第二十話:灼也と煉
御崎家の戦いから約二年、遥緋は明日から高校生になる。
俺は遥緋が六歳の頃から中に居るので、嬉しいやら何とやら。
「フンフン〜♪」
呑気に鼻歌なんて歌いながら明日の準備をする遥緋。
そう、遥緋は東京に高校に通っているのだ。
あの戦いの後、悪鬼の結晶の事が蒼威と正宗によって話された。
あいつらはずっと結晶について調べていたらしい。
そして八つの結晶のうち六つを死罪六神が所持している事も明かされた。
死罪六神の奴らはここ二年、全く姿を見せていない。
御崎家との戦いで死亡した説と、居なくなった蒼二と結託したと言う説がある。
俺は蒼二とは話した事はあんまねーからアイツの事はぶっちゃけよくわからん。
でも・・・
俺が遥緋の中に居るって事は絶対アイツも蒼二の中に居る。
俺の本当の名前は灼那じゃない・・・灼也、それが俺の本当の名前。
なのに何故灼那かと言うと、遥緋と始めて出会った時の話だ。
「あなただぁれ?」
「シャクヤだ」
「しゃくにゃ?」
「シャ! ク! ヤ!」
「シャクナちゃんかぁ〜」
「もういい・・・」
そんなやり取りがあってこんな名前になった。
ちなみに漢字はほとんど当て字な。
まぁ・・・灼也で出て、蒼威と会うのも何か気まずかったし
そーゆー名前にしたわけだ・・・
そして俺とは・・・・・・遥緋が生んだ人格ではなく蒼威が生んだ人格。
蒼威が小学生の頃、苛められていたアイツを助けるために俺は生まれた。
生れた時からわかってたんだ、俺はコイツを守るための存在だと。
そう誓い、俺と蒼威は共に生きてきた。
蒼威が中学生の時に、一回転校をした・・・そして陸人と森羅と蒼威は出会った。
陸人も森羅も最初は敵だった、まぁ・・・二人とも俺がボコボコにしてやったんだけど。
陸人はタコ殴りにして二階から叩き落し、森羅は肋骨を折ってやった。
そして俺達は何故かつるむようになり、とあるチームを結成した。
そして中学生も終わりなある時期に、蒼威と陸人は森羅と決定的な別れをした。
まぁ、俺から言わせて貰えばアレは食い違う意見が生んだ悲劇って感じかな。
そして逃げるように街を去り、とある高校に入ったんだ。
そこには水原先輩をはじめとするスゲー馬鹿だけど、優しい人達ばっかりだった。
そして・・・入学して数日たったころ・・・アイツが現れたんだ。
アイツもあの時交わした誓いを覚えているのだろうか?
俺達の存在する理由にして、昔誓った事
それは・・・
「ハァァァァァァッ!!!」
紅雪を閃かせ、蒼二は式神を切り払う。
そして次々に現れる術者達に凄まじい速さで襲い掛かった。
私と蒼二は今、神代の分家を狩りに来ている。
あの戦いから二年・・・蒼二は昔の面影を残さないほどに変わってしまった。
全ては復讐と約束のため、彼の行動理念はただそれだけ。
「お前らの・・・お前らのせいでーっ!! 」
大地から無数の氷柱が突き出し、周囲一帯の術者たちが串刺しにされた。
殺して、殺して、殺しても蒼二の心が晴れることはない。
「アアアアアアアアアアアッ! 許すもんかぁ!!!」
絶叫を上げ、返り血に塗れながらも蒼二は紅雪を振る。
そして・・・神代の分家、四条家の術者達は全て沈黙した。
そんな姿を見て思う。
(私は最後の最後までこの子の味方で居よう)
そして思い出した・・・初めて生まれたときの事を・・・
私がはじめて生まれたとき、蒼威は高校一年生であった。
そして私が生まれた理由・・・それは海野誠一と言う男の存在。
入学してすぐに先輩集団に喧嘩を売り、見事までに蒼威は負けた。
その時蒼威は無意識に恐怖を感じ、灼也以上の存在─私を生んだ。
私は生まれてからすぐに蒼威の記憶を探り、自分の使命を理解した。
そして私はこうも思った。
(私は・・・蒼威の盾でしかないのか・・・そして用がなくなったら消える存在・・・)
そして私は決意した・・・蒼威の体を乗っ取って、私が千島蒼威になってやろうと!
綿密な計画を立て、まず私は高遠陸人を襲った。
彼は蒼威の無二の親友の一人、居ると後々めんどくさい。
そして・・・・・・海野誠一も消そうとして失敗した。
緋眼使いである私に生身で勝ったのは後にも先にも奴だけであろう。
それほどまでにあの男は強かった、そして蒼威に優しかった。
そして私はしばらく大人しく蒼威の中で作戦を練り続けた。
そんなある時、私に転機が訪れた。
敵対していた神埼森羅と決着をつけるときが来たのである。
私は最後の力を振り絞って蒼威の体を乗っ取ると、神埼森羅を殺そうとした。
そして蒼威の心を崩し、完全に支配下に置いた、が
またも海野誠一と高遠陸人に邪魔をされた。
そして蒼威が本当の意味で主人格となった。
灼也は蒼威に俺達を消せと言った時m蒼威はたしかこう言った。
(俺はお前等のいた事を生涯忘れない・・・今まで本当にありがとう)
忘れない、私の事を覚えていてくれる、私が存在した証が残る。
そして私と灼也はその時、真に蒼威を認めた。
緋眼は私にもよくわからない能力である。
唯一ついえるのは、私と灼也が認めた事で蒼威は一人で緋眼を
使いこなせるようになったと言う事だ。
そして・・・そのまま私達は消えた・・・と思ったのだが。
何故か蒼威の奥底の方で半覚醒状態で私達は存在していた。
蒼威が高三になった頃だろうか・・・いきなり私の意識が飛んだ。
目を覚ますと・・・そこは蒼威の中ではなかった。
そしてそこには蒼威の面影を残す少年が居たのである、それが蒼二。
「アンタ誰?」
「私は・・・・・・・・・」
煉と名乗りたかったが、何故か名乗りにくい。
そして私は思考をフル回転させて新しい名前を考えた。
まずは五十音をあてはめてみよう、あれん、いれん、うれん、えれん・・・
そして
「私はヒレンだ!」
漢字は悲煉。
それが私の新しい名前。
「ヒレンか、助けろよ! 二年生がハルヒ苛めてるんだ」
何だこの子の偉そうな雰囲気は・・・
そう思ったが新しい宿主での初仕事だ、さっさと片付けて現状を把握しよう。
そして私は蒼二の体を制御するといじめっ子達を完膚なきまでに叩きのめした。
「ヒレン、強いなぁ・・・でも俺だったあれぐらいできるよ!」
次の瞬間、私は驚愕した。
蒼二が自分の力で緋眼を制御し使い始めたのである。
この子は緋眼に愛されている・・・心からそう思った。
灼也も遥緋?だったか・・・の中に居るのだろう。
あの男もあの時交わした誓いを覚えているのだろうか?
それは・・・
蒼威を守る
ただそれだけの誓いを・・・
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