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あいつは誰にも渡さない。
作:亜純 玲



第四部 『黒羽快斗』


ガラッッ


「ふぅ。危なかった〜、ギリギリセーフ!それにしても・・・ったく、新一ったら・・・。」
蘭はブツブツ言いながら自分の席に着いた。
幸いまだ先生も来ていないらしく、教室は女子が雑誌を見て騒いだり男子が教室の後ろで走り回っていたりして騒がしかった。

「あ、らーん!おはよ!!」
そこへ茶髪でストレートの髪の女子が雑誌を持って蘭の方へと走ってきた。
「あ、園子〜。おはよう!」
彼女の名前は『鈴木 園子』。
蘭の親友であり、鈴木財閥のご令嬢である。

「ねぇ、新・・一君戻っ・・てきた・・んでしょ!?」
園子は走ってきたせいか息切れをさせながらも途切れ途切れに言った。
「あ、うん。何で分かったの?」
「・・・何でって?そりゃさ、あんたの顔見ればすぐピンとくるわよ〜。何だかすっごく嬉しそうな顔して入ってくるんだから、まったく。」
「え!?そんなに嬉しそうだった?」
「そりゃあもう!すっごく嬉しそうだったわよぉ。・・・はぁ、やっと待ち続けたかいがあったわ!大好きなあの人がやっと帰ってきてくれた・・・。私にもう、怖いものなんて何もないわ!・・・・・・なぁ〜んて思っているような顔してたわよ〜?」
園子は両手を胸に当てて熱演した。
「ちょ、ちょっと園子!?私は、新一なんて好きじゃないっていったでしょ?あいつとはただの幼馴染!・・・それに、もう私にはいるでしょ?」
蘭はまた始まったとでも言うような顔をしている。
「ゴメンゴメン!つい、いつものノリ!!・・・それにしても、その事言ったら工藤君、傷つくわよね。」
「え、何か言った?園子。」
「あぁ〜、なんでもないなんでもない!あっ蘭、黒羽君きたわよ!」
「えっ!本当?」


 ガラッ


蘭はビックリして前を振り返ると、そこには『黒羽 快斗』がいた。

「はーい、じゃあ私は向こうに行きま〜すっ・・あ、黒羽君おはよ!蘭はここにいるわよ〜ん!じゃね、蘭!」
園子は悪戯っぽい笑顔を見せて、そそくさと後ろの女子の方へと走っていってしまった。
「なによ、もう。あ、快斗おはよう!」
蘭はにっこり笑って言った。
「おう!久しぶりだな〜。」
「なぁ〜にが『久しぶりだな〜』なのよ、いっつも会ってるじゃない。・・あっ園子、雑誌忘れてる。快斗、ちょっと渡してくるね!」
蘭が椅子から立ち上がって渡しに行こうとしたその時、
「蘭、いいよ。お前はそこに座ってろ。俺が届けてくるから・・。」
快斗が蘭の腕をつかんで椅子に座らせた。

「はァー・・・・。いいわよねぇ、あーいうカップルって・・・まったく!見つめ合っちゃってるし〜。」
「ホントホント!っていうか蘭ちゃんと快斗君って付き合ってるんでしょ?」
「ホ〜ント、いいよね。私なんてまだまだなのにィ!!」
「それに快斗君・・・・かっこいいよね〜っ!」
後ろにいた園子と他の女子たちが蘭と快斗の様子を見ながらこそこそと喋っていた。

「・・・ねぇ、そういえばさっき園子言ってたけど本当なの?」
「ん?何が?」
園子の隣にいた女子が急に声を潜めて喋りだしたので、皆耳を傾けた。
「・・ホラ、さっき言ってたじゃない!・・・工藤君が帰って来たって!」
「えっ!帰って来たの!?」
「うん。さっき蘭が言ってたよ。」
園子が言った。
「・・・だから新一君、可哀想だなって思ってたのよね・・。」
「えっ?何で〜?」
「・・だってさ!ホラ、新一君って蘭の事好きでしょ?」
『うん、うん』
皆、声を潜めて言った。
「だから、蘭と黒羽君が付き合ってるって知ったら〜・・。」
「あぁ、そっか!工藤君かわいそー!!」
「ホントホント!倒れちゃうんじゃない?」
園子や他の女子たちがいっせいに納得して大声を上げたので、一斉に注目があびてしまった。
「あー何でもないよぉっ!」等と赤面になりながらも誤魔化してまた例の話題へと移した。

「そういえばさぁ、工藤君と快斗君って似てない?」
「うんうん。私もそう思ってたぁ。」
「あっ、そいいえば前に蘭と渋谷に行った時、蘭が新一君に似てる人見たんだって。だからそれ快斗君だったんじゃないかな?」
「あっ!絶対そうだよ。工藤君と快斗君って双子みたいにそっくりだし!かっこいいし〜。」

と、いろいろ話している時後ろから、

「はい。お嬢さん方?雑誌をお忘れですよ。・・私に何か用ですか?」
快斗が甘ったるい声をして、雑誌を渡して来た。
「あ、いえ。何でもありません!雑誌ありがとう・・。」
女子の1人は快斗のとりこになってしまっているようだ。
「そうですか?工藤とか何とかと、聞こえたような気が――」
「いえッッ!!本当に何でもありません!雑誌ありがとうございましたぁッ」
「・・・?どういたしまして♪」

 ポンッッ

快斗は少々不可解な顔をしながらも、にっこりと笑顔をつくってバラを一輪すぐ側に居た女子に渡した。すると優雅に蘭の方へ帰って行った。

何分かずっと女子たちはポ〜っと頭が上の空になっていた。
快斗は新一が居なくなってからの転校生なので随分と人気をあびていたのだろう。
「・・・ね、ねぇ。今、快斗君かっこよかったよね・・っていうか素敵・・。」
「う、うん。あたしあんな感じの人タイプ・・・・。」
園子たちは、バラを見ながら意識を取り戻して自分達のタイプを話してため息をついた。
「・・・でも蘭がいるから。無理よね・・・。」
「はぁ〜・・・。」



#作者より#
どうも、亜純玲(アズミレイ)です^^
「あいつは誰にも渡さない。第四部『黒羽快斗』」を読んで頂きまして、ありがとうございます!
今回出てきた快斗君は新一君とは初対面と言う設定になりますので、宜しくお願いしますっ

それでは少ないですが小説評価・感想・アドバイス等を宜しくお願いします^^











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