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  緋色の眼 作者:ジョン
評価システムが変わって11点になりましたw
どなたかよかったら評価御願いします。
7月14日まで修羅場なので、投稿ペースは
遅くなるかと・・・OTL

【第二部】八話:千島蒼二の邂逅





「・・・こんな時間に何の用事だよ?」

 陸人が眠そうな目で蒼威に言った。
 
「いや、お前の家の地下に道場見たいな場所あったろ? そこ貸してくれや」

「えー・・・俺、これから詩歌とムハムハタイムに突入しようと思ったのによー」

 渋る陸人、すると蒼威を押しのけて誠一が前へと出た。
 その瞬間、陸人の顔が凍りつきそして驚いた声を上げる。

「せ・・・誠一先輩・・・」

「よう! なぁ、頼むぜ陸人〜」

「ハァ・・・どうぞ、上がってください」


 浅葱家の地下にある一室。
 時雨と誠一は向き合い、お互いにプレッシャーをかけ与える。

「時雨、式神以外ならなんでもやっていいぞ」

 蒼威の言葉に時雨は内心憤慨した。

(緋眼使わなきゃ負けるってことですか・・・)

 強いのは知っている、しかし蒼威が誠一と戦ったのは高校時代。
 今でこそ敵わないが、流石に高校時代の蒼威には負けているつもりはない。

(ましてや・・・シャバなガキ共に喧嘩で勝って粋がってた人だぜ)

 時雨は緋眼を発動させ、誠一へ襲い掛かった。
 
(狙うは・・・顎! 脳を揺らされちゃ立てる人間なんてまずいない)

 時雨は緩急をつけながら誠一へと迫り、ボディーに一発フェイントをいれて顎を狙う。
 すると誠一はいきなりその場にへたり込んだ。
 そして次の瞬間、誠一の蹴りが下から時雨の顎を打とうとする。

(クッ)
 
 何とか顔を逸らしてスレスレで回避すると、時雨は一度距離をとる。

「おー俺らもあの技にひっかかったんだよなぁ〜」

「ああ、あんな事をするとはまさか夢にも思わなかったぜ」

 陸人と蒼威の無責任な声が響く。
 そして時雨は一度ステップすると、もう一度誠一に突っ込んだ。
 今度は全力の速さ、体中の筋肉が悲鳴をあげる。

(これで──終わりだっ!)

 腰を捻り、地面を勢いよく踏み、体中の力を全て拳に注ぐ。
 しかしその拳は誠一の突き出した肩によって阻まれた。
 そして誠一の拳が時雨の顔に直撃し、意識が消失した。










「─ハッ!」

 時雨は勢いよく飛び起きた。
 辺りを見渡すとそこは浅葱家の客間であり、隣のベットには誠一が寝ていた。

「うふぅ〜ん〜夕ちゃん・・・そんなトコ触っちゃ駄目〜」

「・・・・・・・」

 時雨は昨日殴られた頬をさする。
 多分、黒ずみになっているのであろう・・・少し触ると痛みがした。

「また・・・負けたのか・・・しかも一般人に」

 自分が許せない。
 緋眼使いである自分が一般人に負けた。
 あってはならない事、今までの自信等が全て崩れ落ちていく。

「俺って・・・一体・・・」








 朝食などの支度を済ませ、時雨と誠一は再び対峙した。
 どうやら、今日は仕事が休みらしい。
 道場には蒼威の姿は無く、陸人だけが残っていた。

「昨日は一撃で気絶させちまって悪かったな」

 誠一が言う。
 また一つ、時雨のプライドにヒビが入った。

「いえ・・・では行きますよ」

 緋眼を発動させ、時雨は誠一へと迫った。
 凄まじい速さでの攻防が繰り広げられるが時雨は違和感を感じた。
 
(攻撃してこない?)

 誠一は防御や回避ばっかりで時雨に攻撃はしてこない。
 すると・・・

「俺は世界ってのは自分の意思で変えていくモンだと思ってんだよ」

誠一が攻撃に転じた。

「例えば、バック転をしたいと思うだろ? でも恐怖があっちゃアレはできねー」

 鞭のような蹴りが時雨の頭上を掠めた。
 
「俺には絶対できるって自信が必要なんだ、んで、それが意志力ってわけ」

 そのまま足の向きが変わり、踵落しが迫る。 

「お前・・・力にビビってねーか?」

 とっさに横へ飛んで避ける。

「自分の力は危険な力、だから使うのが怖い、どこかでお前は力をセーブしてねーか?」

 体勢を立て直すと拳が迫ってきていた。

「蒼威はもう迷っていない、だから強い、陸人も森羅も然りだ」

 紙一重で避ける。

「だからよぉ・・・お前が迷いを捨てなきゃ永久にお前は負け犬ってこった」

 そのまま立ち止まった。

「確固たる信念が無い奴には勝てるが、テメーを通して生きてる奴らには絶対勝てねーよ」

 更に誠一の拳が迫る。

(蒼二は・・・迷いが無かったな・・・)

 後、数十センチ。

(俺の信念・・・・・・)

 後、数センチ。

(俺は・・・あの時を取り戻すっ!)

 顔を少し横に動かし、拳が通過していくのを感じた。


 ─優しかった時間─


 ─もう戻れないあの時─


 ─それを取り戻そう─


 ─そして、時雨の中で何かが弾けた。












 蒼二と剣菱がたまり場にしている酒場。
 薄暗いランプだけが唯一の光源。
 その中には死罪六神が全員揃っていた。

「全員揃うなんて久しぶりね」

 罪歌が言う。

「フン、貴様ら姉弟が好き勝手にイチャついておるからだろうが」

 剣菱が嫌味っぽく言うと狂がすぐさま食って掛かった。

「イチャついて何かねーよ! ああ、そういや蒼二・・・アレはできたか?」 

「ああ・・・時雨を半殺しにしてやったぜ」

「へぇ・・・中々やるじゃねーか」

「あんなん雑魚だ雑魚」

「んで、そちらのガキは何でむくれてんだよ?」

 狂の言葉に命が頬を膨らましてそっぽを向く。
 本人としては拒否のつもりの行動なのだが他の人には可愛く見えて仕方が無い。

「ああ、ウチの妹に完璧に負けちまったんだよ」

「ほぉー命を負かすなんて中々強くなったんだな、あの子
 俺と初めて会ったときなんか・・・いきなりお金は持ってませんだからな」

「狂ちゃんの悪人極まりないフェイスじゃ仕方ないよ」

 命がニヤリと笑いながら言う。
 そして案の定

「んだとコラァ!」

「はいはい・・・では今後の方針を発表するわ」

「チッ・・・」

「全員で結晶使いの確保、編成は私、命、剣菱の班と狂と蒼二の班ね」

「ういーっす」

「了解」

「うむ」

「はーい!」

「作戦開始は一週間後、この街の縁日の日よ!」

「ハ? んでわざわざ人が多い日にやるんだよ?」

「人の集まるのはこの街の中心街、でも西区画とか追い込んだらどう?」

「・・・なるほど」

「納得してくれたみたいね・・・それじゃあ自由行動にするわ」





 ミーティングが終わった後、蒼二は街に居た。
 キャップを被ってなるべく顔を隠して移動する蒼二。
 その辺をブラブラしながら彼は考えていた。

(・・・平和だな)

 見ている世界は平和そのもの。
 誰もが自分の目的を目指して止まらずに道を歩いていた。
 その中で一人立ち止まる自分が何故か・・・歯痒い。

(アイツを殺したこの世界・・・俺は嫌いだ・・・でも・・・)

(アイツは・・・朱音はこの世界が好きだった・・・)

 その世界を本当に壊していいのだろうか?
 大切な人が好きだった世界、それを壊してもいいのだろうか?
 だが自分はこの世界が嫌いだ。
 大切な人を殺したこの世界が嫌いだ。
 そんな葛藤が蒼二の中で生まれる。

(私が死んだ後、悪鬼が世界のバランスを崩しそうになったら貴方が止めて、か・・・)

(悪鬼は存在を許すつもりは無い・・・全て殺しつくして結晶もぶっ壊す)

(そのためなら・・・なんだってするさ・・・人殺しだって・・・なんだって・・・)

 どす黒い感情が燃え上がる。
 そう・・・これは蒼二なりの自分の信念を忘れないための儀式。

(悲煉)

(はい)

(お前は・・・俺についてくるんだな?)

(はい、私の目的に力を貸していただけるのなら)

(その目的って何だ?)

(時期が来たら言います・・・今は蒼二がしたいことに力を貸しますよ)

(そか・・・)

(はい)

「あれ? あんた・・・ソージ?」

 突然背後から声が響き蒼二は振り向く
 そこに居たのは・・・かつての同級生、絹塚志穂が居た。
 
(何で・・・コイツがここに・・・)

 中学時代の思い出が蘇る。
 いつも遥緋と一緒に居たリーダー格の女で、確か委員長もやっていた。
 もちろん、蒼二とも何回も喧嘩した。

「絹塚・・・」

 そう呟いてから後悔する、無視をすればよかったと。
 
「あらら? ソージってハルちゃんがこの前言ってたお兄さん?」

 志穂の影から聖子が現れて志穂に問う。
 
「そうそう、コイツが打ちの中学、最悪の問題児にしてハルの兄貴よ」

「あら、はじめまして大野聖子申します、ハルちゃんにはいつもお世話になってます」

 聖子が手を差し出す、蒼二はしばらく迷った後握り返して一言。

「ども・・・」

「ソ・・・ソージが握手してる・・・ってかアンタ海外行ってるんじゃないの?」

「俺は猛獣か・・・・・・少し帰国してんだよ」

 もう、自分は高校にすら行っていない。
 もしかしたら戸籍も無いかもしれない。
 完全に違う場所にきてしまったんだと蒼二は思った。

「へぇーんじゃハルの新しく建てた家に今帰ってきてるんだ?」

「いや・・・事情があってホテル暮らし」

「ふーん、いつまでここに居るの?」

「多分・・・後一週間ぐらいだな」

「なるほど、んじゃこれ、アタシの新しいケータイの番号とメアド、暇だったら連絡ちょうだい」

「いらねー」

「うっわ! お前相変わらず空気読めない奴だな!」

「お前に言われたくないね」

 言い合う志穂と蒼二。
 すると今、あで成り行きを見守っていた聖子も紙を取り出して蒼二に渡す。

「これは私の番号とメアドです〜」

「ああ、ありがとう・・・」

「コラァ! ソージ!」

「うるさい生物だな、まだ居たのか」

「テメエ・・・」

「冗談だ、仕方ねーから貰っといてやるよ」

 蒼二は志穂からも紙を受け取った。
 そして二人を見ると言う。

「んじゃ・・・俺はそろそろ行くわ」

「んだよ付き合い悪ーな! 豚丼くらいなら奢るぞ?」

「そうですよ〜ハルちゃんとのお話聞かせてくださいよ〜」

「いや・・・悪いな、そろそろ行かないと殺される」


 それだけ言うと蒼二は手を振って歩き出した。
  



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