったぜ」
高笑いする陸人。
すると後頭部に衝撃が走り、前のめりに倒れてしまう。
「何すんだコラァ!」
振り向くとそこには銀色の玉が浮いていた。
蒼威の式神、大我である。
「何がナイスだ。馬鹿!」
「確かに・・・馬鹿だな」
ようやく平静になった森羅もそう言った。
すると陸人は怒りを抑えて、懐かしむような感じで言った。
「何かさ。TEAR PAINの時代に戻った感じがしねぇ?」
「・・・確かにそうかもな。 あの頃からお前は馬鹿だった」
「うるせぇ、苛められっ子」
「・・・死にたいか?」
蒼威が軽く殺意を込めて陸人へ言った。
すると森羅は二人をとりなすように話し始める。
「まー落ち着けよ、事実だ」
「「ぶっ殺すぞコラァ!」」
二人の声が重なった。
そして森羅への集中砲火が始まる。
「このマザコンめ!」
「そうだそうだ! この熟女好き!」
「ハハハ、好きに言えばいいさ」
「強姦魔!!」
「ホモ!」
「バイ!」
「真性熟女マニア!」
「老婆マニア!」
「・・・・・・・」
無言で水球を二人に放つ森羅。
陸人と蒼威は慌てて避けると抗議を始める。
「殺す気か!」
「うわー・・・親友に殺されかけたよ、俺」
「まぁ・・・確かにTEAR PAIN時代に戻った見たいだな・・・・・・灼也も居ればね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
黙ってしまう三人。
灼也に対する思い入れは三人は特に強い。
共に戦い、共に傷ついた戦友を三人は忘れる事はできなかったのである。
しかし、沈黙はすぐに破られる事になった。
「テメーら・・・マジで殺すわ」
何時の間にか瞬が元の場所に立っていた。
蒼威、陸人、森羅の三人は再び式神を発動させ、備える。
「・・・死ね」
瞬が懐から結晶を取り出し、一体の蛇のような悪鬼を生み出す。
すると陸人が笑いながら瞬に言う。
「おいおい、そんなショボ悪鬼で俺らの相手する気かよ?」
陸人の言葉に瞬は薄く笑うだけである。
そして陸人は森羅達の方を向くと、二人へと言う。
「まーこんな奴らは俺一人で十分だからキミ達は座ってみて居たまえ」
瞬が召還した悪鬼に万事残壊で切れ目を入れるとその中に結晶を押し込む。
そして──悪鬼の姿が変質を始める。
どんどんと巨大化して行き、翼が生え、鋭い爪と牙が生まれ、もう一頭の頭も生まれた。
それを呆然とした表情で見る森羅と蒼威。
「ん? お前らそんなに間抜けな顔して何見てんだ?」
陸人は振り向く。
「どえええええええええええええええっ!?」
そこに居たのは双頭の巨大な龍。
周囲を風が渦巻き、圧倒的な格を有していた。
「陸人、ガンバ」
「俺らは見学してるからさ」
「ちょ!! お前ら親友だろ? オィィィィ!」
「安心しなぁ・・・全員ぶっ殺してやるからよぉ!! 行け【狂風】」
悪鬼が咆哮し口から圧縮した風の玉を吐き出す。
「ぬおおおおおおお!!」
「うおおおおおおお!!」
「お先ー」
必死に走る陸人と森羅を差し置いて蒼威は大我の翼を作り空へと飛ぶ。
「この裏切り者ぉ!!」
「アイツ・・・いつか殺す・・・」
風玉を必死に避ける森羅と陸人。
すると陸人は急に立ち止まった。
「やっぱこんなチマチマしたのは性にあわねえなぁ・・・」
陸人へと圧縮された風の玉が迫る。
すると、陸人は拳を軽く振った。
「お・・・アイツやるじゃん」
森羅が言うと空中で風の玉が爆発する。
陸人の式神、爆轟の力によって風の玉を爆破しているのである。
「よっしゃあ! 反撃再開だぜテメーら!」
「おう」
「お前が言うのかよ・・・まぁいい」
そして三人は瞬と狂風に向かって走り出した。
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