はい、これから修羅場突入です。
大学の単位がかかっているのでしばらく
不定期更新かもしれません。
レポートが早く終われば、投稿しますので
是非読んでやってくださいませ。
【第二部】九話:千島遥緋の憂鬱
高校指定の制服を着る大勢の少年少女達。
通学路はその制服の白さで埋め尽くされて、平和な光景が続いていた。
その中を一つの異質がズンズンと歩いている。
「遥緋、どうしたのですか?」
立ち止まり、由加が一メートル後ろを歩く遥緋を振り返った。
遥緋は俯き、ため息をつくという。
「いや・・・ね・・・由加ちゃんは元気だなーって思って」
「そうですか、私は元気です、これ以上ないくらい元気です」
そう返事をすると由加は再びズンズンと進みだす。
(遥緋、遥緋)
(どうしたの?)
(今日は俺に変わってくれ)
(え〜・・・灼那が表に出るの〜)
(頼むぜ)
(まぁ・・・いいけど、絶対に喧嘩とかしないでねっ!)
(任せろ、俺は菩薩の灼・・・那って呼ばれた事もあるんだぜ)
(嘘っぽ・・・ま、この体は私だけのモノだとも言い難いしね)
遥緋の五感が遠ざかり、残されたのは視覚のみ。
半ば覚醒状態になると、自分の中で何かが表に出るのを感じた。
(ふぅ・・・外は相変わらず暑いねぇ・・・お前、髪の毛切れよ・・・ウザくてしょうがねえ)
髪をバサバサと掻き乱し、キッチリ締めてあったブラウスのボタンをはずす。
そしてブレザーを腕まくりにして、灼那は周りを見渡す。
いきなり立ち止まって人が変わったように見える遥緋を通行人のほとんどが見ている。
「何見てんだコラァ!」
(やめてー! 灼那やめてええええええええっ!!)
「遥緋、どうしたのですか?」
更に遠くにいた由加がいきなり大声を上げた灼那の元へと駆け寄ってきた。
灼那はフッと笑うと由加に言う。
「いや、何でもねーよ。 さっさとガッコ行こうぜ」
「はい・・・貴方第二のほうですか?」
「おう! 今日一日は俺が出てるからヨロシクな」
(もう嫌・・・)
校門付近に近づくと、由加は目立たない場所から塀をよじ登ろうとした。
(流石にこのまま暴走させるのもまずいな)
灼那はバックから遥緋がこっそり用意していたモノを取り出す。
「おい由加、これを着ろ」
「これは・・・」
灼那がカバンから取り出したのは遥緋の夏服であった。
まだ時期は多少早いものの、私服で潜入するより数倍マシなのである。
「早く着替えちまえ」
「恩にきます」
由加はその場で服を脱ぎだすと制服に着替えだした。
灼那がそれをしげしげと眺めていると・・・
(灼那、後ろを向いてなさい)
(ハ? 何で)
(いいから!! 強制的に変わるよ?)
(へいへい・・・チッ・・・)
(何か言った?)
(いや、別に・・・)
「終わりました」
灼那が振り向くと制服姿の由加が相変わらずの顔で立っている。
少し着慣れない服に戸惑いを感じているようだ。
(お、面白い事思いついた)
「どうよ着心地は?」
「悪くはないです」
「胸の辺りとか超キチーだろ? ま、我慢してくれや」
「そうですね、かなりキツイですが・・・しょうがないですね」
(ハハハ、 ド ン マ イ 遥緋)
(・・・・・・・・・・くっ)
廊下を鼻歌を歌いながら軽快に歩く神璽。
カバンを軽く肩に担ぎ、すれ違う女の子達を眺めながら神璽は思った。
(今日は良い一日になりそうだな〜)
途中でクラスメイトに挨拶をしつつ神璽は教室へ向かった。
(由加は・・・まぁ、大丈夫だろう・・・あの千島蒼威さんって人もよさげな感じだったし)
圧倒的な強さの式神だった。
強さに満ち溢れ、格を有す式神。
(ってか千島って・・・・・・ま、千島さんが関係あるわけねーか)
でいつも控えめに笑っているクラスメイトを思い出す。
どう考えてもあの男は接点がなさそうに見えた。
そんな事を考えつつ、歩いているといきなり首を鷲づかみにされ、引きずられた。
「おおお!? 何だよ!?」
「おい、テメーが榛名神璽だろ? ちっとツラかせや」
神璽が見上げると、獰猛な笑みの遥緋─灼那がニヤリと笑い自分を見ていた。
そのまま灼那は神璽を屋上まで引っ張っていくと開放した。
「ち、千島さん? いきなり何すんだよ!!」
「あ? テメーに会わせたい奴がいるんだよ、・・・オラ出て来い」
灼那の声と共に物陰から由加が出てくる。
「ハ・・・・・・・・・・・・?」
「神璽・・・」
「な・・・・・・何で由加がここに?」
「テメーの学校生活を見て見たいんだとよ・・・んじゃ俺は教室行くわ、由加、説明ヨロシク」
「わかりました」
「え? え? ええええええええっ!?」
一人狼狽する神璽を残し、灼那は屋上から立ち去った。
「ち、違うんだ由加! 決して俺はナンパ師とかじゃなくて・・・その・・・うぎゃああああああ」
響き渡る悲鳴。
その声を聞き遥緋は心底同情したように呟く。
(榛名君・・・ご愁傷様)
「〜♪」
(この悪魔・・・)
教室へ入ると全員がいつもとは感じの違う遥緋に驚く。
灼那はそれを気にせずに席へついた。
それからも灼那は暴れ続けた。
一時間目・英語
「千島さん! 起きなさい!」
「Fuckoff!」
「な・・・」
(ちょっと灼那!?)
二時間目・数学
「千島! 授業中に弁当なんて食べるんじゃない!」
「やだ」
「お前・・・授業中なんだぞ!」
「そうだね」
「・・・ろ、廊下に立ってろ!」
「ふざけろ」
(灼那ーーーーーーー!!!!)
三時間目・科学
「は、ハル!? アンタ何してんのよ」
「あ? カルメ焼き作ってんだよ」
「アンタねぇ・・・勝手に機材使ってていいの?」
「知るか! お、できたできた」
(・・・・・・・・・・)
四時間目・体育
「今日は100Mのタイム計るのかー・・・だるいよね?」
「おもしれーじゃん!」
「ハルちゃん、何か今日は元気だね・・・」
「そうか?」
「おい千島ぁ! さっさとスタートラインにつけ!」
「チッ・・・うるせえジジイだな・・・マジで緋眼使って殺すか」
(やめなさいよ!!)
(わーってるよ!)
四時間目が終わり、昼休み。
灼那と志保と聖子は机を移動させ、昼食を食べていた。
「ハルちゃん・・・何か今日は良く食べるね」
「食は一日の元気の源だからな」
机の上には五つの弁当。
そのうちのの三つは灼那がさっき売店で買ってきたものである。
(ああ・・・私のダイエット計画・・・今月のお小遣いが・・・)
「ってーかハル! アンタ・・・今日変だよ? 中学の頃喧嘩ばっかしてたとき見たいじゃん」
「ええ!? ハルちゃんレディースとかだったの?」
「違うよ・・・まぁ、今日はテンションの高い日なんだよ」
灼那がヘラヘラしながら言うと聖子と志穂は妙に納得した感じで頷いた。
「なるほど、ソージが帰ってきたからテンション高いわけね」
「ハ?」
「ソージさんカッコイイよね〜昨日もメールしちゃったよ」
「マジで!? アタシなんか空メールだけだったし!」
「・・・おい、蒼二と会ったのか?」
「うん」
「はい」
(遥緋・・・どうするよ?)
(まぁ・・・お兄ちゃんがこの街にいるのはわかってるし今はいいと思う)
(わかった・・・とりあえず由加んとこ行くか)
(うん)
「んじゃ、俺午後の授業フケるから、後ヨロシク!」
聖子と志穂にそう告げると灼那はカバンを持って飛び出した。
屋上へ行くと、顔がボコボコに腫れ上がった神璽が座っている。
そして、灼那の存在に気づくと喋りだした。
「話は聞いたよ・・・千島さんも、俺達側の人だったんだね」
「ああ・・・由加は?」
「トイレ」
「なるほどな・・・」
「これからも由加を頼むよ・・・由加は強そうに見えるけど・・・弱い部分もあるから」
「おう・・・」
「ありがとう・・・ってか千島さん、何か今日男っぽくない?」
「俺は遥緋の第二人格、灼那だ」
「へぇ・・・やっぱ二重人格なんだな〜 ってかあの蒼威さんって人の娘って本当なの?」
「・・・」
(遥緋、少し寝てろ)
(え? 何で?)
(いいから・・頼む・・・)
(わかった・・・)
遥緋が奥に引っ込んだ気配がする。
そして、灼那は大きく息を吸い込むと一言。
「同胞だよ・・・」
「え?」
「いや、気にするな・・・ってかお前に頼みがある」
「な、何?」
「この先、遥緋に辛い戦いが多く訪れると思う・・・その時は、お前と由加でアイツを支えてやってくれ」
「・・・・・・わかった、灼那は加勢しないのか?」
「俺は・・・俺は・・・誓いを果たすためだけに生き延びた・・・でもそれを果たしたら・・・」
神璽からは夕日の逆行で灼那の顔が見えなかった。
しかし、口調からしてどんな顔をしているかは容易に想像できた。
それを知った神璽は言う。
「任せてくれ」
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。