第十部 『Angel』
コツ コツッ
「・・・・・・あれから蘭さんたちどうなったかしら・・。」
志保が急に立ち止まった。
つられて園子も足を止めた。
「・・ん〜・・・まぁどうだろうね。ここからはあたし達が入る場じゃないし・・。
まぁそれよりもっ!よくここまでシナリオどーりに動いてくれたわよねー。ねっ志保♪」
にんまりと笑って園子がこっちを向いてきた。
「クスッ・・・そうね、まぁよくあの三人を見てれば分かるものよ。可哀相ね。あの恋愛勘0の子供達・・。」
『プッ・・・・アハハハハ!!!』
とまどいもせずに志保と園子は夕暮れの道の中を笑いながら歩いた。
通りすがりの人達もクスッと微笑んでこっちを向いている。
(・・・・久しぶりにこんなに純粋な声で笑えたかもしれない。)
志保は笑いながらそう思った。
「あ・・・・・そろそろここまででいいよ。もう暗いし遅いし・・・。そっれに、ただでさえ美人さんの志保と歩いてちゃぁこっちがブッサイクに見られちゃう!いーっだ。」
ベーっと舌を出して園子が無邪気に笑った。
クスクスと志保も笑っている。
「・・・それじゃ、また明日学校で。」
「うんっ。バイバーイ♪」
二人とも手を振って歩き出した。
志保はすがすがしい気持ちで微笑んでいる。
あの暗く恐ろしい組織にいる頃とは別人のようなさわやかな笑みだ。
『逃げんなよ灰原、自分の運命から逃げんじゃねーぞ!!』
ふいに昔のコナンの声が志保の頭によぎってきた。
(・・・・そうね。私もあなたのように運命から逃げなくてよかったわ。だって・・・・)
クルッともと来た道を振り返った。
すると園子がピョンピョン跳ねながらまだ大きく両手で手を振っていた。
志保は微妙に赤い顔になったが、にっこり笑って手を振りかえした。
(・・・・だってこんなにすばらしい『親友』ができたのだから・・。今度工藤君に言うわ。自分の口から・・・)
『ありがと』・・・・・・・・・・・・・・って。
すがすがしい気持ちで歩いていると、まだ園子が叫んでいる声が聞こえた。
「志保ーーーー!!気をつけて帰りなよぉ!!ナンパされたら叫びなー!!!あたしが蘭連れてきてボッコボコにしてあげるからーーー!!」
手をグルングルン振り回して園子が叫んでいる。
今度こそ志保は顔を100%真っ赤にした。
「Thank you. Angel.」
ぽそっと志保が言った。
その言葉が聞こえたのだろうか、園子も「こちらこそ!」と言って元気良く歩いていった。
(こちらこそ!って・・・・・まったく。私が言いたかったのは――)
――・・・ You are Angel!!!
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