フフフ・・・
レポートなんてやってられるか!
現実逃避をしつつ書いた作品です。
評価、感想まってます、
【第二部】十話:浅葱陸人の憤慨
朝の浅葱家。
その家の一応家主たる立場の浅葱陸人はベットから起き上がると
階段を下りて、地下に作った道場へと降りていった。
(昨日の夜に誠一先輩が帰って、後は蒼威と時雨だけの修行だったなぁ・・・)
「ん?」
ここは道場だよな?
そんな疑問を思う光景がそこには広がっていた。
(ねぼけてるのかな・・・?)
目を一回擦り、改めて見渡す。
壁にはいくつもの大穴があき、床は傷だらけ、設置してあった鏡も全て割れていた。
「な・・・なんじゃこりゃぁーーーーー!?」
叫ぶ陸人。
すると隅のほうで転がっていた蒼威と時雨が唸る。
「うるせぇなぁ・・・」
「全く・・・流石ニワトリの名を持つ男ですね・・・朝から騒がしいです・・・」
「おいお前ら!! 何だこの惨状はよ!」
怒鳴る、しかし二人は陸人の質問を無視して会話を続けた。
「修理費なら八神に請求書送っといてくれ」
「さ、最初に式神使ってきたの蒼威さんじゃないですか・・・千島で持ってください」
「生意気にお前が俺のツラに一発いれたからだ」
「ええ!? そんな殺生な・・・」
「何があったか説明しやがれぇぇぇ!」
陸人の腕に赤い手甲が現れ、それを蒼威達に向かって軽く振った。
次の瞬間二人は飛び起きて移動する、それと同時に小爆発も起きた。
「親友に向かって何しやがる!」
「全く、何て横暴な人なんでしょうかねぇ」
「お前らな・・・今日は詩歌と梨香が帰ってくるんだぞ!?」
「そかそか、んじゃ俺らは飯食ったら帰るわ」
「詩歌さんと梨香ちゃんにヨロシクお伝えください」
そのまま立ち去ろうとする蒼威と時雨。
「待てコラ・・・今日は梨香の誕生日なんだ! テメーらも手伝え」
リビングへ二人を連れて行くと陸人は説明を始めた。
曰く、今日は梨香の誕生日なのでパーティをやる事になった。
仕事が忙しくて滅多に会えない娘のために陸人が企画したらしい。
だから数日前から準備しようとしていたのだが、時雨の修行につき合わされ
すっかり誕生日の事を忘れてしまった
「ってわけよ! だからお前らも手伝ってくれ」
「まぁ・・・僕らのせいでもありますね、手伝いましょう」
「そうすっか」
「おお! 流石緋眼の一族っ!! んじゃ蒼威は会場作り、俺と時雨は買出しに行くぞ」
「ハ? 何で俺が会場作りなんだよ?」
「お前の大我を使って分担して作業すればいいだろ、細かい所はお前がやればいいんだし」
「おお! 確かにな」
「んじゃ、時雨・・・買出し行くぞ」
「はい」
陸人と時雨はバイクに二人乗りで、近場にあったデパートへとやってきた。
バイクを降りて店へと入ると、陸人は言う。
「よし! まずは誕生日プレゼントから購入しよう!」
「はぁ・・・梨香ちゃんって何が好きなんです?」
その瞬間陸人の顔が凍りついた。
「・・・・・・知らないんですか」
「ど、どうしよう・・・? そうだ時雨、お前も正宗の息子ならロリコンなはず! 子供の好きなおもちゃってなんだ?」
「僕はロリコンじゃないし、そんなモノ知るわけないでしょ!」
「マジかよ・・・」
「とりあえず梨香ちゃんって今度いくつになるんですか?」
「確かー・・・あー・・・」
「駄目親父、ここに極まれりですね・・・」
仕方が無いので、正宗は記憶を探った。
確か初めて会ったのが、十年前・・・となると・・・
「確か14歳でしたね」
「おお!! そうそう、そういや去年中学に入ったんだ」
「ふーむ・・・14歳ともなるとそろそろおもちゃじゃ駄目ですね」
「俺が14のころ親父にねだったのがパチスロの筐体だからな・・・」
「・・・それ、もらったんですか?」
「馬鹿言え、ぶん殴られて気絶して誕生日が終わっちまったよ」
「ハハハ・・・んじゃアクセサリーとかはどうですか?」
「アクセか・・・おお、中々いいじゃないか。 流石ロリコン」
「だーかーらー! 僕はロリコンじゃないです!」
浅葱家は異色な風景に包まれていた。
まず○ンダムが掃除機を片手に持ち、部屋を清掃している。
そして○面ライダー一号&二号が大きなテーブルを見事な協力プレイで運んできた。
そしてキッチンでは○クション仮面が無表情で冷蔵庫から食材をとりだしている。
「緋色の眼は出版社、著者とは一切関係がございません〜♪」
即興で作った歌を歌いながら蒼威はエプロンを身に着ける。
ついでに携帯を操作し電話をかけた。
「おー陸人? 作業が思ったよか速く終わったから料理作っちまっていいか?」
「ああ、頼む」
「了解!」
蒼威は電話を切ると、作業していた大我を全て自分の下へと集め、空中で静止させる。
するとそれらは、様々な形の調理器具へと変化た。
「さて、久しぶりにはりきってやるかな」
「あ・・・蒼威さんが料理を作るんですか?」
この人は何を考えているんだろう?という瞳で時雨は陸人を見た。
しかし、肝心の陸人はケロっとしながら言い返す。
「ん? そうだけど」
「蒼威さんの料理・・・すいません、僕急用が出来たので帰らせていただきます」
「待てコラ」
逃げようとした時雨の服を掴み陸人は持ち上げた。
時雨の身長は178センチ、陸人の身長は187センチ、しかし陸人は片手で時雨を持ち上げている。
「嫌だ・・・僕はまだ死にたくない・・・遥緋の失敗作のほうがまだマシだ!」
「馬鹿! ああ見えて蒼威は料理が上手いんだぞ?」
「ハハハ、ご冗談を。理性が崩壊した獣に料理が作れるわけないでしょう」
「時雨、聞こえたぞ・・・今度殺すからな」
陸人のもう片方の手に握られていた携帯から声が響く。
すると時雨の顔が見る見るうちに青く染まっていく。
「俺としては・・・遥ちゃんの料理を食ってるお前のほうが信じられないのだが」
「ハ? 遥さんの料理は最高ですよ?」
「お前は高校時代の遥ちゃんの料理を食ったことがないからそう言えるんだ。
油と洗剤を一緒のものだと考えていれるような女だぞ? しかも米を洗う事も知らなかったし」
「そ・・・そんな・・・嘘だ・・・」
「俺の中の料理上手いランキングは、一位、空音さん 二位、詩歌 三位、梨香だな」
「戌亥さんの奥さんですか・・・」
「あの人はマジでありえん、何であんなボケてんのに料理が上手いんだか」
「はぁ・・・っとそろそろプレゼントも買ったし下の階行きましょうよ」
「おー・・・隠れろっ!」
陸人は時雨の首を引っ掴むと素早く物陰へと隠れる。
時雨が何事かと思いこっそりと陰から様子を覗くと
そこには詩歌と梨香が仲良く歩いていた。
「お母さん〜私お腹すいた〜」
「はいはい、じゃあ最上階のレストランへ行きましょうか」
「わーい!」
「今日はパパが誕生パーティの用意をしてくれてるからあんまり食べないようにね」
「パパかぁ・・・はぁ・・・」
梨香は軽くため息をつく。
すると陸人が号泣しながら声を漏らした。
「梨香〜何でそこでため息つくんだよ〜」
「陸人さんうるさい、見つかりますよ!」
「ごめんちゃい・・・」
しゃがみ込んで地面に人差し指で文字を書く陸人。
時雨は半ば呆れつつも話の続きを聞く。
「あら? 何でため息をつくの?」
「いや、ね・・・パパ絶対テンション高いからどうやりすごうかなって」
(うわぁ・・・ドライな娘だ・・・)
「梨香・・・アレはパパの病気見たいなモノだから許してあげて」
(詩歌さん! フォローになってないっすよ!)
「ねぇ、ママ・・・何でお父さんと結婚したの?」
「はぅっ!」
子供の純真な問いに陸人は大きくのけぞった。
そのまま床に寝そべると更に涙を垂れ流し始める。
(このままほっとくと脱水症状になったりするのかな?)
「好きに理由なんてないのよ、梨香はパパの事が嫌い?」
「詩歌・・・」
(立ち直りはやっ)
「んー私だってパパの事好きだよ? 出会い系しなけりゃね」
「ああ、確かにそこは人間のクズだと思うわ」
「じゃママ、そろそろご飯食べに行こうよ」
「そうね、行きましょうか」
歩き去る詩歌と梨香、時雨はそれを見送ると陸人の方を振り向いた。
「あーあ、行っちゃいました・・・ウゲッ!」
「へんじがないただのしかばねのようだ」
「何自分で言っちゃってるんですか・・・」
体育座りをして項垂れる陸人を見ながら時雨は言った。
それから動かない陸人に対して二十分ほど説教をしていた時だった─
「──!? おい時雨」
「はい、何ですかね・・・この気配」
デパートの上のフロアに悪鬼の気配が生まれた。
しかし、通常とは違いフロア全体に気配が広がっているような感じである。
「こっちは装備は短刀ぐらいです・・・結界師もいないし一旦撤退ですか?」
「詩歌の式神が結界と同じようなモノを張れる・・・チッ! いくぞ」
「はい」
時雨は携帯で部下に話しながらすぐにデパートの上階に対して封鎖をさせるように命じる。
陸人も浅葱家の本家と連絡を取り始めた。
「チッ・・・あのババァ共舐めた事言ってくれるぜ」
「浅葱の対応は?」
「被害は最小限、梨香は最優先で保護だとよ」
「浅葱は女傑一族ですからね・・・跡取りは失いたくないんでしょうね」
「詩歌はどうなってもいいってのかよ・・・梨香が生まれたらもういらねーってか」
「・・・それが家です」
「・・・わかってるよ、ってか昔お前の親父にも同じ事言われたっつーの!」
「あの人は八神のために生き、八神のために死ねる人ですから・・・」
「お前は違うのか?」
神妙そうな顔でいう陸人に対し、時雨は笑って一言。
「さぁね・・・でも俺は大切なものを失う気はありません、ただそれだけです」
「奇遇だな、俺も一緒だ」
「たまには意見が合いますね」
「まあな」
そして陸人と時雨は走り出した。
「【断絶】」
詩歌の言葉と同時に黒い"何か"が空間を切り裂いた。
これで、ここ屋上から上空百メートルまでの空間は完全に断絶された。
「ママ・・・」
梨香が心配そうに抱きついてくる。
詩歌はそっと頭に手を置くと諭すように言った。
「大丈夫よ」
とはいえ、内心では焦りの色が強い。
あのような悪鬼を見たのは始めてである、そしてもう一つ絶望的な状況があった。
(─後ろ!)
何かが迫ってくる気配を感じながら黒の線が跡形もなくそれを消し去る。
(もう一人・・・しかも明らかな敵意を持った式神使いがいる)
詩歌はしゃがみ込むと娘の周囲一体の空間を断つ。
断絶の力はその名の通り空間を断絶させる式神。
黒いラインが通った空間を断絶させるのだ。
(これで梨香は大丈夫ね・・・私が死ななければ)
詩歌は手首にしてあったリストバンドをずらし、そこにある自傷痕を見た。
かつて自分が弱かったころを思い出し、それを力に変え詩歌は前を向いた。
(気配はつかめない・・・視認しかないか)
ゆっくりと足音を殺して歩き、詩歌は空中庭園となっている屋上を進む。
そして─見た。
「あんな悪鬼が居たなんて・・・」
黒いフードを被り、体毛は黄金色に輝く悪鬼。
どこか獣人のような風貌をした悪鬼である。
「──!」
悪鬼が詩歌に気づき、雷を放ってきた。
詩歌は断絶の力で雷を消し飛ばすと、更に悪鬼の首筋に向かって黒の線を放った。
「・・・」
悪鬼は凄まじいスピードで線を避けると、雷でけん制しつつ詩歌に迫る。
(相当知能が高い・・・断絶を警戒してる)
詩歌も走って雷を避けながら線を放った。
すると遠くから銃声が聞こえ、自分の周囲へと着弾し燃え上がった。
「くっ・・・」
炎によって集中が乱れる。
そして悪鬼が猛スピードで詩歌に突進する。
「断絶・・・」
悪鬼の巨大な右腕が直撃する瞬間、黒い線が悪鬼の右腕を切り裂く。
しかし、猛烈な勢いで振るわれた手はそのまま詩歌を巻き込み吹き飛んでいく。
壁に勢いよく叩きつけられる詩歌。
「何て威力なの・・・」
すると悪鬼は詩歌を無視して梨香が隔離されている空間へと雷を放った。
何度も何度も放つ、詩歌はそれを絶望的な顔で見ていた。
「梨香!」
大声を上げて立とうとするが体言う事を聞かない。
そしてついに隔離していた空間が完全に破られる。
「梨香! 逃げて」
「いや・・・何のよ・・・これ・・・」
悪鬼の姿に脅えてしまった梨香は涙目で動かない。
そして悪鬼が左腕を振り上げ─
「梨香ぁ!」
そのまま勢いよく吹き飛ばされた。
そして何発かの小爆発が悪鬼の体を中心に巻き起こる。
「おいコラァ! 人様の娘に何さらしとんじゃぁ!」
「陸人!?」
詩歌が驚いたように言う。
しかし陸人には詩歌の声が全く聞こえてないらしく、悪鬼へ走った。
「詩歌さん大丈夫ですか?」
「あ・・・時雨君・・・」
梨香を抱きかかえた時雨が詩歌へ言う。
「ちょっと陸人さんブチ切れしてるんで、声が届いてないんですよ」
「みたいね・・・梨香、怪我はない?」
「うん・・・怖かった・・・怖かったよ・・・」
涙目で梨香は詩歌へと抱きつく。
詩歌はそれを優しく抱きとめると一言。
「元TEARPAINの三人の悪魔・・・【右腕】が目覚めちゃったみたいだね」
「アレがマジになった陸人さんですか・・・怖」
悪鬼の左腕が陸人へと迫った。
その動作に対して陸人は腕を軽く振った、すると左腕は爆発して跡形もなく消え去る。
「おい・・・今日はな・・・梨香の十三歳の誕生日なんだ・・・」
両腕を失った悪鬼のボディーに一発いれ、中に浮かせるとさらに乱打を放つ。
一発一発が凄まじく重い音を立て、悪鬼の体の大部分が消失していく。
「13歳の誕生日ってのは一生に一度しかこねーんだよ・・・なのにテメエはそれをぶち壊した」
ほとんど顔だけになって中を浮いている悪鬼へと向かって陸人は言う。
腰を深く落とし、右腕に力を集約させる。
そして体重移動と瞬発力と体の回転をそのまま拳に全て乗せて放った。
「死んでわびろ!」
大爆発が起き、悪鬼は跡形もなく吹っ飛んだかに見えたが、何か黒いものが残っていた。
宝石のような怪しい輝きを放つ闇の塊。
「これ・・・結晶か?」
陸人が結晶に触ろうとした瞬間、建物の陰から何かが放たれた。
手甲で全て弾き飛ばす、が、それはだんだんと形を成し悪鬼へと変化した。
「ハァ? んだこれはよ・・・」
その悪鬼達は結晶を回収するとすぐさま逃げへと転じる。
「待て」
時雨の式神、重場が悪鬼をおしつぶそうとするが、悪鬼は最後の力を振り絞り、結晶を投げた。
そしてその投げた場所には何時の間にか一人の白い服を着た少年が立っている。
「バイバイ」
少年は結晶を手に取ると、指鉄砲を作って一発打ったふりをすると結界を突き破って逃げた。
「チッ・・・もう一匹居やがったのかよ・・・」
「あ、そうだった・・・ごめんなさい陸人・・・言い忘れてた」
「いやいや詩歌、まぁ結果オーライさ」
詩歌を抱きかかえ笑う陸人。
「あ・・・梨香が見てるじゃない・・・」
頬を赤らめて軽い拒絶をする詩歌。
すると梨香はもう泣き止んだのかケロッとした口調で言う。
「気にしないで、父と母である依然に男と女なんだから」
(な・・・この子・・・蒼二より冷めてる)
絶句する時雨。
そんな事を思ってはいるが彼の頭の中はある一つの事で一杯であった。
(アレは・・・神代か? まぁ・・・断定にはまだ早いな)
デパートから少し離れた林道に少年は座っていた。
その少年─神代彼方は結晶を手に取ると呟く。
「やはり中級の悪鬼じゃあの程度か・・・」
「それにしても浅葱陸人があそこまで強いとはね・・・軽く喧嘩売ってみてよかったよ」
そして少年は立ち上がると森の中へと歩き去った。
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