はい、後大学二回行けば夏休みです。
一応夏休みが終わるまでには終わらしたいこの作品。
頑張って書いてますw
【第二部】十六話:憎悪
「燃えろっ!」
黒い炎が猛々しく燃え上がり、神璽へと向かった。
神璽は大きく跳躍して空へと舞い上がると、持っていた剣を罪歌に投げつけた。
「甘い」
更なる黒い炎が現れて剣を焼き尽くそうとする、が炎は途中で威力を失った。
「炎は水で消える、コレは常識だろ?」
森羅の式神、水伯の力が作用したのである。
そして剣はそのまま罪歌へと突き刺さったかのように見えたが、それは残像であった。
「私は式神だけじゃないの、緋眼使いとしても私は一流」
「あーお前、蒼威の家の本家だもんな」
「俺もだぜー!」
何時の間にか森羅の背後へと移動していた狂が真空の刃を森羅にたたきつけようとする。
「秋月狂・・・貴方は無駄口が多すぎる」
由加が狂に向かって斧を振り上げ接近する。
狂は森羅に叩き付けようとした刃を由加の方へ向けると競り合った。
「・・・剣菱、合わせなさいっ!」
「うむ」
黒い炎の壁が現れ罪歌と剣菱の姿が見えなくなった。
そして次の瞬間、炎の壁から無数の白い熱線が放たれる。
「神璽っ!」
森羅が神璽の名を呼ぶ。
一瞬頷いた神璽は意識を集中させ、悪鬼を自分の前面に顕現させた。
無数の天照は全てその悪鬼に命中し、燃え尽きる悪鬼。
「チッ!」
「以外にやるな・・・こいつら・・・」
戦局は全くの互角。
しかし、ここで異変が起きた。
「罪歌っ! 神代が来たぞ」
狂が怒鳴った。
すると路地裏、ビルの上に数十人の術者が現れる。
「フン・・・狂、剣菱・・・下がりなさい。【緋澄】を顕現させるわ」
狂と剣菱は罪歌の言葉に即座に反応すると、後退をしつつ攻撃し始めた。
その間罪歌は眼を閉じると集中を始めた。
そして神璽はその隙に森羅へと言う。
「森羅さん・・・由加を連れて逃げてください」
「・・・お前はどうするんだ?」
「しばらく俺が囮になってあいつらをひきつけます・・・その間に由加を逃がしてください」
「やだ」
「由加・・・」
「私は神璽より強い・・・」
「でも、お前この町の地理をほとんど知らないだろ?」
「・・・」
「・・・わかった! 由加は任せろ」
「お願いします」
「神璽・・・死ぬの駄目」
「わかってるさ」
由加と神璽は数秒抱き合う。
そしてそれを済ませると、由加は振り返ることなく森羅と去る。
二人を見送ると神璽は悪鬼を数体顕現させ、走り出した。
蒼二と遥緋は聖子と志穂を連れて結界の出口まで来ていた。
遥緋は背負っていた聖子を下ろすと志穂へと優しく渡した。
「志穂・・・聖子をお願い」
「うん・・・」
「じゃあね・・・ここをしばらく行けば八神の人が居るはずだからその人に私の名前を出してね」
「わかった・・・」
「じゃあ・・・」
「ハル! また会えるよね? 蒼二も!」
悲痛な声で叫ぶ志穂。
遥緋は泣きそうになるのを堪えて言った。
「うん」
「俺はわからねー もう人殺しだしな」
「蒼二・・・」
「でも・・・またいつか会いてーな」
「約束だからな!」
「おう」
そう言うと志穂は聖子を背負って走り出した。
そして後に残った蒼二と遥緋は・・・
「・・・じゃあ・・・俺行くわ」
「お兄ちゃんにも譲れないものがあるんだね」
「ああ・・・」
「でも私にも譲れないものがある」
「わかってるさ」
「うん」
黙ってお互いの顔を見つめあう二人。
言いたいことは沢山ある。
それでもあえて言わない、その言葉はお互いに届かないと二人はわかっていたから。
その時、
「蒼ちゃん!」
上空から声が響き、命が地上へ降り立った。
そして遥緋を睨んでけん制しながら蒼二に問う。
「蒼ちゃん・・・私達を裏切るの?」
「違う・・・利害関係が一致したから協力しただけだ」
「あ、アンタ! 蒼ちゃんの何なのよ!?」
「妹だけど?」
「え・・・?」
「よく見ろよ、顔だって似てるじゃねーか」
「あ・・・」
今更気づいた命。
呆れる蒼二と苦笑する遥緋。
すると命は気を取り直して遥緋へと言い放った。
「私の義妹になったらたっぷり苛めてあげるから覚悟して待ってなさいっ!」
「ハ? 何でテメーが遥緋の姉になるんだよ・・・どう見たって年下だろ」
「うわ・・・お兄ちゃん超鈍感・・・」
「蒼ちゃんの馬鹿・・・」
「??」
「私もそろそろ行くわ・・・貴方達が世界を壊そうとするなら、私は殺してでも止めるから」
「こっちもだ・・・行くぞ命、罪歌達が心配だ。」
「うん、『私には翼がある』」
命の体に光の翼が現れ、蒼二と一緒に飛び去った。
それを見送ると遥緋も顔を上げて、再び西区画の中心へと走り出した。
そこは、荒れ狂う炎が通り過ぎたような惨状であった。
あらゆるモノが焼かれ、爛れ、黒く染まっていた。
「クソッ・・・棗由加に逃げられたぜ!」
「狂、貴方の神舞を使って追いかけなさい」
「ああ・・・」
「こっちは私と剣菱で押さえる」
「うむ、姉の事は任せろ」
「頼むぜ!」
「本気で危なかったら囚にも協力してもらいなさい」
「・・・おう」
そういうと狂は風に乗って飛び去る。
そして罪歌と剣菱は満身創痍の神璽へと向き直った。
周囲に居た神代の術者たちはほぼ壊滅状態に陥り、撤退していた。
「よく頑張ったね、榛名神璽君」
「うるせぇ・・・」
「ここまで君が持つとは思わなかった・・・お陰で神代も余裕で撃退できたわ」
「・・・・・・」
「でもこれが君の限界みたいね」
罪歌がゆっくりと神璽に近づいていく。
その手には黒い炎を纏っており、その腕を神璽の胸の中心へと掲げる。
「グァッ!」
罪歌の炎が神璽の肉を焼き、溶かす。
そして皮膚の下に黒い結晶が収まっているのを発見した。
「ん・・・」
どんどんと治癒していく神璽の傷。
罪歌は炎の威力を上げた。
「グァァァァッ!」
痛みに叫ぶ神璽。
そして・・・罪歌が結晶に触れようとした時、
「罪歌っ! 上だ」
剣菱の怒鳴り声により、罪歌は後ろへ大きくとんだ。
次の瞬間、さっきまで罪歌が居た場所に二本の日本刀が突き刺さる。
「ッ・・・二神風雷」
そしてその二本の刀の傍に八神正宗と八神時雨が降り立つ。
「罪歌・・・」
「正宗・・・っ!」
正宗は哀しそうな目で罪歌を見つめ
罪歌は怒りと迷いが混じったような目で正宗を見つめていた。
「罪歌・・・君は本気で世界を滅ぼそうと思ってるのか?」
「もちろん・・・」
「出来るわけないだろっ! 例え結晶を全て集めたとしても君らが出きる事はただの大量殺人だ」
「・・・それでもいいっ! 私達は復讐のために生き復讐のために死ぬから」
「・・・ふざけるなよ・・・」
「何よっ! 偉そうに説教して・・・貴方はあの時・・・私達を見捨てたくせに!」
「あの時行けなかった事は本当に謝る・・・だからもう辞めよう」
「・・・嫌っ! 私達姉弟を牢獄へやった世界が憎い! 一族を虐殺した神代が憎い!・・・復讐を果たせるなら死んでもいい」
「じゃあ死んでいいよ」
一発の銃声が鳴り響き、何かが罪歌の胸を貫いた。
罪歌は一瞬目を見開き、何が起こったのかもわからずに倒れこむ。
「罪歌っ!」
剣菱が駆け寄り、傷の具合を見る。
胸に空いた小さな穴から夥しい量の血が流れてきている。
「ハハハハハハハッ! 今までご苦労さん・・・秋月罪歌さん」
付近の小ビルの上から響く笑い声。
そこに居たのは神代彼方と黒いフード付きの服を着た何か。
「時雨・・・医療班をすぐに呼べ・・・」
「はい・・・」
多分間に合わないとは言わない時雨。
そして恐怖からか、一歩後ずさりしてしまう。
彼方ともう一人にではない、自分の父親が辺りに撒き散らす殺気に。
(母さんが死んだ時と同じ気だ・・・)
「死ね」
正宗が二神風雷の内の一本を手に取り振るう。
激しい雷が一本の斬撃と化し彼方の居たビルの一角を跡形もなく吹き飛ばした。
「全く危ないなぁ・・・殲滅者さんは気が短いよ」
「・・・」
「さて、それじゃあ僕も本気を出すかとしますかね!」
彼方は薄く笑った。
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